この生産者らしい、果実の澄んで瑞々しい印象と的確なバランス感覚が表現されたスタイル、タンニン・酸とも穏やかなのに強さと安定感はバッチリ。腕利きの職人が、目指すものを完璧に組み上げていったような構築美がありました。ブルゴーニュラヴァーにはコスパの満足度を、入門者にはその深み・旨みで素直な美味しさを提供してくれる1本。きっと皆の「定番ジュヴレ」になるはずです。

≪こんな香り･味わいのワインです≫：
ブルゴーニュ コート・ドール地区の中で『ジュヴレ・シャンベルタン』という村がどのようなキャラクター特性を持っているのかが非常に明確に分かる1本だと思います。但しそれは抜栓30分後以降。4人以上で飲まれるときには、開けてすぐに全員に配分してしまう、というのは出来れば避けて…折角の土地の個性を感じぬままに飲み終えてしまいます。
抜栓直後はジャスミンなどのフローラルな香りに、じゅくじゅくになるまで完熟しきったラズベリー、黒胡椒の粒、など多彩なアロマが。味わいのファーストタッチはピュアな果実感に穏やか・緩やかな酸味がバランスよく重なり合い、余韻には豊かな甘みが長く残ります。
抜栓30分後くらいからジュヴレ・シャンベルタンらしい硬質な鉄っぽさ、そして力強く(でも、良く溶け込んでいる)タンニンが立ち現れ存在感を増してきました。ここからさらに時間が経って、やがて全ての要素がしっかりとまとまり合う瞬間が訪れます。果実味はヴォリューム感を増し、でもアフターにはサクランボのチャーミングな甘酸っぱさが…グラスが空くとすぐに次が飲みたくなる、飽きさせない、疲れさせない1本でした。

≪このワインとのマリアージュ料理は？≫：
合わせるお料理、僕のお薦めはレバー、または砂肝でも良いです。醤油とお酒など、和風の甘辛系味付けが抜群に相性良いと思います。これは…鉄分x鉄分のマリアージュ？？？

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
抜栓の目安は飲む1時間以上前、くらいでしょうか。若いジュヴレとしては比較的短時間でおいしく飲み頃になるな、と思いました。勿論長い時間をかけて更にじわじわと旨みが増していくので、早めに開けられるようでしたら2時間前くらいに開けておいても良いですよ。

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
このワインの豊かな果実感、そして優しく穏やかな酸がバランスよく広がるのは、少し冷やし目くらいの状態でした。
セラー保管だったらそのままの保管温度で、冷暗所の常温保管だった場合は冷蔵庫で45分くらいまたはアイスバケツで3-4分ほど冷やしてみてください。その後テーブルでお好みの温度に上げていく、というのが良いと思います。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
これは迷わず、ブルゴーニュタイプと言われる丸形グラスを選んでください。豊かな果実感、きれいな酸、瑞々しい余韻などすべての要素が理想的に楽しめるのはこのグラス。口細・卵型のボルドータイプ、特に小さいものだとタンニンの渋みや鉄っぽい感じがガシッと強めに出てきます。味わいのお好み次第ではこちらもアリですけどね。