クリュッグ以外は断じて飲まない熱狂的なファンを世界中に産んだ「シャンパーニュの帝王」。
3 Essential Points
- 11843年、ドイツ出身のヨーゼル・クリュッグが創立、早くから英国で人気を博した。現在の当主は6代目のオリヴィエ・クリュッグで、99年よりLVMH傘下。
- 22つの単一畑を最高級レンジに置く。ル・メニル・シュール・オジェのブラン・ド・ブラン「クロ・デュ・メニル」、アンボネのピノ・ノワール100%ブラン・ド・ノワール「クロ・ダンボネ」。
- 3「クリュギスト」、クリュッグ以外のシャンパーニュを認めず、決して口にしない原理主義者を世界に数多く生んだメゾン。ファンたちの忠誠心は圧倒的だ。
The Hands
ワインにさほどの興味の無い人でも「ドン・ペリニヨン」と並んで耳にしたことがあるはずなのが、「クリュッグ」だろう。だが、ドン・ペリニヨンがそのキャッチーな略称で一般大衆にまでアイコンとして知られているのに比べ、「クリュッグ」の存在はまるで分厚い雲に隠された山嶺のようだ。高いアッサンブラージュ技術を誇り、他のメゾンが「ノン・ヴィンテージ」と呼ぶ複数年の混合キュヴェを敢えて「マルチ・ヴィンテージ」と呼ぶなど、気高き最高峰の自信のほどが伺える。そしてクリュッグの最高峰に位置するのが、単一畑のブラン・ド・ブラン「クロ・デュ・メニル」、ブラン・ド・ノワール「クロ・ダンボネ」…グラン・クリュ・クラッセの単一畑ツートップキュヴェで、その比類なき実力を誇示する。シャンパーニュ好きは様々な造り手のすばらしい作品を遍く体験したいと考えるものが多いが、クリュギストだけは別のようだ。飲むものにブランドへの忠誠心とファンとしての誇りを呼び起こす、まさに帝王のシャンパーニュ。