自分のブドウを決してメゾンに売り渡さななかったエティエンヌ。困難を乗り越えた男が作る、厳粛で繊細な作品。
3 Essential Points
- 11977年設立のレコルタン、所有畑はグラン・クリュのみで8ha。最大の区画はヴェルズネイの5haで、ルフェーヴル家はモンターニュ・ド・ランスで最も古い栽培家のひとつ。
- 2エティエンヌは、父からの世代交代時に廃業されそうになったレコルタンを一人で立て直した気骨ある男。
- 3最上のピノ・ノワール産地ヴェルズネイの原料を使用しながらも、手頃な価格で国内外で注目。リチャード・ジューリンは「才能ある醸造家」と称賛する。
The Hands
小規模生産者の苦悩は世界共通、そのスピリットを後継者に正しく伝えられるか否か、だ。ヴェルズネイで50年に渡ってシャンパーニュ造りを続けてきたルフェーヴル家も同様、先代が退く際には廃業の際に。家族全員がシャンパーニュ醸造から手を引き、ブドウをメゾンに売却して生計を立てようとした時にひとり反発したのが現当主のエティエンヌだ。安易なメゾンへのブドウ売却を一切拒否、兄弟とも別れ一人険しい道を選んだ気骨ある男は、ヴェルズネイの自然とテロワールを尊重したリュット・レゾネによるワイン造りを始めた。彼の造るワインは、素晴らしい熟度を感じさせる豊かさを持ちつつも、厳粛で繊細なストラクチャーが根底に感じられる。困難に一人立ち向かった男が作るシャンパーニュとして、これほど「らしい」ものはない。