正直このシャトーのことは全く知りませんでした。フィラディスが新規採用ワイン検討に向けて様々な試飲サンプルを集めまくった有象無象(なんて言ったら生産者に失礼ですよね)の中の一つ。でも、弊社の中で熟練したベテランテイスター達の数多くが何の背景も知らずとも「これはいける！」と思って採用を決めた1本です。カベルネ・ソーヴィニヨン50%とメルロー50%、で、バリック12か月熟成。ごくありふれた品種ブレンドと熟成で産まれた、カベルネのタイトさとメルロの土っぽさが混ざり合うやや乾いた印象。

僕個人としては、こういう味わいスタイルのボルドーをしばらくぶりに飲んだ気がします。なんと言うか、いい意味で古くさい感じ…ちょっと分かりにくいかもしれませんが。

今どきのボルドーの柔らかな飲みやすさとか、近づきやすい感じは無い。
でも、それが、実にいい味出してる。そんな感じの1本でした。
こんなコメントでは正直あまり売れなそうですが笑、でもまあそれならそれでいいのかな、と思います。
だから、万人に向けて激押し・イチ押しなんて書きません。ハマる人にはハマるこのワイン、僕のテイスティングレポート、それからご自身で飲んで判断してみてください！

≪こんな香り･味わいのワインです≫：
カシスなど黒系のフルーツを主軸に感じる第一印象。そこにドライハーブにグリーンペッパー、八角など東洋的ニュアンスの香辛料、葉巻と燻製の香。そのずっと奥にチェリーの甘酸っぱい香りが見え隠れする感じ。コルクを抜いた直後の味わいは結構ドライでタイト、ここだけ取ると「あ、良くあるハズレのボルドーか？」と一瞬落胆してしまう方がいるかもしれませんが、このタイミングでタンニンと酸のタッチをしっかりと感じ取ってみてください。タンニンは開けたてから穏やかできれい、酸も程よく最後に締める感じが絶妙なバランスでしょう。ここでこの先の変化を安心して待つことが出来るはずです。
予想通り抜栓から時間を経ると適度な熟成感と果物の甘み、そしてスパイシーなアクセントが立ってきて、古き良き古典的ボルドーの「あの」スタイルが展開してきます。急いで飲み終えてしまうと、本当に損してしまいますよ。

≪このワインとのマリアージュ料理は？≫：
料理はシンプルに牛肉や羊肉のステーキに塩胡椒、がおすすめ。羊だったらローズマリー等のハーブを使っても良いですね！

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
僕のお薦めは飲み始める1時間くらい前の抜栓です。間に合わなければ30分でもOK.。どうしても直前だったら、ゆっくり飲めば大丈夫です。時間経過とともに果実の甘味がたっぷりと広がり、タンニンはほどけて馴染んで柔らかに。この飲み頃までの変化の早さ、分かりやすさも取り扱いがしやすくてとても良いと思いました。手のかからない、実に素直な1本です。

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
前述したように開けたばかりの序盤は結構硬質なタッチなので、温度が低いとそれが更に強調されてしまいがち。やや温度帯高目の方がワイン全体がリラックスした印象になるかと思います。セラー保管していたのなら抜栓後はテーブルに置いておき、少し温度を上げると良いですよ。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
抜栓と同様に、ワインはグラス選びも悩む必要がありませんでした。定石通りスタンダードな口細・卵型のボルドータイプグラスでしっかりおいしく大丈夫。他に言いようがないくらい「らしい」ボルドーなのですから、こねくり回さずに素直に楽しめばよいかな、と思いました！