これまでCLUB30では、最長で10年熟成のワインまではご案内をしてきました。それよりも古いヴィンテージのワインはどうして取り扱ってこなかったかというと理由は明白で、20年の時を経て素晴らしい熟成状態にあり、且つボトル差が少なく安定した品質を保持できているワインが税込3,000円以内で見つかるなんて、容易くあることではないからです。

でも、長期熟成ワインのリーディングインポーターである僕たちフィラディスとして「CLUB30のお客様にまずは一度熟成ワインの魅力を知る体験をして戴きたい」と強く思っており、…難しいのは承知でずっとずっと良いものを探し続けてきました。そして！ついに見つけたのがこれ、ボルドーの『シャトー・ラルティグ 1998年』。なんと、税抜価格では2,280円という破格な価格設定の1本です。

ボトルを開けたては随分と閉じた印象、「やっぱりこの価格で20年は無理だったか？」と思うかもしれません。一口飲んでみてください。ちょっとヒネた印象を受けるかもしれません。果実のフレッシュ感は感じらず、枯葉や香辛料のニュアンスが強く主張します。飲み辛そう、と思う方もいるはずです。

でも、ここは起きるのを待ちましょう。このワインは20年ずっと眠り続けてきた『眠りの森の美女』なのですから。そして抜栓から90分ほど経った頃でしょうか、急激に甘い香りが強まり、広がり始め、ワイン全体の様相が一気に変わり始めます。そして…ここから先は、ご自身で体験していただくのが良いかと思います。とにかく、豊かな時間が待っていることは、間違いありません。

もう2つだけ僕からご提案です。まず一つ目は、出来れば一晩で飲み切って頂くこと。非常に繊細な状態になっていますので、飲み残しを冷蔵庫に一晩入れておく…というのはできれば避けたいところです。ゆっくり、じっくりと向き合って飲める日を、このワインを開ける日と設定してください。

そして2つ目は、グラスの選定。ここはボルドーグラスでなく、もしお持ちなら敢えてブルゴーニュのバルーン型グラスで飲んでみてください。その柔らかな甘みと旨み、深み、そして円熟の柔らかさがグッと引き立ちます。僕は2つのグラスで比較しましたが、断然ブルゴーニュグラスのほうがおいしいと感じました。

2,000円台でここまで長期熟成ワインの醍醐味が堪能できるワインはそうそうありません。まだ熟成ワインを体験したことが無いという方、この機会に是非、その底無し沼のような魅力に足を踏み入れてみてください！

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
開けてからの変化、ゆっくり楽しみませんか？おいしくなるのは確かに抜栓から90分後くらい…でも、その経過を楽しむのも醍醐味です！

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
常温状態から少しだけ下げましょう。抜栓したワインを飲む30-40分前から冷蔵庫に。熟成のニュアンスが、ぼやけずにしっかり感じ取れます。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
ボルドー型…と言いたいところですが、このワインは上に書いたようにブルゴーニュグラスで飲んでみてほしい1本。良かったら、2種類のグラスで飲み比べしてみてください！



※関連のお薦めワインにはもちろん、CLUB30厳選ボルドー・セレクション達を。しっかりとした飲みごたえがありながらエレガンスを感じさせるボルドー、がフィラディスの選定哲学です。