Aconcagua Valley(アコンカグア・バレー)
チリ最重要エリアの一つ 特にボルドー品種と相性がよく その品質はロバート・モンダヴィも認めるほど
アコンカグアはチリに広がる4つのリージョンの内、北から二つ目にあるワイン産地である。ここには重要なサブリージョンが3つあるが、そのうちの一つがアコンカグア・バレーであり、チリを代表する産地として広く知られている。
チリの首都サンティエゴから北100kmほどに位置するアコンカグア・バレーは、暑く乾燥しているため長らくブドウ栽培に適さないとみなされてきた。しかし、今日のアコンカグア・バレー産のカベルネ・ソーヴィニヨンやシラー、メルローなどを飲めば、その品質の高さに驚愕するはずである。
■テロワール
全長約100kmの長さを持つアコンカグア川は、東にそびえるアンデス山脈から西の大西洋へと流れていくが、この川が作る渓谷に沿ってアコンカグア・バレーの畑は広がっている。川沿いに畑を広げる理由は、アンデス山脈からのフレッシュな雪解け水を灌漑用の水源として利用できるからである。この地の降雨量は年間約250mmと非常に少なく、灌漑の効率化は生産者にとって極めて重要なのである。東西に広がる畑の標高は実に様々で、東側では1,000mの高さのものがある一方、西側ではわずか50mというものが見られる。中央部は暑く乾燥しているが、チリの西海岸を上昇するフンボルト海流が生む冷たい海風のおかげで、アコンカグア・バレーの気温をうまい具合に調整してくれる。
土壌は石が多く見られ、この痩せた土壌はブドウ根に競争を強いるため、樹勢の強いカベルネ・ソーヴィニヨンなどの栽培が多く見られる。畑の表土に広がる石は、日光による土壌の水分蒸発を防いでくれるため、チリのような暑い産地ではとりわけ重宝される。
■味わいの特徴
アコンカグア・バレーは完熟したフルボディの赤ワインが有名で、高いアルコールと豊富なタンニンを持つカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、カルメネールなどが主力のラインナップである。しかしながら、生産者はよりフレッシュで複雑さのあるワインを求める傾向にあるので、昨今ではよりアルコールを抑え、渓谷の谷底ではなくより冷涼な斜面に畑をシフトする動きも見られる。
より海沿いのエリアでは朝の霧と冷たい海風が流れ込んでくるので、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールといった冷涼品種や冷涼タイプのシラーなどフレッシュさが求められるワインが生まれる。
アンデス山脈の麓では畑の標高は1000m近くまで上がり、日中は晴れて暖かいが、夜間は山から冷たい風が流れ込んでくるため日較差が大きくなる。こうした畑では香り高く完熟したフレーバーがありながらも、フレッシュな酸が見事に保持されたバランスの良い赤ワインが生まれる。
この地の重要な生産者はErrazuriz(エラスリス)とVina von Siebenthal(ヴィーニャ・フォン・ジーベンタール)である。Errazurizとカリフォルニアのロバート・モンダヴィが共同で作り上げたSena(セーニャ)は、チリのプレミアムワインのパイオニアとして世界で高く評価されている。
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