Amboney(アンボネイ)
チャーミングな果実が軽やかに膨らむ、やさしく豊満な果実感
目次
■特徴
丘の斜面に南南東を向いて畑が広がるアンボネイでは、80%以上がピノ・ノワールの生産となる。
村のシンボルともいえる、11世紀初頭にテンプル騎士団が建てた教会の柱にはブドウの房と蔦が彫られ、この頃からブドウ畑は村の生活に深く根付いていたことがわかる。
ふくよかな果実とエレガントな酸を備えた朗らかなキャラクターが魅力のアンボネイのワインは、クリュッグをはじめ現在も多くのシャンパーニュメゾンから求められている。
また、メゾンだけではなく非常に高い品質のワインを造るRMも多く、その筆頭ともいえるのがエグリ・ウーリエ。
エグリ・ウーリエは2008年、クリュッグとボランジェの2メゾンに加え、サロンとともにRM唯一の造り手として、権威ある評価誌『クレ・メイユール・ヴァン・ド・フランス』の3ツ星に昇格。
その後2009年にはジャック・セロス、2010年にはジャクソン、2014年にはルイ・ロデレールが追加された。
2016年の時点で、約5,200社存在するシャンパーニュの全生産者の中で、3ツ星の栄光を手にするのは僅か9社。
(エグリ・ウーリエ、ボランジェ、クリュッグ、ジャクソン、ジャック・セロス、ポル・ロジェ、アグラパール、ルイ・ロデレール、サロン)
約4800社のRM生産者の中では、3ツ星に輝くのはエグリ・ウーリエ、ジャック・セロス、アグラパールだけなのだ。
テロワール
アンボネイを形成するテロワールでもっとも重要なものは、斜面の向きとチョーク層。
冷涼なシャンパーニュではどれだけ日照量を確保できるかは非常に重要なファクターであり、南南東を向くアンボネイは見事に優位な立場にあった。
豊かだが過剰ではない日照が、ふくよかな果実の中にフィネスを備えたワインを生む。
また、地下30mもの厚さに堆積したチョーク層上に適度な表土が重なることで、ピノ・ノワールにいきいきとした躍動感のあるミネラルを与える。
チャーミングな果実が軽やかに膨らみ、そのやさしく豊満な果実感をアイやヴェルズネイとは異なる重心の高さが際立たせる。
アンボネイは、濃密・重厚とは別方向の美味しさが魅力のグランクリュである。
アンボネイ・ルージュ
南向きの斜面のため日照量も十分なアンボネイは、伝統的に赤ワインも生産する数少ないシャンパーニュの村の一つ。
( アンボネイ・ルージュと呼ばれているが、アペラシオンはコトー・シャンプノア)
チョーキーなのテロワールから醸されたワインは、溌溂としたミネラルとスミレのような官能的な香りを持っており、良質なヴォルネイのワインを思い出させる味わいである。
クロ・ダンボネ
「クリュッグ家が最も大事にしている黒ブドウのグランクリュ」としても知られており、実際にアンボネイのブドウを中心に使用している。
クリュッグの持つ最上の区画であるクロ・ダンボネは、同時に最も高価な値段が付くシャンパーニュでもある。
畑の面積は0.68haと非常に小さく、ピノ・ノワールのみが植えられている。
村の中心に位置しており、シャンパーニュでは非常に稀な石垣に囲まれたクロの区画である。
90年代にこの小さな畑を手に入れたクリュッグは、アンボネとピノ・ノワールへのオマージュとして1995年にクロ・ダンボネをリリース。
それから1996年、1998年、2000年、2002年の5ヴィンテージが生産されている。
その希少性と卓越した品質から、市場価格は現在30万円を優に超える。
■データ(出典:GRANDES MARQUES&MAISONS DE CHAMPAGNE)
栽培面積 | 約384.90 ha |
栽培比率 | ピノ・ノワール 81%
シャルドネ 18% その他 0.1% |
栽培家数 | 176 |
主なシャンパーニュ・メゾン | Krug
Moët & Chandon Mumm & Cie Piper Heidsieck Pol Roger Veuve Clicquot |
主なレコルタン・マニュピラン | André Beaufort
Bernard Brémont Duval Leroy Egly-Ouriet Eric Rodez |
-
前の記事
Bouzy(ブジー)
-
次の記事
Ay(アイ)