Centre Nivernais(サントル・ニヴェルネ地区)
世界有数のソーヴィニヨン・ブラン産地 名前が独り歩きする『シレックス』
ロワール河の上流、まさにフランスの中央にあたる地区で、緩やかな丘陵地帯にブドウ畑が広がっている。
トゥーレーヌから内陸に向かう途中から主要品種がソーヴィニヨン・ブランに変わり、この地区ではほとんどの栽培品種がソーヴィニヨン・ブラン。
代表的な産地はサンセールとプイィ・フュメ。
ロワール河を挟んで対岸にあるこの2つのAOCはいずれもフランスにおけるソーヴィニヨン・ブランの最上地域。
味わいやスタイルに共通点は多くあるが、その2つには明らかな違いもある。
目次
■特徴的な土壌
このあたりの地域では昔から独自の性質を表すテロワールをそれぞれタイプごとに分け、名前が付けられている。
・テール・ブランシュ
貝やアンモナイトの化石が特徴のキンメリジャンマールと、風化した粘土が混じる泥灰岩の層が入り混じる。
じっくりと熟した果実にエキゾチックなアロマ。オイリーでコクがあり、長熟タイプのワインが出来る。
・カイヨット
非常に痩せていて礫が多い。
早く暖まる土壌のため、ブドウが熟すのも早くフルーティーで柔らかく、大らかでしなやかなミネラルが特徴。
サンセールとプィイ・フェメの広い面積を覆っている。
・シャイユー
粘土や砂、礫などが入り混じる珪質土壌に火打石、いわゆるシレックスが多く混じる。
若いうちから活気があるが、サンセールではミネラルがごわごわしてしまうので他の土壌よりも劣るテロワールだと生産者は口を揃えて言う。
■サンセール
標高200~350mのあたりでブドウは栽培されることが多く、プィイ・フュメより高い。
特に良質とされている畑がミネラル豊かで鮮烈なシェーヌ・マルシャン(カイヨット)と、より大ぶりなモン・ダネ(テール・ブランシュ)で、サンセールの名声を維持するのに大事な役割を担ってきた。
プイィ・フュメと比べると肉付きよく、キレのあるミネラルと明朗な酸が特徴のワインが多い。
しかしサンセールはこの何十年かの間で栽培面積が3倍以上に拡大している。
『サンセール』という名前に惑わされず、優れた生産者のサンセールを選ぶ必要がある。
白ワインの生産が約80%を占めるが、ロゼと赤ワインも少量ながら生産されている。
フランス国内では北限のワイン産地ということもあり、昔は中々ブドウが熟さず薄いシャバシャバなワインしかできなかったが、現在は温暖化の影響と生産者の努力もあり品質が向上している。
■プイィ・フュメ
スモークしたようなニュアンスがワインに感じられるため、「フュメ(煙や燻製)」という名前が付いたという説があるが、実際には明らかになっていない。
ただシャイユーの土壌が比較的多いため、サンセールより火打石のような香りがするのは確かである。
それ以外にも土やハーブ、メロンのような様々なアロマが楽しめるのがプイィ・フュメの美点。
プイィ・フュメのトップ生産者と言えば、いわずもがなディディエ・ダグノー。
プイィ・フュメだけに留まらず、世界中のソーヴィニヨン・ブラン生産者の中でも間違いなくトップに君臨しカリスマ的人気を博しているのがダグノーである。
そのダグノーの代表作が「シレックス」。
1985年に初リリースされたシレックスは土壌の名前をそのままキュベ名にしたもので、インパクトのある石のラベルが特徴。
このワインが爆発的な人気を博し、『シレックス=良いワイン、だからシレックス土壌=良いワインが出来る』という認識が広まってしまった。
実際のところ、シレックスだから必ずしも良いワインができるとは限らない。
主なブドウ品種 | 黒ブドウ:ピノ・ノワール、ガメイ
白ブドウ:ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリ、シャスラ |
気候 | 穏やかな大陸性気候。冬と夏の温度差が激しい |
土壌 | テール・ブランシュ、カイヨットなど独自の名前で呼ばれる |
AOC | ・Sancerre
・Pouilly Fume ・Pouilly sur Loire ・Menetou-Salon ・Quincy ・Reuilly ・Coteaux du Giennois ・Chateaumeillant |
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