Chambolle-Musigny(シャンボール・ミュジニー)
大昔から人を虜にする明るい果実と繊細なテクスチャー 華やかエレガント、女子アナ系ブルゴーニュ
目次
■特徴
ブルゴーニュの村々の中で1番好きな村はどこか?
そんな問いかけをしたときに大多数の人が挙手をするのがこのシャンボール・ミュジニーだろう。
決して力強さや屈強さを持ち合わせているわけではないのだが、華やかでありながらも繊細なこの村のワインは全てのワインラヴァーを魅了してやまない。
シャンボール・ミュジニーがよく女性らしい、エレガントと表現される由縁は諸説ある。
土壌に石灰岩が多く含まれておりトーンの高い香りが全面に出てくるから、とか、昔は発酵期間を短くして軽めのワインを造る生産者が多くそれがシャンボールのスタイルと定着した、など。
テロワールによるものなのか、はたまた造り手によるものなのかは実は良くわかっていない。
複雑なアペラシオン区分
偉大なグラン・クリュ、ミュジニーとボンヌ・マールが村の端々にあり、その間を結ぶように24のプルミエ・クリュが広がっている。
その内レ・クラやオー・コンボットなどは1級と村名格にまたがっているため、一部村名アペラシオンしか名乗れない区画がある。注意深くラベルを見てみてほしい。
しかし逆に言うと、シャトー・ド・シャンボール・ミュジニーを買い取った名門ドメーヌ、フレデリック・ミュニエ(実は祖母が日本人)からリリースされるシャンボール・ミュジニーは、コンブ・ドルヴォーと1級レ・プラントをブレンドして造られるため非常にレベルの高い村名ワインになったりする。
プルミエ・クリュ レ・ザムルーズ
2つのグラン・クリュと今や同等の人気を誇る1級レ・ザムルーズは「恋人たち」となんともロマンチックな名称だが、男女カップルで使われるのは男性形のレ・ザムルーが正しい。
女性形のレ・ザムルーズだと女性同士のカップルとなってしまうのだが「恋する乙女たち」という意訳は…なるほど間違っていない。
正確な語源はわかっておらず、雨でぬかるんだ土が長靴にくっついて離れない様子が若い恋人たちのようだという説もある。
土壌は表土が薄く石ころだらけで、そのため滑らかな果実と共にミネラルを強く感じるのが特徴。レ・ザムルーズの最大所有者であるロベール・グロフィエも「ストレートなミネラルの風味」とそのキャラクターをコメントしている。
価格はボンヌ・マールと並び、スタイルはミュジニーに近い。
グラン・クリュ ミュジニー
ブルゴーニュの中でも指折りの偉大なグラン・クリュ、ミュジニーには例外的にシャルドネが存在する。
コート・ド・ニュイのグラン・クリュで他に白ワインが生産される区画はない。
わずか0.66haにシャルドネを植えるのはミュジニーの70%を所有するドメーヌ、コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ。
本来ならグラン・クリュ=ミュジニー・ブランを名乗れる区画だが、1994年に植え替えをして若木になったのを最後にブルゴーニュ・ブランに格下げをしてリリースされている。(そのため最後のヴィンテージは1993年)
その後2015年ヴィンテージから、平均樹齢が25年に達したため再びミュジニー・ブランが復活した。
特級から村名へ格下げをする程樹齢というのは大切なもの。
そのためヴォギュエでは最高樹齢53年の古樹が使われるミュジニーの赤は、それをアピールするように『ミュジニーV.V.』の名でリリースされる。
ブルゴーニュワインを好きになるきっかけがシャンボール・ミュジニーだったら、まずその愛らしさや華やかさを魅力だと感じるのだろう。
それからいくつかのアペラシオンを旅し、いくつもの偉大なワインに感動したとしても、あの絹のような舌触りと美しいアロマを忘れることが出来ず、結局行き着いてしまうのがシャンボール・ミュジニーなのだ。
そしてやはりこの村のワインが1番だと実感させられる。
■データ(出典:ブルゴーニュワイン委員会)
栽培面積 | 約152.23 ha |
土壌 | キンメリッジ階の石灰岩と泥灰土でカキの化石を含んでいる |
生産量 | 6,056hl |
グラン・クリュ | 2 |
プルミエ・クリュ | 24 |
栽培品種 | ピノ・ノワール、シャルドネ |