Chateau de Beaucastel(シャトー・ド・ボーカステル)

シャトーヌフ・デュ・パプの重鎮であるシャトー・ド・ボーカステルは、南ローヌを代表する生産者の一人として国際的に高い評価を獲得している。


歴史

ワイナリーの歴史はピエール・ド・ボーカステルが土地を購入した1549年にまで遡る。19世紀の終わりにフィロキセラが畑を襲撃した際、死にゆくブドウ木を見たオーナーは再植樹ではなく畑を手放すことを決め、1909年にピエール・トラミネールに売り渡した。その土地にブドウを植えた彼は、義理息子であるピエール・ペランに畑を継いだ。その後ピエール・ペランは畑を息子のジャックに引き継ぐが、このジャックこそがボーカステルの名を世界に轟かせた張本人である。100ha以上にも及ぶ畑でオーガニック・ビオディナミ栽培を取り入れたジャックは、当時見向きもされていなかったムールヴェードルやクノワーズといったマイナー品種を大切に育てた。1978年、ジャックの息子ジャン・ピエールとフランソワがワイナリーを継ぐと、父と同じ哲学、品質、スタイルを継承しつつも、買いブドウで作るカジュアルレンジのLa Vieille Fermeを発足させた。さらに1996年からは中価格帯のレンジをカバーするPerrin et Filsがスタートした。また同年から次世代のピエール・ペランが畑と醸造の責任者となった。

ボーカステルでは2018年の秋からセラー改築の大型プロジェクトがスタートした。電力は太陽光パネル、雨水は再利用し、ミストラルを利用した温度調整など環境に配慮したシステムが随所に見られる新セラーは満を持して2025年に完成した。

 

所有する130haの土地のうち約100haがブドウ畑で、そのうち70%がシャトーヌフのアペラシオン内にある。畑の表面はおなじみの丸石で覆われているが、その下には砂、粘土、石灰岩など場所によって異なるタイプの土壌が広がっている。「シャトーヌフの複雑さはブレンドによってもたらされる」という哲学のもと、ボーカステルではAOCで許可されている13品種を育てている。赤のメインはグルナッシュとムールヴェードルで、白はルーサンヌが主体となる。

ワイナリーのフラッグシップとなるオマージュ・ア・ジャック・ペランは所有する最古の畑Courrieuxに植わる1909年のムールヴェードルが主体となる。このムールヴェードルはバンドールの重鎮Domain Tempierからの挿し木を使って植えられたものである。なお、以前はムールヴェードルが完熟する暑い年のみに生産されていたが、2009年以降は毎年リリースされている。

一方、ボーカステルはCoudouletと呼ばれるコート・デュ・ローヌも生産している。シャトーヌフのアペラシオンの境界線のすぐ外にあるこの畑(30ha)はシャトーヌフと似た土壌を持つ。丸石が日中の太陽熱を蓄え、夜間にゆっくりと放出するため、春先にブドウ木が良いシーズンのスタートを切れる。

 

栽培

シャトーヌフで最も古いワイナリーの一つでありながら、前衛的であり続けるボーカステル。周辺のワイナリーがみな化学肥料でブドウを育てていた1950年代に、ジャックはオーガニック栽培を取り入れ、1974年という早い時期にビオディナミ栽培をスタートした。2000年頃から畑ではブドウの糖度と酸度ではなく、タンニン、色味、フレーバーといったいわゆるフェノールの熟度にこだわるようになった。収穫時期もこのフェノールの熟度が最適かどうかで判断されるようになった。そして現在、気候変動の影響が大きくなる中でボーカステルの畑ではブドウの糖分蓄積を遅らせ、潜在アルコール度数を抑える目的で様々な種類のカバークロップが実験的に育てられている。

 

醸造

1980~90年代などの古いヴィンテージでブレットが目立つと言われていたボーカステル。動物臭にも似たこの香りをポジティヴにとらえる層も一部存在していたが、全ての飲み手が許容できるわけではないため、ワイナリーは2000年頃にボルドーの醸造コンサルタントに協力を仰いで調査した。その結果、たしかに一部の古いヴィンテージには高いレベルのブレットが確認された。その後、セラーの衛生管理を強化して大型のフードルをスチームクリーニングするようになり、定期的な樽のリニューアルを導入するようになった。無論、樽の香りをつけるのではなく、あくまでも清潔な環境でワインを熟成させるためである。こうした努力の結果、ブレット問題は解消された。

ボーカステルでは品種ごとに収穫されたブドウをそれぞれ分けて醸造していく。シャトーヌフのルージュでは、還元しやすいシラーやムールヴェードルには木製発酵槽を使用し、その他の酸化しやすいグルナッシュなどの品種には伝統的なコンクリートタンクが使用される。抽出は定期的なピジャージュが行われる。マロが終わったらブレンドを行う。ブレンド後にオークのフードルに移し1年間熟成させた後に無濾過でボトリングを行う。

一方、シャトーヌフ・ブランでは、ルーサンヌは通常樽(古樽・新樽)が使用される一方、グルナッシュ・ブランとクレレットはタンクのみで醸造される。後者の2品種はフレッシュさを保つためにマロもブロックされ、ルーサンヌはマロを行う。8ヶ月熟成後にボトリングを行う。

 

味わい

ボーカステルは南ローヌで最も長命なワインの一つを生むワイナリーとして知られているが、熟成した後に現れるエレガンスとフィネスを楽しむ愛好家も多い。シャトーヌフのルージュはワイルドベリー、ダークチェリー、オレンジピール、ガリーグ、リコリス、ビターチョコレートのヒントにムールヴェードル由来のトリュフや樹皮の香りが見事に溶け込む複雑なアロマを持つ。完熟したダークベリー系の甘みと肉やスパイスなどのセイボリーさが見事にバランス取っている。フルボディでリッチな口当たり、しっかりとしたストラクチャーを持つが、タンニンはしなやかでヴェルヴェットの質感を持つ。焦点の定まった長いフィニッシュにはリコリスとペッパー、ダークフルーツが反響する。

一方、シャトーヌフのブランは完熟した洋梨や白桃、レモンピール、ハニーサックル、ハーブティー、スパイスのアロマを持つ。口に含むとしなやかで丸みがあり、おおらかさを感じる。フルボディでわずかにオイリーさを感じさせる滑らかなテクスチャーを持つ。アタックでは肉付きの良さを印象付けるが、後半にかけて心地よい苦みと塩味がフレッシュさに寄与する。完熟感がありながらも焦点の定まった見事なフィニッシュを持つ。

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