Châteauneuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ)
18種類の品種が認められている個性豊かなローヌ スケールが大きく寛大で、スパイシーなキャラクター
「法王のワイン」として知られるシャトーヌフ・デュ・パプは、コート・デュ・ローヌのワインの中でもとりわけ知名度が高い。
フランスで最初のAOC規定のシステムを築いたのも実はシャトーヌフ。
また、フランスのどんなワインと比べても最低アルコール度数(12.5%)が高いという特徴があったのだが、近年の温暖化によって14.5%を下回ることは珍しく、時には16%にも達する。
さらに使用を認められているブドウ品種が13と非常に多いのもユニークな特徴の1つ。
メインとなるのはグルナッシュで、グルナッシュ100%で造られるキュベもいくつか見受けられる。
他のアペラシオンにはない個性が満載であり、複雑で多彩な表情を持ったワインが生まれる。
目次
■テロワール
すぐそばにローヌ川が流れている。
アルプス山脈から続く川の激しい流れによって丸く削られてきたアルプスの岩や石ころは、やがて流れが緩やかになったシャトーヌフ・デュ・パプの付近に蓄積される。
シャトーヌフの土壌のシンボルでもあるこの大きな丸石は、日中に蓄えた暑さを夜間にぶどうに与える働きをしており、ぶどうは完璧に熟していく。
またこの暑い石は水分を蒸発させ湿気を飛ばし、ぶどうが病気になるのを防ぐ役目も果たしている。
この特徴的な丸石の下には2つの典型的な土壌がある。
西側には、地中の粘土質層、又はモラッセと呼ばれる石灰質砂岩層に硬い石灰質の岩が表面を覆う土壌がある。
東側は砂質の丘陵地、ここはローヌ川が引いていったことによって形成された森と石ころの転がる平地部である。
生産者達はこれらの異なる土壌からぶどうを上手にブレンドして複雑さをもたらせるか、または特徴ある土壌のぶどうのみで特別なキュベを生産している。
豊富な日照量と夏には34-38℃にもなる暑さから来る乾燥した気候がパワフルなワインの秘訣。
降雨量は少なく、強い北風のミストラルが生産者にとってはなくてはならない風である。
この強い北風によって雨雲は吹き飛ばされ、畑内での病気が防がれている。
収穫前、ぶどうの糖度は凝縮され、雨が降った後でもすぐに水気を吹き飛ばし、腐敗を防ぐ働きがある。春先にはこのミストラルは空気の流れをよくし、ぶどう畑に霜がおりるのを防いでくれる。
■味わいのスタイル
『豪華絢爛』この一言に尽きると思う。
若いうちは強いタンニンがその優美さを覆い隠してしまうが、飲み頃を迎えたころにはプロヴァンスワインに通じる柔らかな甘みが感じられる。
ひたすらにスケールが大きく寛大で、スパイシーなアクセントが楽しめる。
それを生産者のスタイルごとに分けるとするなら、クラシック派、モダン派、個性派に分けられる。
クラシック派は先代、先々代のワイン造りを踏襲していて、セラーに新品の樽が見かけられることはない。
10~15年後を見据えた非常に長熟でパワフルなワインを造る。
モダン派は「すぐに飲めるシャトーヌフ」を信条とし、カルボニック・マセレーションや全房発酵を積極的に取り入れている。
ボールナールやサン・プレフェールがそれにあたる生産者で、熟成に耐え、若いうちからフルーティで親しみやすいスタイル。
個性派の面々はこれと決めたら曲げられない信条がある。
例えばシャトーヌフのTOP生産者であるラヤスがそうで、18種類もの品種を混醸することが認められているシャトー ヌフにあってグルナッシュ100%で造り上げる。
どちらかというとクラシック派の造りやスタイルに近いのだが、多くの点で「誰にも真似できないもの」を意識している傾向がある。
■特徴的なボトル
1937年に生産者組合によって考案された紋章入りのボトルは、シャトーヌフ・デュ・パップのワインのプロモーションにつながり、知名度も高まった。
この紋章はサン・ピエールの鍵の上にある法王の三重冠のシンボルである。この紋章の周りはゴシック体でChâteauneuf du Pape Contrôlé と記されている。以来、このボトルは世界中を回ってきた。世界的に認知されたこのボトルはシャトーヌフ・デュ・パップのワインのプロモーションには欠かせなく、また認定証の役割も果たしている。
法律上ではこのマーク入りボトルは集団共用のものであり、これは保護される権利を持つ。