Coonawarra(クナワラ)

オーストラリアの中で最も洗練された赤ワインを生み出す

赤い土壌テッラ・ロッサと涼しい海風が作るその味わいは

パワフルさではなく見事なバランス・調和が際立っている

クナワラはサウス・オーストラリア州のライムストーンコーストエリアにある最も重要なワイン産地であり、オーストラリアを代表する傑出した赤ワインを生み出すことで知られている。ブドウが初めて植えられたのは19世紀の終わり頃だが、この地を代表するWynnsが設立される1950年代に入るまでは、クナワラは世間からは注目されていなかった。Wynnsの後にはPenfoldsやYalumbaといったビックネームがあとに続いたが、クナワラに正式な地理的表示GIが認められたのは2003年になってからと意外にも遅かった。なぜ意外かと言うと、クナワラは畑のユニークな土壌によってその個性が確立されているオーストラリアでも極めて珍しいエリアだからである。

 

クナワラのテロワールの鍵を握るのはテッラ・ロッサと呼ばれる赤い土壌で、長さ12km幅1kmという細長いエリアに見られる。表土の赤色は粘土中の鉄分の酸化によってもたらされたものであり、排水性が良く栄養素を保持するのに優れている。その下層には硬い石灰岩が広がっている。ブドウ根がこの石灰の層を貫通するのは容易ではなく、これが土中の水分へのアクセスを制限する。さらにこの土壌はわずかにアルカリ性でもあるので、栄養分を吸い上げるブドウ木の力を制限する。これら両者の特性が樹勢を制限し、収量を自然に抑えることでブドウの粒はより凝縮する。

気候に関しては、クナワラはボルドーに極めて類似した温和な海洋性だが、生育期はわずかに気温が高く乾燥している。海岸から約100km離れているにも関わらず、このエリアは地形が非常に平坦なため午後に吹く冷たい海風は内陸までしっかりと流れ込んでくる。この冷涼効果はブドウを育てる上で非常に重要で、冷たい空気がブドウの成長スピードを遅くし生育期が引き伸ばされる。するとアロマはより複雑になりワインには幅広いフレーバーが宿る。

 

■味わいの特徴

クナワラはオーストラリアで最も洗練された赤ワインを生み出す産地として知られており、特にカベルネ・ソーヴィニヨンはエリア全体の50%以上も植えられている。ミディアムからフルボディのスタイルでアルコールは中程度、豊富なタンニンと凝縮した黒系果実(カシスやプラム)にミントやユーカリのノートを持つ。多くが樽で熟成されるため、スパイスのヒントも感じられる。シラーズも多く育っており、パワフルなバロッサと比べるとボディはやや控えめなものが多いが、凝縮した果実は健在でブラックベリー、ハーブ、ミントのノートがある。カベルネとブレンドされることもある。白ブドウは植樹こそ多くないものの、桃やパインなどの完熟果実のフレーバーを持つ優れたシャルドネが生まれる。またリースリングはサウス・オーストラリア州の他の産地のものよりフルーティーさがあり酸はやや低いスタイルとなる。

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