Cote-Rotie(コート・ロティ)

ローヌ1エレガントなシラーの産地

複数畑のブレンドから単一畑への転換

■特徴

直訳すると「炙られる丘」。その名が示す通り、ぶどう畑は南東を向く非常に急な斜面に広がるため太陽の光をたっぷり浴びる。

なんとなくそんなイメージが先行して、『コート・ロティ=暑苦しいワイン』と思われがちだが、実はローヌ随一のとてもエレガントなスタイルのワインが出来る。

赤ワインにはヴィオニエを20%までブレンドが可能。

それはワインに華やかさや柔らかさを与え、独特な個性につながっているが、実際にはシラー100%で造る生産者が多い。

畑は南東を向き、斜度60度にも及ぶ急な斜面。

下から見上げるとほぼ崖のようにも見える険しい傾斜のため、ぶどう畑は細かい段々畑になっている。

もちろん機械での作業は不可能、畑仕事は困難を極め、1970年頃栽培面積はわずか70haまで縮小した。

(その後新樽熟成によるプレステージワインを創造したギガルに世界中が注目、コート・ロティのワインの価格が急激に上昇。30年間で3倍以上の200haまで栽培面積が広がった)

これまでコート・ロティのテロワールはCote Blondeより南側とCote Bruneより北側と、大きく二分されることが多かったが、それをさらに細分化すると主に3つの地質に分けることができる。

500mほどの栽培地域は10ほどの丘から成り立っており、CoteBlondeまでの北部はシスト、そこからSemonsというリューディまでの中部ではシストと花崗岩が混ざり、最南部は花崗岩。

もう少し正確に分けるならば、北から“シスト・粘土状・鉄”、“シスト・砂状・石灰”、“シストと花崗岩”、“花崗岩”の4つになる。

例えば有名なリューディであるCoteBlondeは“シスト・砂状・石灰”のため軽やかさやエレガントさが際立ち、Landonneは“シスト・粘土状・鉄”の土壌となるためしっかりとした密度が特徴。

Xavier Gerard

味わいのスタイル

大ざっぱに分類すると3つに分けることができる。

ジャスマンやRene Rostaingなどのクラシックな生産者、ジャメ、グザヴィエなどのモダンな生産者、そしてYves Cuilleronのようにその中間に位置づけられる生産者の 3 つである。

柔らかさとキメ細やかさの主張が感じられる伝統派と、濃い色調、濃縮感と洗練度をアピールするモダン派。

リリース直後の評価が高くなりやすく、一般的に受け入れられやすいのは早くから香りが前回のモダンスタイルのものだろう。

しかしアペラシオンの個性をより率直に表現し、熟成によってコート・ロティの真骨頂であるヨードや動物的ニュアンスが楽しめるのがクラシックスタイルの良さだとも思う。

そして登場した中間派は、濃い色調、洗練された濃縮感といったモダン派的個性を全面に出しながらも、伝統派の風味を確実に残している。

現代的且つ包容力のある味わいは飲み手を選ばない。

コート・ロティの選び方

今までは単一畑ごとにワインを造るということがほとんどなく、北から南までいろいろな場所に植わるぶどうをブレンドしてひとつのキュヴェを造ることが一般的だった。

そのため畑ごとの個性よりも、生産者ごとの味わいのスタイルを理解する方が分かりやすかった。

それが最近はブルゴーニュのように畑の名前がラベルに記載され、ワインの個性を強調するようになる。

コート・ロティは大量生産ができるようなものではなく決して価格が安いわけではないが、品質に対する価格という観点で見ると、充分過ぎるほどのコストパフォ-マンスを持っている。

手を伸ばしづらくなったブルゴーニュワインから少し離れて、「エレガントなワインが好き」という方が頭に浮かべる選択肢として、日々進化を遂げるコート・ロティは実におすすめ。

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