Ghislaine Barthod(ジスレイヌ・バルト)
シャンボールのスター生産者といえばRoumier、Mugnier、Vogueであり、これに異論を唱えるものはいないだろう。ではここにもう一人加えて四天王を作るとしたらどうだろうか。残りの一枠を埋めるのはジスレイヌ・バルトである。たしかに三者と比較すると市場価格と知名度では大きな差があるかもしれないが、純粋なワインの品質は彼らと引けを取らない。むしろ飲みやすさという点で言えば、一番親しみやすいかもしれない。グラン・クリュこそ持っていないものの、11の1erクリュからシャンボールの個性を描き出すジスレイヌ・バルトは、シャンボールの教科書的存在と呼ぶにふさわしい。
目次
歴史
ドメーヌは1920年代にマルセル・ノエラによって設立された。マルセルの娘はディジョンに駐在していた軍人ガストン・バルトと結婚し、その後1960年代に夫婦でワインの道へ進むことを決意した。1986年には娘のジスレイヌが醸造を継いでワインを作り始める。ジスレイヌのパートナーであるルイ・ボワイヨは自身のドメーヌを持つが、畑作業は両者共同のメンバーで行い、醸造所も同じ場所を共有している。しかし醸造と販売はジスレイヌとしっかり区別されている。2018年からは息子クレモンが両ドメーヌに参画し、次なる担い手として頭角を現している。
畑
ドメーヌは1920年代にマルセル・ノエラによって設立された。マルセルの娘はディジョンに駐在していた軍人ガストン・バルトと結婚し、その後1960年代に夫婦でワインの道へ進むことを決意した。1986年には娘のジスレイヌが醸造を継いでワインを作り始める。ジスレイヌのパートナーであるルイ・ボワイヨは自身のドメーヌを持つが、畑作業は両者共同のメンバーで行い、醸造所も同じ場所を共有している。しかし醸造と販売はジスレイヌとしっかり区別されている。2018年からは息子クレモンが両ドメーヌに参画し、次なる担い手として頭角を現している。
栽培・醸造
比較的早めの収穫を行い、できる限りフレッシュさを保つよう心がける。ブドウは基本的にすべて除梗し、オープントップの木製発酵槽で自然発酵を行う。マセラシオンは伝統的なピジャージュとルモンタージュを行う。プレス後はRémondとFrancois Fréresのバリック(新樽20-25%)に移し、最大20ヶ月の熟成。
味わい
畑の格がヒエラルキーを作るブルゴーニュにおいて、グラン・クリュを持っているかどうかはそのドメーヌのブランドに大きな影響を与える。MusignyやBonnes Maresをポートフォリオに持っていることは市場に大きなインパクトを与えることができる。ではグラン・クリュを持つことが最重要なのか?と言うと決してそうではない。その最も良い例がジスレイヌ・バルトである。このドメーヌはグラン・クリュを持っていないことを忘れさせてくれるだけでなく、むしろ不要だとすら感じさせてくれる。というのも、MusignyやBonnes Maresといった特級ワインには「偉大であるはず」という飲み手からの過度な期待が常についてまわり、作り手にとっても「偉大でなければならない」というやっかいな重荷となることが少なくない。またこうしたブランド品はコレクターやオークションなど消費を目的としない層の目に止まりやすく、それゆえ法外な値段につながるリスクが高い。こうしたノイズの影響を一切感じる必要がないのがジスレイヌ・バルトのワインである。着飾らない純粋なシャンボール、その上品な味わいを知りたければ、ここ以上にお手本となるドメーヌはないだろう。とりわけ1er Charmesはシャンボールのエッセンスをすべて詰め込んだような味わいとなっており、ピュアで焦点の定まったアロマにはラズベリー、ワイルドチェリー、砕いた岩、バラの花弁、ブラウン・スパイスなどが感じられる。テクスチャーはサテンのように滑らかで、凝縮したフルーツのコアを支える背骨のような酸とチョーキーなタンニンが見事な張りを生んでいる。ボディや濃度があるにも関わらず決して上品さと焦点が失われておらず、あくまでもフローラルでエレガントな印象を与える。強烈なミネラルと塩味がつくる緊張感あふれるフィニッシュはシャンボールという村の個性を雄弁に物語る。
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