Meo Camuzet(メオ・カミュゼ)

メオ・カミュゼはブルゴーニュを代表するワイナリーの一つで、強豪ひしめくヴォーヌ・ロマネにおいても絶大な人気を誇る。アンリ・ジャイエ直系の弟子であり、リシュブールやクロ・パラントゥからコート・ドール最上のワインのひとつを生み出す。

 

歴史

ドメーヌの創業者エティエンヌ・カミュゼは、コート・ドール県の代議士を務める政治家で人生のほとんどをパリで過ごした。政治活動に勤しむ一方、彼はChâteau du Clos de Vougeotとその畑を購入し、メタヤージュ契約でブドウ農家たちへ貸し付けていた。最終的にこのシャトーはConfrérie des Chevaliers du Tastevin(利き酒騎士団)へと譲渡され、1946年にエティエンヌが逝去すると、娘のマリア・ノワロが畑を相続した。子供を持たなかった彼女が1959年に亡くなると、畑は近親のジャン・メオの手に渡った。

当時ジャンはエティエンヌ同様に政治に深く没頭しており、シャルル・ド・ゴール政権の閣僚という要職についていた。遠方パリからのワイナリー管理は困難を極めたため、畑の管理は貸付先の農家たちに頼らざるを得ず、地主としての取り分であるワインはバルクで販売されていた。この畑の貸付先の一人にアンリ・ジャイエがいたことは有名な話だが、実際にアンリは40年以上にも渡ってメオ・カミュゼの畑を耕し続け、アンリ・ジャイエのラベルでワインをリリースしていた。1980年代半ばになると、メタヤージュ契約が切れてブドウ農家たちが畑を返還する動きが起こった。このため1985年頃からドメーヌ元詰め体制が本格化していった。またジャン・メオはワイナリーを次世代へ任せる事を考え始め、息子ジャン・ニコラに話を持ちかけた。

パリでビジネスを学んだジャン・ニコラがヴォーヌ・ロマネに戻ったのは1989年。所有畑を他者に貸し付けるのではなく、自分でワインを作る決意した彼は、畑を誰よりも熟知するアンリ・ジャイエに助けを求めた。表向きには引退を宣言していたものの、アンリはジャン・ニコラをサポートしドメーヌを影で支えた。ワインの品質の高さは無論のこと、珠玉の畑に加えアンリ・ジャイエとのエピソードも相まってメオ・カミュゼのワインは世界中で引く手あまたとなった。ジャン・ニコラは増え続ける需要に応えるため2000年代初期に姉妹らとネゴシアン会社メオ・カミュゼ・フレール・エ・スールを立ち上げた。ドメーヌのラインナップはヴォーヌ・ロマネが中心となるが、ネゴシアンではコート・ド・ニュイのアペラシオンを網羅的にカバーし、コート・ド・ボーヌもいくつか手掛ける。

 

約14haの畑を所有。特級畑はRichebourg(0.34ha)、Echezeaux(0.44ha)、Clos de Vougeot(3ha)、Corton Clos Rognet(0.45ha)に加え、2010年からCorton Les Perrières(0.6ha), Corton La Vigne au Saint(0.19ha)が加わった。もともとChâteau du Clos de Vougeotの所有者であったことから広大なClos de Vougeotの中でも最上のポジションである斜面上部、城の直ぐ真下に区画を所有している。

1erはCros Parantoux(0.3ha)を筆頭にAux Brulees(0.72ha), Les Chaumes(2ha)を所有。ニュイ・サン・ジョルジュにも2つの1er (Aux MurgersとAux Boudots)を所有する。これに加え複数の村名ワイン、ブルゴーニュ・ルージュ、そしてオー・コート・ド・ニュイの白ワインがある。

 

栽培

畑では全てが手作業で行われ、ブドウ木一本ごとに丁寧に接する。ケミカルではなくオーガニック肥料が使用され、馬による定期的な耕作で雑草をコントロールする。畑のほとんどが有機栽培だが、ドメーヌは認証にこだわっていない。基本的には冬の剪定を厳しく行うことで収量を制限し、必要であれば5月に芽かきをする。キャノピーの通気性と日当たりを良くするために根本の葉を除葉し、状況によってグリーンハーヴェストも取り入れる。健全で完熟したブドウのみを手摘みで収穫し、潰れるのを防ぐために15-20kgの小さなカゴにいれてセラーへと運ぶ。その後6-12人体制でさらに厳しい選果を行う。選果台では約5-20%のブドウが取り除かれる。

 

醸造

「私のワインメイキングの哲学を作ったのはアンリ・ジャイエです」というジャン・ニコラ。学校では醸造の理論と分析を学ぶも現場での実践がなかった彼は、ジャイエに教えを請い、その哲学に触れた。「ワインは何よりも喜びをもたらしてくれるもの。良いワインというのは果実味に溢れ、ボディーがありタンニンが溶け込んでいるべきなんだ。」一方で、ジャイエの教えに100%忠実に従うのではなく、自ら理想とするスタイルを追い求める姿にジャン・ニコラのこだわりを感じる。ジャイエのスタイルよりもわずかにタンニンがあり、ストラクチャーがあるワインが好みだというジャン・ニコラは、師からの教えを継承しつつも、やや強めの抽出や年によって全房を取り入れるなど自分のスタイルを確立させた。

セラーでは基本的にブドウを除梗し、発酵前に15℃の低温で3-5日間のコールドマセラシオンを行う。その後コンクリートタンクで自然発酵が始まる。最初の数日はルモンタージュを行い、発酵の後期にはピジャージュを行う。熟成に使う樽は厳しいテイスティングを通して各アペラシオンに最適なトーストレベルと樽会社がセレクトされる。新樽率は村名ワインで約50%、1erで60-70%、特級で100%となる。約17ヶ月の熟成を経てからラッキングしてブレンドされる。基本的に清澄は行わず、ノンフィルターでボトリング。

 

味わい

「過度に凝縮したワインは好きではありません。エレガンスが失われますから。偉大なワインを作るのに必要不可欠な要素-バランスとフィネス-これこそ私が求めるものです。」こう語るジャン・ニコラのワインは、フルボディでリッチ、凝縮感があり比較的高めの新樽が特徴的と言える。しかし同時に、各要素のバランスが高い次元で取れており、ばらつきを感じさせないため見事な一体感が味わえる。アロマには完熟したチェリー、プラムやザクロなどの甘やかな果実とバラの花弁が感じられ、それを新樽由来のクローヴ、スモーク、エスプレッソローストのような香ばしさ、トースティーなニュアンスが包み込んでいる。口の中では凝縮感・エキス感をフレッシュな酸と硬めのタンニン、ミネラルが支えることで見事なテンションが生まれている。なめらかな質感と多層的なフレーバーが口に中を満たす。味わいの密度は高いものの深みと立体感があるため過度な重さは全く感じられない。まさにバランスとフィネスを感じる味わいとなっている。

 

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