Pierre Peters(ピエール・ペテルス)
ピエール・ペテルスはコート・デ・ブランのグラン・クリュを中心に計18haを所有するブラン・ド・ブランのスペシャリスト。
少しも濁ることなく、ピュアでクリーンでまっすぐなスタイルは多くの人々を魅了している。
特にフラッグシップであるシェティヨンは秀逸であり、メニル・シュル・オジェでトップの1つであるシャンパン。
目次
■歴史
1858年 設立
ルクセンブルグ出身のGaspar Petersがグラン・クリュのメニル・シュル・オジェ村にブドウ畑を約2ha所有するブドウ栽培家の娘、ドゥエと結婚し栽培家としてのキャリアがスタートした。
この時のブドウは自社詰めせずに全てネゴシアンに販売している。
(they sold their whole harvest to trading businesses.)
1919年 RMの始まり
Gasparの孫であるカミーユ・ペテルスは、シャンパーニュ地方でいち早く栽培から瓶詰、販売まで一貫して自社で行うことを決意。「カミーユ・ペテルス」の名前でシャンパンの販売をスタートし、レコルタン・マニュピュラン(RM)の歴史が始まった。
それから10年後の1929年、世界的な大恐慌にも負けずにカミーユは元詰めの生産量を増やし、ついに100%自社元詰めとなる。
1944年 ピエール・ペテルスとしてのスタート
RMとして勢いづいて来た頃にカミーユが急死。当時若干22歳の息子、ピエールが跡を引き継ぐことになった。
12歳で単身パリに渡り、シャンパンを展示会に出展したりビストロに売り歩くほどアグレッシブだったピエールは、若いながらも度胸とセンスがあり、2年後には「ピエール・ペテルス」として最初のヴィンテージ(1944VT)をリリースした。
1967年 3代目フランソワ
ピエールが病床に臥し、ドメーヌを息子のフランソワに相続。
そしてアヴィズ、オジェ、そしてメニル・シュール・オジェを中心に自社畑も17.5haに拡大し、コート・デ・ブランを代表するRMの1人となった。
2007年 4代目ロドルフ・ペテルス
フランソワの息子ロドルフ・ペテルスが12年間の経験を積んだ後、ドメーヌに戻りワイン造りに参加した。
現当主であるロドルフの代になって、よりテロワールをワインに反映させることに力を入れている。
例えば、先代まではメニルの特徴である強い酸を和らげるためマロラクティック発酵をしていたが、ロドルフは逆にこの酸を活かすため徐々にその割合を減らし、2019年には約50%マロラクティック発酵を行わないようになった。
実はヴーヴ・クリコで30年間醸造責任者を担い、多大な功績を残したジャック・ペテルスはロドルフの叔父にあたる。(フランソワの兄)
2008年にジャックはヴーヴ・クリコを引退し、ピエール・ペテルスの監査役を務めると同時にロドルフの相談相手となっている。
最近はアドバイスもそこそこに、フランソワとゴルフ三昧の日々らしい。
番外編 ジャック・ペテルス
ヴーヴ・クリコで30年間醸造責任者を担い、多大な功績を残したジャック・ペテルス。
実は彼はロドルフの叔父にあたる。(フランソワの兄)
2008年にジャックはヴーヴ・クリコを引退し、ピエール・ペテルスの監査役を務めると同時にロドルフの相談相手となっている。
最近はアドバイスもそこそこに、フランソワとゴルフ三昧の日々らしい。
■レ・シェティヨン
ピエール・ペテルスをピエール・ペテルスたらしめるのはこの畑、シェティヨンであることは間違いない。
1930年にペテルス家が取得したこの畑は、クリュッグのクロ・デ・メニルと双璧を成すと言われるほどメニル、いやコート・デ・ブラン全体で見ても秀逸な畑に数えられる。
45種類のシャルドネのクローンが植えられており、1番古い樹齢の木で1936年。
1971年にリリースされてから良年のみ生産され、出来上がったワインは厳格で、引き締まった美しいミネラルが特徴。
まるでメニルそのものを体現するような壮絶なミネラルと鮮烈な酸は、決して初心者向きのシャンパンではない。
ロドルフいわく『セ・ギャルソン・ディフィシル(手に負えない子供)』。
15年ほどの熟成期間を経たときにようやくその偉大なワインの本質が垣間見える。
必要なものはそう、辛抱だ。
■ラインナップ
ピエール・ペテルスの面白いところは、ラベルがそれぞれのイメージカラーに分けられているところ。
Cuvée de Réserve Blancs de Blancs(キュヴェ・ド・レゼルヴ ブラン・ド・ブラン)
品種 | シャルドネ 100% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オジェ |
ドサージュ | 6~7 g/l |
グラン・クリュに所有する区画全てをブレンドした入門編的キュベ。
一言で表現するならば『塩気』とロドルフ。年産125,000本。 |
EXTRA BRUT(エクストラ・ブリュット)
品種 | シャルドネ 100% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オジェ |
ドサージュ | 2g/l |
一番搾りのみを使用。5%のリザーヴワインを混ぜている。
ドサージュ量を抑え、よりテロワールの個性を表現した造り。 エチケットはグレー。白い果実やミネラル、冷たさや硬質さを表現している。 |
Millésimée L’ESPRIT(ミレジム・レスプリ)
品種 | シャルドネ 100% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オジェ |
ドサージュ | 4.5~5.5 g/l |
区画のブレンド内容は”Extra Brut”と同じ。味わいのニュアンスやイメージにより、”L’Esprit”にするか”Extra Brut”にするか決定する。
エチケットはベージュ。オレンジや黄色の果実、スイートシナモンや紅茶のような暖かい印象。 |
Reserve Oubliee(レゼルヴ・ウブリエ)
品種 | シャルドネ 100% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オジェから選ばれた区画 |
ドサージュ | 4.5g/l |
グラン・クリュのシャルドネをステンレスタンク、フードル、セメントタンクで熟成。そのリザーヴワインを100%使用して造られる1本。明るい果実の香りがありつつも、モカやスモークのアロマが複雑に絡み合う。 |
Les Chetillons(レ・シェティヨン)
品種 | シャルドネ 100% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ |
ドサージュ | 3,5~4,5 g/l |
メニル・シュル・オジェにある計1.2haの3区画の畑には45種類のシャルドネのクローンが植えられている。
1930年にペテルス家が取得したこの畑は、クリュッグのクロ・デ・メニルと双璧を成すと言われるほどメニル、いやコート・デ・ブラン全体で見ても秀逸な畑に数えられる。 1971年にリリースされてから良年のみ生産され、出来上がったワインは厳格で、引き締まった美しいミネラルが特徴。 きれいに熟成するまで15年くらいかかる。本当においしく飲めている人はごくわずか。 |
Rose for Albane(ロゼ フォール・アルバンヌ)
品種 | シャルドネ 60%、ピノ・ムニエ40% |
畑 | グラン・クリュ:メニル・シュル・オジェ、Cumieres、Dammery |
ドサージュ | 7~8 g/l |
ロドルフが就任し2008年に初リリース。彼の娘アルバンヌの名を冠している。ブラン・ド・ブランのみを生産していたピエール・ペテルスの小さな革命であるロゼ。ル・メニル100%のシャルドネと、シャルドネのエレガントさを引き立たせる為に、あえてピノ・ムニエ100%のロゼをセニエとしてアッサンブラージュ。ヴァン・ド・レゼルヴは15~20%。(ピノ・ノワールを使用しないのはル・メニルのピノが強すぎるため)
快活で華やか、そしてスパイシー。 |
■生産者情報
本拠地 | メニル・シュル・オジェ村 |
栽培方法 | リュットレゾネ |
所有畑 | 22.5ha(メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、オジェ、クラマン、セザンヌ) |
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