Pomerol(ポムロール)
ボルドーの中で最も小さく、最も需要の高い産地 キング・オブ・メルロ
目次
■特徴
サンテミリオンと並ぶ右岸の2大優良産地だが、その面積は800haとサンテミリオンの1/4と実に小さい。
これ以上開墾できる畑はなく、もちろん生産できるワインの本数も限られるが世界からの需要は高まり続けている。
ボルドーの銘醸アペラシオンの中では唯一格付けが存在せず、それぞれのシャトーが自分の立ち位置を暗黙の内に理解しているのだそう。
全体的にシャトーのレベルは高いのだがその頂点に君臨しているのがシャトー・ペトリュスで、ポムロールを世界的な銘醸地にまでのし上げたのはこのワイナリーと言っても過言ではない。
年産約4,500ケースしか生産されず天文学的な価格を叩きだすこのワインは、おそらく世界中に倍以上の数の偽物が横行している。
オークションサイトではペトリュスの空き瓶が多数落札されているが、その使い道はあまり考えたくない。
メルロのワイン
ボルドー左岸がカベルネ王国だとしたら右岸はメルロの王国である。
とりわけポムロールは栽培比率の80%がメルロで、ボルドーの中で最も比率が高い。
冷たい粘土の土壌が広がりカベルネより早熟のメルロの栽培に適しているためだが、場所によっては砂利や砂が混じる。
生産されるワインのスタイルはとろけるような舌触りとプラムやベリーの柔らかい果実、モカやトリュフのような官能的なまでのアロマが特徴的で、まさに良いメルロのお手本。
10年待たなければ飲めない、むしろ待つことが美徳とされた時代は終わり、多くの人々は今飲めるワインを求めている。
ポムロールのワインはこうした飲みごろの速さも兼ね備えていて、それも人気の1つである。
歴史
ポムロールがその名声を手にしたのは1970年代以降と意外にも最近のこと。
それ以前は地産地消の安ワインとして知られており、ボルドー市街に陣取るワイン商人たちは目も向けなかった。
それから時が経ち、消費者の好みの変化とシャトー・ペトリュスの伝説ともいえる成功、アメリカやイギリスへの巧妙なプロモーションとガレージワインの先駆けであるル・パンというスーパースターの登場など、ここ数十年で大きくその立場は変わった。
優れたコンサルタントでありエノロジストのミッシェル・ロランが手掛けるいくつかのワインも話題となり、不動の地位を手に入れる。
■データ(出典:ボルドー委員会)
栽培面積 | 約813ha |
土壌 | 全体的に粘土の割合が高く、場所によって砂、砂利、石灰などが混じる |
生産量 | 約33,580hl |
シャトー数 | 約138 |
格付けシャトー数 | 21 |
栽培品種 | メルロ80%、カベルネ・フラン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン5% |
-
前の記事
Saint-Emilion(サンテミリオン)
-
次の記事
記事がありません