Robert Groffier(ロベール・グロフィエ)

所有畑のロケーションからシャンボール・ミュジニーの生産者だと思われがちだが、グロフィエがドメーヌを構えるのはモレ・サン・ドニである。しかし、モレには畑を所有しておらずお隣ジュヴレ・シャンベルタンには特級を持つというユニークなドメーヌである。

 

歴史

ドメーヌの起源は19世紀のフレデリック・グロフィエまで遡ることができる。畑の規模が拡大したのは彼の息子ジュールの時代であり、1933年にBonnes Mares、1er Les Amoureuses、1er Les Haut Doixを、第二次世界大戦後に1er Les Sentiersを取得し、1953年にChambertin Clos-de-Bezeを手に入れる。畑を拡張してドメーヌの基盤を築いた後、ジュールの息子ロベールは1960年代に自社瓶詰めを開始した。その後、ロベールの息子セルジュが継ぎ、2004年からはセルジュの息子ニコラがワイナリーで働き始めた。その3年後に当主となったニコラは、それまでの醸造アプローチをガラリと変え、純度とフレッシュさに焦点を当てるようになった。ニコラの改革はワインメイキングだけにとどまらず販売方法にまで及ぶ。「テロワールの味が現れてくるにはだいたい12年かかる」とVinousに語るニコラは、飲み手に土地の個性を味わってほしいと願っている。しかし、実際には多くのワインが早く飲まれているため(あるいは投機対象になっているため)、生産量の一部をドメーヌのセラーで寝かせ、熟成させてから販売するレイト・リリースを2014年頃から取り入れている。また、Les Amoureusesを細分化し、2022年から2種類の異なる土壌(粘土質と砂質)からキュヴェを作り分けるようになった。

 

シャンボールとジュヴレに8haの畑を所有する。特級はBonnes-MaresとChambertin Clos-de-Bezeであり、Bonnes Maresは北側(モレ側)の斜面中腹~下部(テール・ルージュ土壌)に0.98haを所有する。Clos-de-Bezeは中央北部よりの0.4ha、斜面上部から下部の一つながりの区画を持つ。1erはLes Amoureuses(1.12ha)、Les Hauts Doix(1ha)、Les Sentiers(1.07ha)を持つが、特筆すべきはLes Amoureusesである。Musignyに隣接するこの畑は全体で5.4haの規模を持ち、ざっくり4つの区画に分割できる。(1)北部(Musignyのすぐ北)、(2)中部北側(シャンボール側)、(3)中部南側(ヴージョ側)、(4)南部(3の下部)となっており、(1)〜(3)までの土壌はコンブラシアン石灰岩でMusignyと同じである。一方、(4)は牡蠣の化石を含む白いマール土壌で、Bonnes Mares上部(テール・ブランシュ土壌)と同じである。グロフィエは(2)と(4)に合計1.12haを持ち、この畑の最大の所有者となっている。なお、2つの土壌にまたがってLes Amoureusesを所有するのはグロフィエ以外にはDrouhinだけである。グロフィエではこの土壌の違いを表現するためにキュヴェを作り分けており、一つは(2)の石灰岩に砂が混ざる区画で、よりミネラル感が強く張りのある味わい。もう一つは(4)の粘土の区画で、よりフルボディな味わいとなる。村名はGevrey Chambertin Les Seuvrees(0.82ha)を持ち、広域ではBourgogne Rouge(1.4ha)とガメイがブレンドされるPassetoutgrains(0.7ha)を持つ。

 

栽培

ドメーヌでは2005年から除草剤の使用をやめている。ニコラはセラーではなく畑で凝縮度の高いブドウをとるために厳しい芽かきで収量を制限している。仕立ては一般的なグイヨではなくコルドン・ロワイエを採用しており、その理由は萌芽を遅らせて霜の被害を減らすためだと言う。収穫中の厳しい選果は無論のこと、セラー到着後にも再び選果を行う。

 

醸造

グロフィエの醸造スタイルには大きな変化が見られる。以前は抽出が強く、アルコールも高めで、樽感がきつくテロワールというよりも醸造テクニックのワインだった。WAやVinousでもこの指摘があり、テイスターたちはグロフィエから足を遠ざけていた時代があった。そんな彼らはニコラによる新たなアプローチのワインを飲んで以来、毎年このドメーヌにテイスティングに来るのが楽しみでしょうがないという。ニコラのもとでは醸造に決められたルールはなく、新樽率と全房比率が年とキュヴェによって大きく変わる。例えば通常ブルゴーニュ・ルージュは完全除梗で造られることが多いが、2021年は全キュヴェで全房100%を導入した。またBonnes Maresを完全除梗で仕込んだ年の翌年に全房100%で仕込んだりと、その年の天候とブドウ(と茎)の熟度によって柔軟に対応している。

 

味わい

独特の過熟感と強めのオークが香るパワフルなワインだったかつてのグロフィエはニコラの手によって品格のある味わいとなった。全房を取り入れて新樽率を下げたため、何よりもまずフレッシュさが感じられるようになった。その結果、醸造テクニックでマスキングされていたテロワールの個性がよりクリアに、エレガントに表現されるようになった。近年さらにエレガンスとテロワールの表現の追求の勢いが増しており、純度の高い果実には透明感が宿るようになった。力強さはあるものの過熟感や重さは一切なく、フィニッシュまで持続するテンションが見事な緊張感を与えてくれる。

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