Touraine(トゥーレーヌ地区)
注目すべきはシノン、ブルグイユとヴーヴレ。 ロワールの赤ワイン産地 ボルドー右岸と並ぶカベルネ・フランの銘醸地
合計1.6万ha以上の広大な地域であるトゥーレーヌ地区。
赤、白、ロゼ、スパークリング、辛口から甘口まで多彩なタイプのワインが産出される。
ただ、広いトゥーレーヌの中で注目すべきAOCはシノン、ブルグイユとヴーヴレだろう。
シノンとブルグイユはロワール最高の赤ワイン産地の1つ。
ソーミュールと隣接しておりロワール河を挟んで北にブルグイユ、南にシノンという位置にある。
ブレンドが認められているものの、カベルネ・フラン100%で造る生産者がほとんど。
フランス国内ではボルドーの右岸でもフランを使用するが、100%で仕込むところはこのAOCのみ。
チャーミングなラズベリーと爽やかなピーマンのアロマがあり、早飲みに向いているが、特に傑出ものだと十年以上の熟成にも耐えるポテンシャルもある。
目次
■シノン
適度なミネラルがあり、余韻が長くエレガント。
同じカベルネフランで造られるブルグイユのワインと比べるとスミレのようなアロマがあることが大きな違いで、それがシノンの愛すべき個性でもある。
ただ、ブラインドでシノンとブルグイユを飲み分けることが困難なほどキャラクターは似ている。
大きな協同組合ではシノンの方が約10セントほど高く販売されているので、あえて言うならブルグイユよりもやや格上と言える。
パッチワークみたいに多彩な土壌で、優れたワイナリーだとブルゴーニュのようにそれぞれ畑ごとに醸造し長期熟成向きに造られることが多い。
土壌は大まかに分けると3つに分類することが出来る。
①ヴィエンヌ河沿い…砂利と砂と礫=軽やかで早飲み向きのチャーミングなスタイル
②丘の中腹…テュフォー(白亜質の石灰)=フローラルな香りが出やすい
③丘の上部…軟らかい粘土と石灰岩=長熟向きのフィネスにあふれたパワフルなスタイル
①の土壌のワインが生産の大部分を占めており、1番国内消費量が多くパリのビストロなんかでよく使われている。
最もシンプルな土壌では「イースターのワイン」が造られている。(収穫した翌年の春に飲む=早飲み向きのワイン)
年を重ねるごとに魅力を発揮するワインもあるが、そういったものはヴィンテージの良し悪しが重要になってくるので、暖かいヴィンテージを狙うのが吉。
③の土壌で造られる赤ワインがシノンの本質といっても良い。
特に良いヴィンテージのものは半世紀寝かせても大丈夫なほど長熟。
■ブルグイユ
チェリーやイチゴのような塾度の高いアロマが特徴で、それによってシノンと見分けられるとも言われるが絶対的なものでもない。
高低差60m以上の急な斜面の、だいたい50mのあたりから上部にブドウが栽培されている。
土壌は大まかに分けると2つに分類が出来る。
①48~50m帯…礫と砂=エレガントでフィネスにあふれた熟成向きのスタイル
②それより上部…粘土石灰岩=生き生きとした濃い色合いで、若いうちは細身だが徐々に複雑になっていくスタイル
2つの土壌でキュベを分けてリリースをする生産者もいるし、よりよいバランスを求めてブレンドをする生産者もいる。
一昔前は十分にブドウが熟さないまま収穫され、そのままワインにされてしまうことがあり、青臭く粗野なタンニンが目立つものが多かった。
その印象が強く残っていて、カベルネ・フランが苦手という人も多い。
しかし現在は温暖化の影響や、生産者の努力によって改善されてきている
どうせ飲むのであれば良いシノンを選んでもらい、その独特の個性にぜひ挑戦してほしいと思う。
主なブドウ品種 | 黒ブドウ:カベルネ・フラン、グロスロ、ピノ・ドーニ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ガメイ、コット、ピノ・ノワール
白ブドウ:シュナン・ブラン、ムニュ・ピノー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン |
気候 | 西側は海洋性気候、東側は大陸性気候 |
土壌 | 母岩はテュフォーの白亜質。表土は粘土石灰や砂、礫など様々 |
主なAOC | ・Touraine
・Touraine-Amboise ・Touraine Mesland ・Touraine Azay-le-Rideau ・Bourgueil ・Saint-Nicolas-de-Bourgueil ・Chinon ・Vouvray ・Montlouis ・Valencay |