Weinbach(ヴァインバック)

アルザスを代表する一人であるヴァインバックは、特級Schlossbergの最大の所有者(12ha)としても知られている。


歴史

ヴァインバックのルーツは17世紀初期のカプチン修道会にまで遡り、当時の修道僧たちは周辺に広がる7haのブドウ畑を耕していた。ワイナリーはフランス革命まで修道会の所有であったが、その後国有となり、1898年になめし革職人であったファレール家の兄弟(テオドールとジャン・バチスト)の手に渡った。その後、1920年代後期に二人はChateau Weinbachとして自社瓶詰めを開始した。第二次世界大戦後に二代目テオが引き継いでからDomaine Weinbachへと改名し、畑の拡張と品質向上を通して評判が高まっていった。

1979年にテオが逝去した後、残された妻コレットと娘たち(カトリーヌとローレンス)がドメーヌを継いだ。その後、2003年にカトリーヌの息子テオが加わり、畑の世話をするようになった。2010年までローレンスがワインメーカーを務めるが、子育てに専念するために一旦ワイナリーを離れる。その後2013年にフルタイムで復帰するものの、翌2014年に47歳の若さで急逝してしまう。ローレンスの跡を継いだのは長年彼女の右腕として活躍していたジスレイヌ・ベルチオである。

2017年にはブラジルで銀行員として働いていたカトリーヌの息子エディが帰国し、ワイナリーに加わった。彼はジスレイヌとともに醸造を見つつ、母カトリーヌとともにコマーシャル部門も担当している。

 

所有する38haの畑は全てドメーヌから2.5km以内に位置している。畑の約90%が白ブドウで、そのうちリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリの3品種が大部分を占め、残りはオーセロワ、シルヴァーナ、ピノ・ブラン、ミュスカとなる。黒ブドウはピノ・ノワールに加え少量のシラー、グルナッシュを育てている。

ヴァインバックは4つの特級を持つ。フラッグシップとなるSchlossbergにはリースリングと少量のピノ・ノワールが植わっており、土壌は花崗岩をベースに砂が混ざっている。複数キュヴェが生産されており、斜面下部(標高230m)の表土の厚い土壌からはColetteが、上部(標高400m)の浅い土壌からはSchlossbergが、そして中腹部にある樹齢60-70年の最古樹からはSte Catherine が生まれる。FurstentumとMambourgは石灰岩とマールの土壌を持ち、素晴らしいゲヴュルツトラミネールを生む。Marckrainは石灰岩の小石が多い土壌で、リッチなゲヴュルツトラミネールとピノ・グリを生む。また歴史的なモノポールClos des Capucins(5ha)も所有しており、土壌は花崗岩をベースに砂質のシルトが広がる。

 

栽培

ドメーヌは1998年からビオディナミを始め、2010年にDemeter認証を取得。従来Schlossbergではカバークロップを使用せずにブドウを育ててきたが、近年試験的に導入をスタートした。この背景には気候変動による水分蒸発問題があり、導入によって水分と湿度が保たれるようになった。しかし一方で、カバークロップはしっかりコントロールしないと逆に畑の水分を奪ってしまうため注意が必要だとエディは言う。

気候変動への対応はカバークロップだけにとどまらず、新品種の栽培にも見られる。気温の上昇と極端な降雨パターンによってSchlossbergの上部区画に植わる一部のリースリングが水分ストレスで苦しんでおり、水はけの良い花崗岩土壌がさらにブドウを苦しめていた。この問題に直面したてヴァインバックは数年前に伝統的なアルザスの品種ではないが水分ストレス耐性のある晩熟なシラーとグルナッシュをリースリングに接ぎ木するという大胆な手法を取り入れた。

 

醸造

収穫されたブドウは厳しい選果の後、丁寧に時間をかけてプレスする。大きな古樽(一部ステンレスタンク)で天然酵母による自然発酵を行うため、キュヴェによっては発酵終了まで1年近くかかるものもある。通常マロラクティック発酵も行い、澱とともに長い間熟成を経てから瓶詰めする。

 

味わい

リースリングはドライなスタイルだが、蜂蜜やピーチ、パッションフルーツやマンゴーといったトロピカルの要素がアルザスらしいリッチなテクスチャーを生んでいる。一方で、レモンやライムの果汁がフレッシュ感を与え、火打ち石のようなスモーキーなミネラルと塩味、そして柑橘の皮を思わせるフェノーリックなグリップが余韻をしっかりと引きしめている。パワフルだがテンションがあり、しっかりとしたボディを持つが同時に唾液を誘うほどのフレッシュさがある。この見事なバランスが素晴らしい。ゲヴュルツトラミネールは砂糖漬けのレモン、ライチ、バラ、オレンジブロッサムが織りなす力強いアロマを持つ。残糖をしっかりと残すスタイルであるため、非常にソフトでクリーミーなテクスチャーを持ち、リッチでふくよかなボディを見事な酸が支えている。オレンジピールとスパイスが長い余韻にアクセントを添えている。

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