初めて嗅いだ時にそのピュアさに驚きました。ブドウ品種の個性もそうですが、オーブという南にあるテロワールが不思議と感じられます。綿菓子や雪解けを連想させる泡のムースを感じたければヴェット・エ・ソルベです
「白い粘土」の名の通りの土壌から生まれた、柔らかく雪解け水のようなピュアで繊細さを魅せるブラン・ド・ブラン。

シャンパーニュ地方最南端のオーブ県、ビュシエール・シュル・アルス村。代々農業とブドウ栽培を家業とする家系に生まれたベルトラン・ゴトロ。
彼のこだわりはまさに造るシャンパーニュに現れていて、最初のヴィンテージは土壌から残留化学肥料や農薬が完全に抜けた9年後。その間は自らの名でのシャンパーニュ・リリースを見送り続けたといiいます。1992年に父から受け継いだ後、すぐにオーガニックに、1998年からはビオディナミ農法を開始。1999年からジャック・セロスの元で研修を行い、2001年にはビオディナミ認証を取得。
年々購入が難しくなっているまさに人気の生産者です。

通常のシャンパーニュでは行わない天然酵母による発酵にこだわり、畑も全てビオディナミで管理。
4haの自社畑はジュラ紀層の土壌。シャブリに近いオーブならではで、3/4以上がキンメリジアン土壌です。残りがポートランディアン(チトニアン)時代の断層から成っています。ビオディナミのプレパラシオン（調合剤）を用い、畑を耕すのは土に負担のかからない軽量の小型耕作機。収穫作業は手摘みで3週間かけて完璧なブドウのみを摘みます。

醸造工程では、伝統的なコカール（製垂直式プレス）で圧搾。その後オーク樽で発酵・熟成。樽はブルゴーニュの生産者（Arnaud Enteなど?）から譲り受けたものを使用します。翌年の春にはマロラクティック発酵が自然発生。
まさに『自然』なワイン造りを心掛けています。

ブラン・ダルジル、「白い粘土」とついた名のキュヴェはその名の通り、キンメリジャン地層の単一畑土壌から生まれたブラン・ド・ブラン。その畑は極端に収量が少なく、凝縮したブドウがとれる西向きの区画。
チョーク質のブラン・ド・ブランより柔らかく雪解け水のようなピュアで、繊細さを魅せます。

生産者を知ると、ワインはもっと美味しくなる

VOUETTE & SORBEE

ヴェット・エ・ソルベ

生産者の概要

飲むものはみな虜に。テロワールと言うリアリズムを追究したシャンパーニュ。

３つのポイント

「ヴェット・エ・ソルベ」というドメーヌ名は、「ヴェット」「ソルベ」という2つの優良畑の名前が組み合わせられたもの。
造り手「ベルトラン・ゴトロ」は、あのアンセルム・セロスの下で修業しながらシャンパーニュ造りを現場で学んだ男。
ベルトランは92年に畑を継承し先代までと栽培法を改新。ビオディナミ農法転換に忍耐強く時間をかけ、9年後の2001年に漸く初リリース。

生産者のこだわり

大手だろうが小規模生産者だろうが、造り手の名前をブランド名とすることの多いシャンパーニュ地方で「所有する優良区画にある2つの畑前をそのまま並べて生産者名にした」というところからして、まず視座が違うのだということを感じる。そこには、シャンパーニュを作品として仕立てる職人/アーティストとしての栽培家・醸造家よりも、最終的には原料となるブドウが育まれたテロワールこそが作品の個性であり造り手そのものなのだ、という極限までリアリスティックな哲学が確固として存在するのだろう。ベルトランは父の代まで畑に散布されていた化学肥料を使うことをやめ有機栽培に転換しつつ、畑の土壌を徹底的に分析。自らが理想とするシャンパーニュを作るために、9年もの歳月をかけて、忍耐強く学び、考え続けた。…そんなベルトラン・ゴトロが手掛けるシャンパーニュは、どのキュヴェもエレガンスと気高さ・重厚な本格感に溢れながらも決して饒舌な印象は無く、地に足のついた現状認識を感じさせるシャンパーニュだ。だからこのシャンパーニュは、じっくりと一人で向き合うための時間や、心の内側をさらけだすコミュニケーションの時間にこそふさわしい。