≪こんな香り･味わいのワインです≫：
フローラル感・スパイス感よりもまずは「果実のじゅくじゅく感＆豊富なタンニン」に印象が集約されてくるローヌ・シラー。香りはカシスや甘く熟したダークチェリー、プルーンペーストなど。抜栓したての時点ではスパイスや花の感じよりもとにかくフルーツの完熟した香りがすべての印象をリードしてまとめています。完熟感、すごいです。
そしてコート・ロティらしいとにかく豊富に含有されたタンニン、抜栓直後はタンニンがかなり暴れん坊でガッシガシ、現段階ではそもそも長期戦を前提として開けたほうが良い1本です。味わいは香りの印象通りに甘さもしっかり濃厚に展開、リッチでスケールの大きいワイン、という印象で始まりました。
抜栓1時間後くらいから全体が柔らかくなり、2時間後くらいにはタンニンがしっかり溶け込んで締め付け感はやっと落ち着きます。出来れば飲み始めの2時間前には開けておきたいところ。
そしてここから先がこのワインの真骨頂。飲み残し半分を冷蔵庫で保管したところ翌日以降に一気に華やかに変化、ここでやっとシラーらしい花の香りや挽き立て黒胡椒の抜け感、そして樽のビター感はっきりと。長期戦どころじゃなかった、延長戦があるものと思って是非2日以上に分けて楽しんでください(ちなみに、グラス1杯分だけ残した3日後も全然大丈夫、おいしく堪能しました)。1本で数日たっぷり楽しめる、ワイン好きには実に嬉しく楽しい1本です。

≪このワインとのマリアージュ料理は？≫：
料理は、濃い味付け・濃厚なソースの肉料理だとワインとバッティングしてもたれてしまいます。シンプルに塩胡椒・ガーリックで焼いたラム肉、などにこのワインをソースにする感覚で楽しむのが良いかと思います。

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
コート・ロティの特性は何といってもローヌ随一を誇るガッシリ系タンニン。これを「柔らかくするのか/より強く楽しむのか」によって設定温度が変わるかと思います。味の濃い肉料理などと合わせるなら少し冷やしを強め(冷蔵庫45分-1時間/アイスバケツ5-6分くらい)にするとタンニンがより強調され、渋みが肉の脂分をしっかりと捉えるはず。一方で、柔らかくリラックスして楽しみたいならごく軽めの冷やしを。温度帯が高いほうが、タンニンのシルキー感が際立ち、伸びます。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
上記したようにタンニンの量・強度共にかなりのものですので、温度設定と同様にそれを「ほどくか/更に凝縮させるか」によって選ぶグラスが変わってくるかと思います。僕自身は中サイズ位の丸型ブルゴーニュグラスに入れ、酸を引き出すことで好みのバランスになりました。一方で「とにかくパワフルなワインをガツンと愉しみたいんだ！」という方は口細・卵型のボルドータイプグラスで。タンニン分が強調されてとにかく力強く。2日目でも全然パワーが落ちませんでした。