『シャトー・マッソン』はブルゴーニュ コート・ド・ボーヌ地区を中心に8haの畑を所有する小規模生産者。これまでは主にフランス国内市場やアメリカのワイン愛好家に直接販売してきたため、日本ではほとんど見かけることがありませんでした。
先般の初案内は、シャトーのオーナーであるピエール・イヴ・マッソンさんが引退されたため、シャトーのカーヴに眠っていた貴重なセラーストックが市場に開放されてのタイミング。フィラディスはその中から目ざとくヴィンテージが古めで状態も良く、且つコストパフォーマンスに秀でたキュヴェだけを選んで買い付けを実施しました。そして今回のリリースは、2002年のポマール1級に続いての2003年のボーヌ・プルミエ・クリュ、しかもこのエリア最上区画のひとつ『レ・グレーヴ』です。
今回もFiradis WINE CLUB分仕入れ本数は24本。日本への到着からフィラディスのセラー4か月ほど落ち着かせてありますので状態は万全です。前回ポマール1級をお楽しみいただいたお客さまも、今回はじめて『シャトー・マッソン』を知ったお客さまも、是非ご自宅でゆっくりと堪能してください。

≪こんな香り･味わいのワインです≫：
少しレンガ色を帯びたきれいな色調、良好な熟成をしていることが外観からもはっきり窺えます。チェリーやサンザシなど赤い果実のドライフルーツ的な印象がまず立ち上がり、東洋的なスパイス、華やかな赤や紫のドライフラワー、そしてシガーや少し動物的なニュアンスも感じられました。
ファーストタッチは軽やか、そしてこれだけの時を経てもまだ瑞々しくフレッシュな酸が優しく。果実の甘み、旨みも十分な重みを以て存在感を示します。時間経過を経ると香りは華やかさとスパイシーさを増し、そして味わいの各要素にも大きな変化が。酸は穏やかに、タンニンが少し前に、そして旨みがじんわり広く…素晴らしいまとまりに結実していました。
ポマール2002にあった「ブルゴーニュの官能性と色気」という方向性ではなく、ボーヌ2003は「着実に、堅実に重ねられた円熟」という印象。熟成ワインの魅力を十分に満喫できる1本、美味しいですよ！！

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
「とてもいい状態になったな」と感じたのは抜栓90分後くらいでした。良好な熟成の結果がはっきりと出て、滑らかにかつ旨みが強く、余韻が長くまとまります。ですが敢えて早めの抜栓はせず、開けたばかりの段階からそのままゆっくりと変化を楽しむのも良いかと思います。30分後くらいから目に見えて変化をしていくので、ゆっくりとお食事をしながら楽しんでいけば大丈夫！

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
前回ご案内の「ポマール・プルミエ・クリュ2002」と同様、常温だと果実の瑞々しさがややぼやけ気味でもったいない感じ。少し冷やして全体の輪郭だけ整え、フレッシュな果実感を引き出してあげましょう(今回も僕は「ちょっと冷えすぎたかな」くらいが好きでした)。セラー保管だったらそのままの温度で大丈夫、室内冷暗所の保管だったら、冷蔵庫に30-40分、時間が無ければアイスバケツで3-5分冷やしましょう。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
このワインには絶対に、出来るだけ大ぶりのブルゴーニュ丸型グラスがおススメです。伸びやかで柔らか、旨味溢れる果実味と鮮烈な酸とのバランスは、このグラス形状で100%花開きます。