≪ソムリエによるテイスティングコメント≫:

ブルゴーニュ・ルージュとオート・コート・ド・ニュイとテイスティングしてきましたが、やはりこのモレ・サン・ドニになると急に格が上がる感じがします。非常に多層的な香りで、赤系黒系両方のフルーツをしっかりと感じます。例えばワイルドストロベリー、ボイズンベリーなど。チャーミングというよりも獣っぽさが加わったような複雑性があります。なめし皮、ほのかにスモークの香り、タバコの葉や紅茶の葉など、非常に複雑です。熟成のポテンシャルがとても高いともいえます。

味わいにもかなり厚みがあります。前半・中盤・終盤と味わいの段階を分けるとすると、非常に中盤の厚みを感じられるワインです。アタックはしなやかで瑞々しい印象でボディもミディアムボディくらいなんですが、中盤で一気にウェイト、深みを感じることができます。タンニンも緻密で練られたようなタンニンです。アフターに感じるスモークの香りというのが余韻とつながって、非常に長い余韻を形成していく印象です。

井黒 卓
(2020全日本最優秀ソムリエ、ロオジエ シェフソムリエ)

≪おすすめの抜栓時間≫:
抜栓後からすぐに楽しんでいただけますが。時間とともに変化する味わいをお楽しみください。また、2年,3年,5年、あるいは10年ほどさきまで楽しめるようなポテンシャルを持っているので、何本か買って、1年ごとに試していく、なんていう贅沢な楽しみ方もおすすめです。

≪おすすめの温度設定≫:
温度は少し高めのほうが良いです。タンニンのグリップもあってまだまだ若々しいタンニンなので、タンニンを緩める意味でも温度をあげたほうが良いと思います。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫:
香りがとりやすいように広いブルゴーニュ・グラスがおすすめです。

≪おすすめのペアリング料理≫:
合わせるお料理はタンニンのグリップをしっかり感じるワインなので、赤みのお肉がやはり良いと思います。例えばカモのスモークでしたり、牛肉だったらサシがある部位というよりは赤みの部位、例えばイチボなんかが相性がとても良いです。またキノコや根菜類とも相性が良いので、付け合わせにそういったものを添えても複雑なブルゴーニュをより魅力的にしてくれると思います。ぜひお試しを！