≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタビュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
シャルトーニュ・タイエ 当主アレクサンドル・タイエさん
Q1.あなたの目指す「理想のシャンパーニュ」とは?
⇒シャンパーニュは生産者や人間が造り出すものではないと思う。シャンパーニュは第一に、土壌・地質・気候の関係性を記録しようと試みた自然そのものの帰結であり、ある一つの土地から生み出される明確な表現物だ。もし僕のシャンパーニュ造りにゴールがあるのなら、僕は所有する土地そのものを明確に味わいのワインを造り出すことになると思う。
我々が現在も今世紀中もいつでも認識するのは、生産者の名前ではなく、ワインの中に表現された「土地の味」。僕の仕事は何世紀か前に修道士によって名づけられたこの特有の土地に仕えること。栽培家になることは親になることに似ていると思うんだ。我々は子どもの性格を理解しながら、進むべき道を指し示す努力をするだけ。
子どもにしてはいけないのと同じように、ワインにも彼らが進みたがらない方向に行くことを強制すべきではないと思う。全て、彼らのDNAに元から書かれていることだからね。
Q2.あなたの「シャンパーニュ造りの哲学」を教えてください。
⇒僕はいつも土地の表現を妨げないように、出来るだけ自分の介入はソフトで最低限に抑えるように努力している。豊かさは始めから自然を構成する細部に備わっているから。
全ての植物・木・動物が、最も印象的でおいしいワインを生む手助けをしてくれる。僕はただ、全ての要素を自然に戻そうとしている。…つまり、ブドウ畑の中で営まれている自然のコミュニケーションを助けるだけ、ということだよ。
Q3.人生で一番衝撃を受けたワインは?
⇒一番のワインを選ぶのは、自分の子どもの中から1人だけ好きな子を選ぶことみたいに難しいな…。ごめん、やっぱり僕には選べないよ。
もし1人生産者を選べというのなら、アンセロム・セロス(ジャック・セロス現当主)。彼の1998年マグナムは特に記憶に残る1本だよ。
Q4.シャンパーニュ造りの工程の中で一番嬉しい瞬間は?
⇒ブドウ畑の中にいること。黙って、ただ静寂を感じると、とても元気になるんだ。
Q5.反対に、シャンパーニュを造る上で、今まで一番辛かったことは何か?
そしてそれをどうやって乗り越えたか?
⇒どんなにどす黒い悲しみの中にも明るい光は見えるもの。ワインに余計なプレッシャーやストレスを与えないように、私はいつも楽観的でいるようにしているんだ。僕たち生産者が辛い瞬間を過ごすこともあるけれど、それによってより強くなり、他者を助け、良い方向に進むことがでいるようになる。
それにしても、死はいつも人生で最もつらい出来事。僕の馬が6年前に亡くなったんだけど、その時は簡単に立ち直ることは出来なかったな…。
Q6.自分の造るシャンパーニュを一言で表現すると?
ただ一言…『メルフィ』!(※訳注:シャルトーニュ・タイエのある村の名前です)
Q7.自分にとって、RM(レコルタン・マニピュラン)とは何か?
⇒誤解を承知で正直に言うと、僕はこの言葉はワイン造り(ワイン生産者)を表わす上であまり良くない言葉だと思っているんだ。なぜなら、「マニピュラン」とは「操作すること」を意味するから。真実の姿に対して影響を与えることを画策し、変更し、動かしてしまう人物、ということになってしまう。
しかし、RMはワイン造りと向き合う大きな責任を持っている。醸造学や現代的な栽培技術を当てはめようとはせずに、テロワールのもたらす結果に誇りを持ち、何も変えないままの真のワインを発見することが全て。僕たちは造り手として土壌や環境を深く理解し、自然を「操作」するのではなく自然に「奉仕」するべき、と思うんだ。
どうでしょう…アレクサンドル・タイエならではの確固たる考え方が伝わってくる言葉の数々だと思います。彼の哲学は際立って「テロワール原理主義者」的。土の力を、生き物としての葡萄の力を信じ、それをそのままボトルの中に閉じ込めようとする、献身的な姿勢を感じました。
そんな彼のワイン造りに興味が沸いたら…是非、この1本を試してみてください。
お電話1本ですぐご注文!
通販専用フリーダイヤル
受付 / 10:00-17:00 (平日)
※お支払いは現金代引きのみ
※一般のお客様専用窓口です