ボランジェの買収が見せるオレゴン・スパークリングワインの輝かしい未来

ボランジェの買収が見せるオレゴン・スパークリングワインの輝かしい未来

 

オレゴンは次世代の高品質スパークリングワインの聖地となりうるでしょうか?BollingerがオレゴンのワイナリーPonzi Vineyardsを買収したと聞いたら、あなたはきっと驚くことでしょう。

 

エリザベス2世やジェームズ・ボンドまでもが贔屓にするシャンパーニュの大手メゾンBollingerが、フランス国外でワイナリーを買収するのはこれが初めてのことです。Bollingerグループの会長はWine Spectatorで次のように語っています。「Willamette Valleyのワイナリーを選んだ理由は、この地域の緯度と、ブルゴーニュやシャンパーニュと共通点のある気候です」

 

オレゴンのポテンシャル

 

BollingerはPonziのスパークリングワイン生産量を増加するために買収を進めたわけではありません。オレゴンには小規模ながらも質の高いスパークリングワインのラインナップがあるというのが理由です。オレゴンで初めて成功したスパークリングワインの生産者はArgyleですが、今ではSereneやElk Cove、Soterといったピノ・ノワールで名を馳せている生産者もスパークリングワインを造っています。

 

さらに、米国の雑誌Robb Reportはオレゴン産スパークリングワインに関する記事を掲載し、Argyleの創始者であるRollin Solesの言葉を次のように引用しました。「Bollingerの会長であるChristian Bizotは、オレゴンはシャンパーニュが持つ熟成ポテンシャルと同等のスパークリングワインを作ることが出来る初めての地域となるはずだ、と確信していました」

 

Christion Bizotは2002年に他界し、現在は息子のEtienneが経営の指揮を執っています。Ponziで引き続き栽培と醸造担当を務めるLuisa Ponziは、スパークリングワインの生産量を増やす予定はないと語っています。

 

「Bollingerグループはピノ・ノワールとシャルドネに特化し、シャンパーニュではスパークリングワインを、ブルゴーニュではスティルワイン(Chanson Pere & Fils)を造っています。彼らの当面の目標は国際市場におけるピノ・ノワールとピノ・グリ、シャルドネの認知度向上と、小売業態を成長させることです。我々のスパークリングワインはテイスティングルームやワインクラブ会員の間で非常に人気があるので今まで通り生産を続けますが、生産量を増やすことは考えていません。」

 

スパークリングワインの未来とは?

 

Ponziはオレゴンがスパークリングワイン生産の偉大なるポテンシャルを持っていると述べています。

 

「オレゴンのテロワールがピノ・ノワールとシャルドネに理想的だということを我々は既に証明しています。2013年からスパークリングワインを生産していますが、ワインの出来と顧客の反応に満足しています。」とPonziは語ります。

 

BollingerとPonziの出会いは、両者を取り扱うインポーターVintusがBollinger代表Etienne BizotにPonzi訪問の手配をしたことがきっかけでした。

 

「彼はPonziで素晴らしい経験をし、大きな感銘を受けました。彼の家族が米国への投資に興味を持ち始めるようになると、約10か月前に本格的な話に入り始めました」とPonziは語ります。栽培・醸造担当のLuisaと彼女の妹であるAnna Mariaは数年前にワイナリー創設者である両親のRichardとNancyからワイナリーを引き継ぎました。今回の売却も家族で決断を下したそうです。

 

「Bollingerは我々が受け継いできたものを継続し、国内市場での成長に尽力しています。Ponziの全従業員の雇用が保たれます。Bollinegerは既に従業員へコンタクトを取り、関係性を深めています。Ponziの家族経営を守ることが出来て嬉しく思います。」

 

Ponziはブランドだけでなく、ワイナリーの建物と所有畑のうち35エーカーを売却しますが、100エーカーの畑は引き続き所有し、Ponziワイナリーへブドウを販売する長期契約を結んでいます。

 

「我々の所有する中で最も古い畑であるAbetinaとMadronaに加え、ワイナリーの施設周辺にあるAvellana Vineyardを買収することがBollingerとの契約でした。3つの畑の合計は35エーカーで、Laurelwood Districtという新しく設立されたAVAに位置しています。保持している畑で引き続きPonzi Vineyardsへブドウを販売するので、セカンドブランドやセカンドラベルを新しく作る予定は現段階ではありません。引き続き、世界で通用するピノ・ノワールとシャルドネを生産することが優先です。」とPonziはまとめています。

引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2021/04/bollinger-purchase-could-see-oregon-sparkle

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