ナパが講じる4200万ドルの山火事対策
もう手遅れだと考える人もいるかもしれませんが、ナパ管理委員会(BOS)は山火事対策として今後5年間に数100万ドルを費やすことを決定しました。
新しい先駆けとしてより多くの防火帯(防災上設けられる可燃物のない地帯)を確保し、地域の地域における可燃物の総量を減らすことに重点をおきます。この計画は4月初旬に可決され、ナパの消防署長が要求した額である640万ドルをBOSが負担します。また新たに3500万ドルが数年以内に出資される予定であると、BOSの管理者であるAlfredo Pedrozaは述べています。
今年度に開始された一連の計画は一時的なものではなく継続的な試みであり、「公的機関と私的機関が協力し、防火対策に積極的に取り組む」ことが重要だとPedrozaは述べています。
ナパの消防署長であるGeoff Belyeaは、火事の影響がないと予めわかっている安全地帯周辺の植物を除去し、戦略的な場所に防火帯を設置すると説明します。これは将来的な避難の際に役立ち、逃げ道を作ることで延焼を防ぎます。
ポジティブな反応
話を聞いた生産者の多くが計画に賛同し、正しい道への一歩だと語っていました。「4250万ドルは膨大な額です。世界的に権威のあるワインを生産し、地域に94億ドルと米国に340億ドルの経済効果をもたらす、私たちのホームであるこの美しいナパにとって、非常に重要な投資であると思います。」とSt. Supery Estateの代表であるEmma Swainは語ります。
非営利生産者団体であるNapa Valley Vintners(NVV)は郡の決議に感謝と賛辞の意を述べており、NVVのRex Stultsは次のように説明します。
「9時間半にもわたる決議会議で最も重要だったことは、可燃物除去における数百万ドルもの出資を含む、初年度の防火対策に対する出資が決議されたことです。2021年には、2回どころか1回の山火事被害すら耐え忍ぶことが出来ません。パンデミックが重なり、我々の経済的な打撃は甚大でした。この地域の経済を支えるワイン産業と、4万人を超える雇用を鑑みると、経済的被害は20億ドル以上になるでしょう」
サンタ・ローザを拠点とするZepponi & Company社でM&Aアドバイザーを務めるMario Zepponiによると、現在多くのワイナリーが火災保険に加入できないため、この山火事対策は絶好なタイミングで開始されたそうです。これは数年間の火災と多くのワイナリーが被った損害の結果で、保険に加入できないワイナリー所有者にとっても、事業を売却して撤退をしたい人々にとっても悲惨な状況であると語ります。
山火事への団結力を高めるために、コミュニティーでは大きな動きがあるといいます。「計画の実行にはコミュニティーの賛同が不可欠であり、この計画は非常に良いスタートだと思います。」とZepponiは述べています。
基準の設定
数年間にわたってアメリカ西海岸を悩ませてきた山火事を防ぐために、ナパは他の地域と同様の道を歩むのでしょうか?「我々が防火対策のテンプレートになることができる」と、ラザフォードのワイナリーHonig VineyardsのMichael Honigは語ります。
ナパはこの数年間で山火事の害を被っただけでなく、休暇でワイン産地に訪れる旅行客をも失いました。
「観光客がナパ・ヴァレーに戻りつつあるのを見るのは喜ばしいことです。我々の森林をより健康にし、火災への耐性を強化することで、観光客がよりアクセスしやすい場所になると考えます。」とセント・ヘレナのワイナリーSpottswoode Estateで代表を務めるBeth Novak Millikenは述べています。
「我々のコミュニティーが協力し、今後も発生する恐れのある山火事が現在ほど破壊的なものでないことを証明することが出来れば本望です。それは安全のためにも、ナパ・ヴァレーの将来のためにも正しい行動であると思います。」と、St. Supery EstateのSwainは多くの生産者や居住者の気持ちを代弁しています。
引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2021/04/napa-launches-42m-fire-prevention-plan
この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
文責はFiradisに帰属します。
-
前の記事
カリフォルニア北部が直面する干ばつの危機 2021.06.29
-
次の記事
フランスのブドウ畑を破壊する冬の悪天候 2021.07.15