Anjou-Saumur(アンジュー・ソーミュール地区)
- ロワール
- アペラシオン, カベルネ・ソーヴィニヨン, クレマン, シャルドネ, シャンパーニュ, ソーヴィニヨン・ブラン, テロワール, フランス, 熟成, 生産者, 白ワイン, 貴腐ワイン, 赤ワイン
世界随一のシュナン・ブラン銘醸地 白、赤、スパークリング。辛口~甘口。なんでもありなワイン造り
シュナン・ブランの成功でロワールワイン界のトップに躍り出たアンジューとソーミュール地区。
それだけでなく約1.5万haの広大なワイン産地では辛口~甘口の白・ロゼワイン、パワフルな赤ワイン、スパークリングまで、思いつく限り全てと言っていいくらいの種類のワインが生産されている。
分類として31ものアペラシオン(29のAOCと2つのVDQS)が認められており中々難解な地域。
目次
■テロワール
アンジューもソーミュールも海洋性気候のため、夏場の日照量も多く通年通して安定した天気。
乾燥した風が大西洋側から吹き付け、ブドウの糖分を凝縮させる手助けになっている。
気候は似てるが土壌は全く異なる。
アンジュー地区
スレートや砂岩がメインの土壌。
この地区のほとんどは表土が浅いため地面がすぐに暖まり保水性に欠けるが、そのおかげでブドウはあっという間に熟す。
温暖化以前は難しかったものの、現在はほぼ毎年完熟したブドウを収穫することが出来るようになった。
さらにレイヨン川の一部の流域では朝方に霧が発生し、貴腐菌が広がりやすい。
ソーミュール
粘土石灰がメインの土壌。
(どちらかというとアンジューよりもトゥーレーヌに近い)
テュフォーと呼ばれる白亜質の土壌の上にやわらかく厚い表土が積もっており、ブドウは深くまで根を張ることができるため、豊富なミネラルを吸い上げて独特のフィネスと繊細さをブドウに与える
■アンジューの主要なAOC
ロワール最上の辛口白ワイン『サヴニエール』
・サヴニエール ラ・ロッシュ・オー・モワンヌ
・クーレ・ド・セラン
ロワール河の北側にあり、この一帯では珍しい南向きの急斜面。
ロワールの辛口白ワインを代表するシュナン・ブランの銘醸地で、フランス全体の白ワインの中で平均収量が最も低い部類になる。
濃密で豊かな果実と、堅牢な骨格が特徴で本領を発揮するには数年間の熟成が必要になる。
貴腐菌が発生するエリアなので、生産者によっては甘口に仕上がるヴィンテージもある。
サヴニエールの中でも特に優れた畑が2つあり、それがロッシュ・オー・モワンヌとクーレ・ド・セラン。
2011年に単独AOCとして認められているが、サヴニエール ロッシュ・オー・モワンヌは22ha、クーレ・ド・セランは7haとどちらも非常に小さいアペラシオンである。
クーレ・ド・セランはビオディナミの先駆者であるニコラ・ジョリーの単独所有であり、現在でも根強い人気を誇っている。
高貴な甘口貴腐ワイン『コトー・デュ・レイヨン』
・カール・ド・ショーム グランクリュ
・ボンヌゾー
ロワール河の支流、レイヨン河の両岸に広がるアペラシオン。
貴腐菌が発生するため食中にも合わせられる軽やかな甘口のシュナン・ブランが生産される。
その内、南向きの急斜面の中腹に位置するAOCカール・ド・ショームは、2011年にロワールで初めてグラン・クリュに認定された。
貴腐が付きやすいため、スケールが大きく濃密な甘やかさがありつつもクリスタルのようなミネラルが味わいを引き締めている。
ソーテルヌとアルザスの優れたリースリングと並び、フランス最上の甘口ワインといっても過言ではない。
ボンヌゾーはレイヨン河をさらに下ったところにあるアペラシオンで、こちらでもおいしい甘口ワインが造られている。
カール・ド・ショームよりもやや軽いスタイルの甘口でややスパイシー。
■ソーミュール
シャンパーニュ地方と同じように石灰土壌が主要なソーミュールでは、昔からクレマン・ド・ロワールが多く生産されている。
土壌が比較的柔らかいため地下セラーが造りやすく、ワインを瓶内熟成させる環境が昔から整っていたことも理由の1つだと思う。
現在注目されている赤ワインの産地がソーミュール・シャンピニィ。
カベルネ・フランが主要品種で、同じくロワールのカベルネ・フラン、シノンの赤ワインよりもパワフルで分かりやすい。
一昔前は未成熟由来の青臭くてエグイというネガティブな印象が持たれがちだったが、温暖化によってブドウが完熟するようになり、爽やかで緻密な赤ワインが出来るようになった。
主なブドウ品種 | 黒ブドウ:ガメイ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ドーニ、コット、グロロー
白ブドウ:シュナン・ブラン、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン |
気候 | 海洋性気候。ソーミュールは海からの西風が遮られるため半海洋性気候 |
土壌 | (アンジュー)
アルモリカ山系に由来するスレートや砂岩 (ソーミュール) パリ盆地の堆積物に由来する粘土石灰 |
AOC | (Anjou)
・Savennieres ・Savennieres-Roche aux Moines ・Coulee de Serrant ・Coteaux du Layon ・Coteaux du Layon 1er Chaume ・Quarts-de-Chaume ・Bonnezeaux ・Anjou-Villages ・Anjou-Villages Brissac ・Cabernet d’Anjou ・Rosé d’Anjou (Saumur) ・Saumur-Champigny ・Saumur Puy-Notre-Dame ・Coteaux de Saumur |