Egly Ouriet(エグリ・ウーリエ)
「完璧主義者」という言葉がふさわしいシャンパーニュ、それがエグリ・ウーリエだ。
グランクリュ アンボネイ村に本拠地を構え、それぞれピノ・ノワールの銘醸地であるアンボネイに7.8ha、ヴェルズネイ、ブジーそしてヴリニーにを合計11.5haの畑を所有する。
4代目当主のフランシスに代替わりしてから高い評価を獲得し続けている。
2000年頃にジャック・セロスが華々しく登場し、その3,4年後にエグリ・ウーリエが注目を集めた、まさにRMブームの先駆け的存在。
「アンボネイのテロワールの表現」を至上とし、ただひたすらにワイン造りに取り組む姿はまさに職人。
生産本数が少ないながらも彼の造るピノ・ノワールは世界中のシャンパンマニアを虜にしている。
目次
■歴史
1900年 創設
アンボネイ村出身のエグリ家と初代の夫人の実家エペルネ近郊のウリエ家により設立された。
1982年 4代目当主フランシス・エグリ
父親からワイナリーを引き継ぎ、その後すぐにRMへと転換した。
1945年~1946年の間に植樹された高樹齢のブドウを所有しており、当時シャンパーニュでは数件しか行われていなかったグリーンハーベストも取り入れている。
フランス国内でブドウ栽培地の北限にあるシャンパーニュ地方では、ブドウが完全に熟すのは難しく病害のリスクも大きかった。
特に高樹齢の樹となればその苦労はなおさら。
フランシスはひたすらに、淡々と、実直に畑仕事に取り組んだ。
1996年 新樽発酵
シャンパンだけでなく、コトー・シャンプノワ アンボネイ・ルージュも製造していたフランシス。
1995年、Bettane & Desseauveのミシェル・ベタン氏が訪問した際そのアンボネイ・ルージュを試飲して「悪くはないけど、買うお客はいるかな」と、言い方は穏やかだったにせよ、フランシスはそれを批判と捉えた。
そこで奮起し、ブルゴーニュの樽の名手であるドミニク・ローランに樽の使い方を師事。
シャンパンにもその優れた樽の使い方は生かされることになった。
今までの鋭利で鮮烈なスタイルに樽による複雑さが加わり、より完成されたシャンパンに近づいた。
それから徐々に樽発酵の割合を増やし、今やエグリ・ウーリエを代表する醸造方法となった。
2008年 3ツ星への昇格
クリュッグとボランジェの2メゾンに加え、サロンとともにRM唯一の造り手としてレ・メイユール・ヴァン・ド・フランスの3ツ星に昇格。
その後、2009年にはジャック・セロス、2010年にはジャクソン、2014年にはルイ・ロデレールが追加された。
2016年の時点で、約5,200社存在するシャンパーニュの全生産者の内、3ツ星に選ばれているのは上記にポル・ロジェ、アグラパールを加えた僅か9社。
RM生産者の中では、エグリ・ウーリエ、ジャック・セロス、アグラパールのみ。
エグリ・ウーリエのシャンパンを一言で表すならブルゴーニュのようなワインであるということ。
有機栽培された高樹齢のブドウを40~45hl/haというブルゴーニュの1er並みの低収量で収穫する。
卓越した樽使いによって、法定期間の倍である36ヶ月以上の熟成を経てリリースされる。
アンボネイが持つミネラル、美しい酸、凝縮した果実味と厚みのあるボディが120%引き出されたスタイル。
「成功しても失敗しても必ずその原因を確かめる。私が醸すシャンパーニュは工業製品ではない。私の使命は、人生の数少ないチャンスの中で、いかにアンボネイのテロワールが鮮明に現れた一瓶を醸すかだ。」と、淡々と信念を語るフランシス。
完璧主義者が造るこの偉大なシャンパンは、間違いなくトップのブラン・ド・ノワールだろう。
■ラインナップ
Brut Tradition Grand Cru(NV)
ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%。理想的な緩やかな南向き斜面に植えられた平均樹齢40年の古樹のピノ・ノワールは、ガティノワやボランジェといった同じく最高峰のピノ・ノワールが産出されることで有名なアイ村より早くヴェレゾンする。その凝縮した果実味を持つピノ・ノワールに、東向き斜面のシャルドネをアッサンブラージュすることによって、美しい酸を持つ非常にバランスのとれたシャンパーニュが生まれる。
Blanc de Noirs Grand Cru Vieilles Vignes(NV)
樹齢50年を超える古樹のピノ・ノワールのみを使用したエグリ・ウーリエのフラッグ・シップ。
人々が口々に紛うことなく、“シャンパーニュ随一のブラン・ド・ノワール”と絶賛する1本。
Grand Cru V.P. Extra Brut(NV)
ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。ビオロジックのアプローチから得られた完熟した糖度の高い葡萄を用いてノンドゼで仕上げたシャンパーニュ。70ヶ月という通常より長い瓶熟期間の後にリリース。
Brut Rosé Grand Cru(NV)
ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。世間一般の”色付けだけ施したマーケティングロゼ”とは、一線を画すロゼ・シャンパーニュ。お得意の赤ワイン造りの妙から出来る最高峰のロゼ。
Millésime
ウーリエの本拠地アンボネイ村を中心に、ブジー、ヴェルズネイのブドウを用いたエグリ・ウーリエの代表作。60ヶ月以上に及ぶ瓶熟の後にリリースされる。
Les Vignes de Vrigny 1er Cru Brut
ピノ・ムニエ100%。ランスから約8kmのところに位置するヴリニィ村、フランシス氏の妻の実家から相続された畑から醸されたシャンパーニュ。到底ムニエとは思えない程の果実の凝縮感とボディの厚みを持つ。
Coteaux Champenois Ambonnay Rouge
最高峰のピノ・ノワールから醸されたスティルワイン。新樽使いのスペシャリスト、ドミニク・ローラン氏がフランシス氏の為に最良の材質の木を選び造った樽を用いて、発酵、熟成を行っている。チョーキーなアンボネイ村のテロワールから醸されたワインは、非常に豊富なミネラルを持っており、シャンボール・ミュジニーのレ・ザムルーズやヴォルネイのタイユピエを思い出させる味わいである。