Francois Raveneau(フランソワ・ラヴノー)

ラヴノーはシャブリの頂点に立つ生産者である。Dauvissatと双璧をなすシャブリの2大巨頭として語られるが、トップに君臨するのは間違いなくラヴノーである。シャブリを語る上で外せない生産者だが、ラヴノーには大きな問題がある。入手できないのである。市場に出回る前にプロや愛好家が買い占めてしまうのだ。この傾向は2000年以降にとりわけ顕著であり、その背景の一つにWA誌がある。2002年のLes Closに98~100点、Valmurに96~98点というシャブリ史上初の最高評価が与えられたのである。この衝撃はまたたく間に広がり、価格高騰とともに世界中のバイヤー達の奪い合いが始まった。

なぜ奪い合うのか?生産本数が少ないからである。通常シャブリのワインと言うと、生産者は村名格に多くの畑を持つため村名シャブリの生産が多くなる。そのほとんどは効率を求め高収量の栽培と機械摘みの収穫を行なう。それゆえにシャブリは平凡などこでも買えるワインとなり、希少性を感じない。しかし、ラヴノーにはこの一般論が通用しない。というのも、ラヴノーは2007年までプルミエ以下の畑を持っていなかったのである。現在は村名シャブリ、プティ・シャブリも生産しているが、それでも畑の大部分が特級と一級で構成されている。つまり、そもそもの収量や生産本数が他とは比べ物にならないのである。

それでは供給量を増やせばいいじゃないか、と思うかもしれない。しかし、それは不可能である。なぜなら、シャブリの個性が消えてしまうからである。ラヴノーが他の生産者と一線を画しているのは、ワインの中にシャブリのエッセンスが詰まっているからである。世界のどこを探しても同じ味は見つからない、キンメリジャン・マール土壌からくるあの鋼のミネラルが畑の個性とともに見事に表現されているのである。これこそが舌の肥えたブルゴーニュ・ラバーの心を掴んで離さない理由なのだ。

 

歴史

ドメーヌ設立は1948年。フランソワ・ラヴノー夫妻がお互いの家系の畑を統合するところから始まった。(フランソワの妻はDauvissatの家系。)1940-50年代のシャブリは経済的に厳しく、他産地が競合として台頭しシャブリの需要が低下していた。また、フィロキセラ被害によるブドウの引き抜きや、第二次世界大戦の影響もありワイン生産が容易ではなかった。こうした背景もあって、フランソワの父ルイは何年もの間、ブドウを他者へと売っていたが、フランソワは自分でワインを作りたかった。彼の強い熱意はこれを実現させ、ラヴノー家における自社瓶詰めの第一人者となった。

厳しい時代ではあったものの、シャブリにポテンシャルを見出したフランソワは、60-70年代に安売りされていた土地を買い、畑を拡張していった。その後、1978年にフランソワの息子ジャン・マリーがドメーヌに加わり、84年にワイン造りを引き継いだ。フランソワは引退する95年までジャン・マリーをサポートしていた。引退と同じ頃にジャン・マリーの兄ベルナールがドメーヌに加わり、兄弟の2人体制がスタート。しかしその矢先、フランソワは永眠してしまう。2000年のことであった。現在はジャン・マリーとベルナールに加え、ベルナールの娘イザベルもドメーヌに加わり、新たな世代へと受け継がれている。

 

所有畑は約9ha。そのほとんどがグラン・クリュ(Les Clos 0.54ha / Blanchots 0.60ha / Valmur 0.75ha)とプルミエ・クリュ(Montée de Tonnerre 3.2ha / Butteaux 1.5ha / Foret 0.6ha / Vaillons 0.5ha / Montsmains 0.35ha / Chapelot 0.3ha)

 

栽培/醸造

ブドウは全て手摘み。これは一見普通に聞こえるが、所有畑の全ブドウを手で摘むというのは現在のシャブリでは極めて珍しい。実際、片手で数えるほどしかないだろう。ジャン・マリーはブドウにしっかりと酸を残すために早めに摘むのを好んでいる。ブドウの樹齢平均は高く、Montée de Tonnerreでは50年、ValmurとBlanchotsはそれぞれ60年、70年にもなる。ラヴノーでは栽培において派手さや奇をてらうことは一切ない。

ラヴノーはDauvissatと並んで、コート・ドールのスタイルをシャブリに持ち込んだパイオニアとして語られる。つまり、樽発酵と長期のシュール・リーである。樽による穏やかな空気接触がシャブリの鋭さを和らげ、澱との接触が厚みをもたらしてくれる。ラヴノーの醸造で興味深いのは、通常のバリックに加えてfeuillettesと呼ばれる小樽を使用する点である。これはバリックの半分程度しかない樽(132L)で、平均7-8年使い古されたものを使用する。樽香がつかないのは無論のこと、酸素との接触面積が増えることで、角が取れ、奥深く香り高いアロマとクリーミーなテクスチャーが強化される。一方、バリックに関しては基本的に古樽がメインだが、新樽を多少使用する場合もある。

熟成期間が18ヶ月と長いのもラヴノーの特徴である。そして瓶詰め後もドメーヌで半年ほど寝かせるという徹底ぶり。さらに驚きなのは、プティ・シャブリであっても同様に18ヶ月寝かせる点である。通常プティ・シャブリといえば収穫翌年の春には飲めてしまうものだが、グラン・クリュと同じだけ熟成させるというのは普通ではない。このクラスであっても低収量の凝縮した高品質なブドウがなければ不可能なアプローチである。

 

味わい

ラヴノーのワインはその熟成ポテンシャルの高さで知られる。実際に多くの愛好家からラヴノーの上級は最低でも8-10年寝かせないと本領発揮しないと言われる。実際ジャン・マリーも自身のシャブリについて「最低でも5年寝かせてから飲んで欲しい」という。それは時を経ることによって味わいが進化するからである。リリース直後の若さに隠れていた内なるフレーバーたちが開放され、幾層にも重なって味わいの厚みを形成する。鋭い酸や硬質なミネラルのテクスチャーは柔らかく変化し、ナッツやモカを思わせる香ばしさが現れる。そこに蜂蜜をまとったかのような甘美な果実味が溶け込み、口の中で渾然一体となる。

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