Franken(フランケン)

ドイツで最も辛口スタイルの歴史が長い産地

リースリングを凌ぐ程のシルヴァーナーが味わえるのは

世界でもフランケンぐらいだろう

フランケンはドイツの中央に位置するワイン産地で、1000年を超える歴史を持つ。この地のアイコンとも言えるのが「ボックスボイテル」と呼ばれるユニークな楕円形のボトル。実はこのボトルでワインを瓶詰めできるのはフランケン以外にもあり、バーデン北部やポルトガル、イタリア、ギリシャのそれぞれ限られた一部のエリアでは使用が認められている。

この地で最上のワインを生むのはドイツの支配者リースリングではなく、「キング・オブ・フランケン」の異名を持つシルヴァーナー。リースリングを凌ぐほどのシルヴァーナーをつくるのは世界でもフランケンぐらいしかないだろう。

 

ドイツ中央部の内陸に位置するフランケンは、他産地と比べ大陸性気候の特徴が強い。そのため夏は暖かいが、生育期は短く寒い秋と厳しい冬が待っている。モーゼルの銘醸畑が川沿いに広がっているのと同じように、フランケンでも最上のワインを生み出す畑はマイン川沿いの南向き斜面に集まっている。

フランケンのブドウ畑は、アルファベットのWの文字のように蛇行するマイン川に沿って3つのエリアに分けられている。西からMainviereck (マイン・フィアエック)、Maindreieck (マイン・ドライエック)、そしてSteigerwald (シュタイガーヴァルト)である。西側(Wの左側のVあたり)にあるマイン・フィアエックには非常に急な斜面を持つ砂岩土壌の段々畑が広がる。この地で見逃せないのはRudolf Furst(ルドルフ・フュルスト)の造るワインで、Klingenberg(クリンゲンベルク) 村やBurgstadt(ビュルクシュタット)村の畑からは、ドイツで最も素晴らしいピノ・ノワールとリースリングのいくつかが味わえる。

ちょうどWの文字の1つ目のVが終わる部分あたりで土壌が砂岩から貝殻由来の石灰岩に変わる。この2つ目のVの部分からマイン・ドライエックと呼ばれるエリアになる。ここにはフランケンの心臓部分ともいえるWurzburg (ヴュルツブルク)があり、この地のグランクリュと名高いStein (シュタイン)の畑が鎮座している。

2つ目のVが終わる部分あたりで土壌が石灰岩からコイパーと呼ばれるマールに変わる。これが最も東に位置するシュタイガーヴァルトで、銘醸畑Iphofen (イプホーフェン)がある。

■味わいの特徴

フランケンはドイツのどの産地よりも辛口スタイルの歴史が長いとされ、栽培面積のうちの約82%に白ブドウが植えられている。最も植樹されているのはミュラー・トゥルガウだが、2番目に多く植えられているシルヴァーナーこそが、この地で最上のワインを生む。萌芽が早く早熟なシルヴァーナーは、気温が急激に下る秋の前に完熟に達することができる。春の霜害にも弱いという側面があるが、シルヴァーナーはフランケンの長い歴史の中で川沿いの南斜面という最高に日当たりの良い畑を陣取ることに成功してきた。最高品質のものはヴュルツブルク周辺の南向き斜面でかつ石灰質土壌を持つ畑から生まれる。こくのあるフルボディで、フローラルさに加えて濡れた石を思わせる強固なミネラル感が特徴である。この地を代表する素晴らしい生産者にはHorst Sauer(ホルスト・ザウアー)やBurgerspital(ビュルガーシュピタール)、Juliusspital(ユリウスシュピタール)などがいる。

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