Margaux(マルゴー)
メルロ好きにおすすめ。 シャトーが多く、当たり外れも多い
目次
■特徴
メドックの4つの行政区名アペラシオンの中で最大面積のマルゴーは、アルサック、ラバルド、カントナック、スーサン、そしてマルゴーの5つの村から成る。
21もの格付けシャトーが存在し、その頂点に君臨するのが村名を冠した1級格付けの女王、シャトー・マルゴー。
1855年 パリ博覧会でのメドック格付けの際、ブラインドテイスティングで唯一満点をたたき出したシャトーであり、作家、ヘミングウェイは「シャトー・マルゴーのように女性らしく魅力的に育つように」と娘の名前にマルゴーの名を付けた。
世界でもっとも有名なワインの1つでもあるシャトー・マルゴーだが、ワインに詳しくない人へマルゴー村のワインを全てシャトー・マルゴーと偽ってプレゼントするのは控えてほしい。
テロワール
土壌は他のメドックの土地と比べて痩せており、農作物を育てるには決して理想的とは言えない。逆にそれがブドウを育てる上では最適で、特に緻密で良質なカベルネ・ソーヴィニヨンが出来る。
しかしマルゴーにはメルロが多く栽培されている。これはメルロの方がカベルネよりも早熟で栽培が簡単だからで、本来カベルネを植えるべきテロワールにもメルロが植えられてしまっているのは問題だ。
お隣サン・ジュリアンのメルロ栽培比率が23.7%であるのに対し、マルゴーでは27.9%であり、品種構成比は30%を超える。
『マルゴー=凛として女性的』と言われるのはこのメルロの比率の高さにも起因する。
メルロの栽培が多い理由として、他の左岸の村にはあまりない石灰を含む粘土の土壌があることが挙げられる。
メルロと粘土の相性が良いのは定石だ。
それだけでなく広い面積ゆえに砂利、石灰岩、砂、粘土と、他村と比べても特に多種多様な土壌が特徴のマルゴー。
たとえば砂利が多い場所では優美で繊細なカベルネ・ソーヴィニヨンが生み出される。特にその傾向が強いマルゴー村とカントナック村には優良シャトーが集中している。
最近は温暖化の影響からか、完熟まで時間のかかるカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高くなってきており、ワインのスタイルもただおしとやかなピアノと刺繍が趣味の女の子ではなく、内側に強い芯と力を秘めた現代の女性像そのものに変わりつつある。
言い換えると広いアペラシオンのため、(正直なところ)格付けのワイナリーでさえ本当にそれに見合ったレベルなのか疑問の残るワイナリーもある。
それでもシャトー・マルゴーやシャトー・パルメといった素晴らしいシャトーとそれを追随する優良シャトーが、魅力的で個性的なマルゴーの土壌を活かし上質なワインを造るおかげでマルゴー村のファンは絶えない。
格付けシャトー
【一級】
Ch Margaux[ シャトー・マルゴー]
【二級】
Ch Rauzan-Ségla [ シャトー・ローザン・セグラ ]
Ch Rauzan-Gassies [ シャトー・ローザン・ガシー ]
Ch Durfort-Vivens [ シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン ]
Ch Lascombes [ シャトー・ラスコンブ ]
Ch Brane-Cantenac [ シャトー・ブラーヌ・カントナック ]
【三級】
Ch Kirwan [ シャトー・キルヴァン ]
Ch d’Issan [ シャトー・デイサン ]
Ch Giscours [ シャトー・ジスクール ]
Ch Malescot St. Exupéry [ シャトー・マレスコ・サン・テクジュペリ ]
Ch Cantenac-Brown [ シャトー・カントナック・ブラウン ]
Ch Boyd-Cantenac [ シャトー・ボイド・カントナック ]
Ch Palmer [ シャトー・パルメ ]
Ch Desmirail [ シャトー・デスミライユ ]
Ch Ferrière [ シャトー・フェリエール ]
Ch Marquis d’Alesme Becker [ シャトー・ルキ・ダーレム・ベッケール ]
【四級】
Ch Pouget [ シャトー・プージェ ]
Ch Prieuré-Lichine [ シャトー・プリウレ・リシーヌ ]
Ch Marquis de Terme [ シャトー・マルキ・ド・テルム ]
【五級】
Ch Dauzac [ シャトー・ドーザック ]
Ch du Tertre [ シャトー・デュ・テルトル ]
■データ(出典:ボルドー委員会)
栽培面積 | 1,500ha |
土壌 | 砂利の厚い層が中心で一部粘土 |
生産量 | 900万btl |
シャトー数 | 67 |
格付けシャトー数 | 21 |
栽培品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドカルメネール、マルベック |