Otago(オタゴ)

ニュージーランド屈指のピノ・ノワールの銘醸地

表現豊かなアロマとジューシーな果実味がリリース直後から楽しめる

セントラル・オタゴはニュージーランド南島の最南東部にあり、南緯45度という世界で最も南に位置するワイン産地の1つとして知られる。移民によって初めてブドウが植えられたのは1860年代とされるが、代々この地に住む人はワインよりもビールやスピリッツに興味があったため、1970年代になるまでワイン産業は発展しなかった。70年代に入ってからも、当時人々はワイン造りに取り組む先人たちを不審がり、この地でワインを作るなんてと変人扱いしたそうだ。1997年時点で、オタゴにはわずか14の生産者と200haにも満たないブドウ畑しかなかったが、2018年までに畑の規模は1904haまでになった。このドラスティックな変化が起きたきっかけにはピノ・ノワールの存在がある。高品質なオタゴのピノ・ノワールは世界の飲み手を魅了し、テロワールの優位性を示すことに成功したのだ。オタゴの畑の約80%を占めるピノ・ノワールは、この地の立役者にふさわしい圧倒的な植樹率を誇るが、次点でピノ・グリ、そしてリースリングと続く。ソーヴィニヨン・ブランの支配が圧倒的なニュージーランドにおいて、オタゴはその影響がほとんど見られない稀有な産地でもある。

 

ワイン産地としての最大の特徴は、ニュージーランドで唯一とも言える大陸性気候を持っていることだ。これはつまり、季節ごとの気温変化と日較差(昼夜の気温差)が大きいことを意味する。こうした気候はブドウの生育期間を短くし、さらに年間通して霜のリスクをもたらす。このため、オタゴの畑の多くは太陽を向いた丘陵の斜面に見られ、冷たい空気が滞留しない場所にブドウが植えられている。こうすることで霜のリスクを低減させるのだ。

霜のリスクがある春とは打って変わって、オタゴの夏は暑く乾燥している。大陸性気候による影響で日中の平均気温は他エリアに比べて高い。日中はしっかりと太陽の恩恵を受けて暑くなるが、一方夜間は気温が下がって急に涼しくなる。これがブドウの成長スピードをいい具合にダウンさせる。アロマは時間をかけてじっくり成長することで表現豊かになり、ブドウは酸を保持したまましっかりと完熟することができる。この結果、オタゴの特徴である明るく力強い果実味が生まれる。

氷河に何度も削られながらできたオタゴには、マイカシスト、グレイワッキと呼ばれる砂岩、粘土、ロームなどの土壌がみられる。乾燥した気候のため、土壌はドライで比較的痩せており高品質なブドウ栽培にはうってつけとなる。栄養が制限された土壌では、ブドウは蔓や葉などの成長に余計なエネルギーを使うことができず、代わりに小粒ながらも非常に凝縮した良質なブドウ粒の生産に集中するためだ。この結果、フレーバーの力強い良質なタンニンを持つワインが生まれる。

オタゴには複数のサブリージョンがあるが、特に重要なのがクロムウェルの街の周辺だ。ここには5つのサブリージョンが連なっており、オタゴの畑の約70%が集結している。オタゴを代表する造り手であるFelton Roadもこの一角にワイナリーを構えている。もう一つ見逃せないのが、北に位置するワナカである。ワナカ湖の周辺に広がるこのエリアは、1980年代の早い時期にワイン産地として開拓された歴史を持つ。著名なRipponはここにワイナリーを構えている。

ワナカ湖

 

■味わいの特徴

典型的なオタゴのピノ・ノワールは、濃く深みのある色調にドリスプラム(色の濃い小粒のプラム)やスイートスパイス、木イチゴのフレーバーがあり、ジューシーで肉感的なテイストを持っている。果実味にまばゆいほどの明るさが有り、アルコールも比較的高く完熟感が楽しめる。マールボロのソーヴィニヨン・ブランと同じように、オタゴのピノ・ノワールも「ニュアンスに富んだ繊細なワイン」というスタイルで紹介されることはないかもしれない。しかしこれは換言すれば、リリース後であってもすぐに楽しむことができ、セラーで寝かせるといった我慢を必要としないということだ。昔に比べ、産地を問わず若い内からワインを楽しむ機会が増えた現代においては、まさにぴったりなテイストと言えるだろう。

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