Gisborne(ギズボーン)

バルクワイン供給元である一方

ブティック系ワイナリーもみられる 2つの顔を併せ持つギズボーン

豊富な日照と海風のおかげで高品質なブドウが生まれる

ギズボーンはニュージーランド北島の東海岸沿いにある産地であり、経緯度上、世界のワイン産地の中で最も早く夜明けが訪れる場所でもある。この地でブドウ栽培が始まったのは1800年代であるが、そのきっかけは「勘違い」がもたらしたものであった。当時ブドウ木を抱えた移民たちはホークス・ベイを目指しニュージーランドに上陸したが、彼らが降り立ったのはギズボーンのPoverty Bay(ポヴァティー・ベイ)であった。ギズボーンをホークス・ベイだと勘違いした彼らはこの地にブドウを植え始め、それがきっかけでブドウ栽培が始まった。

ワインが産業として軌道に乗り始めたのは1920年代に入ってからであり、バルクワインの生産がメインであった。1970年代に入ると、ギズボーンのワインは国際的な注目を少しずつ浴びるようになる。マールボロのソーヴィニヨン・ブラン人気が爆発する1980年代以前は、ギズボーンがニュージーランドで最大のワイン生産地であった。しかし2009年〜2019年の間にブドウ栽培量は一気に半減してしまう。これはキウイやリンゴといった他の果物の方がブドウよりも利益が出るため、大量生産ワイナリーへブドウ供給する栽培農家の多くがそちらに移ってしまったという背景がある。

 現在のギズボーンはマールボロとホークスベイに続きニュージーランドで3番目の生産量を誇っている。

 

■テロワール

ブドウ畑は東海岸沿いにあるPoverty Bayから内陸に向かって広がり、特に畑が集中するのがPatutahi(パトゥタヒ)町の周辺とOrmond Valley(オーモンド・バレー)である。海岸沿いという立地のため海からの影響を強く受けるが、生育期にはたっぷりと太陽の光を浴びることができ、ブドウにとって理想的な環境といえる。夏の海風はともすると強すぎる太陽を和らげるのに一役買ってくれ、また生育期間が伸びることでブドウには複雑なアロマや美しい酸が生まれる。

大量生産向けのブドウは平地の川沿いにある畑に植えられており、肥沃でより粘土が多い土壌である一方、上質なブドウは丘の南向き斜面にある石灰岩を含む痩せたローム土壌となっている。

ギズボーンは年間降水量が1000mmと多く、ほとんどの畑で灌漑の必要はない。しかし、雨と肥沃な土壌の組み合わせはブドウの過剰な成長につながるため、樹勢の弱い台木の選択と入念なキャノピーマネジメントがこの地での成功の鍵となる。また、収穫時の降雨リスクもあるため、生産者にとって天気のモニタリングと収穫の適切な判断力が非常に重要となる。

 

■味わいの特徴

ギズボーンの顔となるのはシャルドネで、全体の50%以上も植えられている。シャルドネのスタイルは幅広く、樽を使用しないシンプル、フルーティーな安価ワインから完熟果実にクリーミーなフレーバーを持つ樽発酵のフルボディなプレミアムワインがある。二番目に多く植樹されているピノ・グリも幅広いスタイルを持っている。ドライからミディアムドライまでの甘さがあり、シンプル・フルーティーな安価なものからシュール・リーや古樽での熟成を経たプレミアムな品質のもの。他にはゲヴェルツトラミネール、ヴィオニエ、シュナン・ブランなどが見られる。一方、赤ワインではメルローやマルベックが多く見られるが、近年シラーの品質の高さにも注目が集まっている。

今日ギズボーンでは未だにバルクワインの生産地として機能している一面もある。大規模なスパークリングワインのブドウの供給元であり、またニュージーランド全土のワイナリーがギズボーンからブドウを購入しているという状況がある。一方で品質に特化したブティック系ワイナリーもみられ、その代表的な例がビオディナミのMillton(ミルトン)やゲヴェルツトラミネールのスペシャリストVinoptima(ヴィノプティマ)らである。

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