Pauillac(ポイヤック)
1級シャトーを3つ有するメドックの宝箱 カベルネ・ソーヴィニヨンの聖地 豊満さと力強さを併せ持つボルドーのお手本
目次
■特徴
よくメドックの特徴に挙がる、ブラックカラントや杉、タバコといった独特のアロマを強く反映させることから、『メドックの真髄』とも呼ばれる。
ボルドーワインと聞いてポイヤックの味わいのイメージを思い浮かべる人も多いだろう。
1級格付けが3つ、2級~5級までのシャトーが15存在しており85%を格付けシャトーが占める一大優良産地。
メドックの4大アペラシオンの中でも特に砂利が厚く堆積しているので熱をたくわえ非常に水はけが良く、かなりの鉄分と泥灰土が沈積しているため凝縮した理想的なカベルネ・ソーヴィニヨンができる。
そのためカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培比率はサン・ジュリアン65.2%、マルゴー62.8%、サン・テステフ61.4%に対して66.3%と最も比率が高い。
北側はやや標高が高くなっており、世界金融を牛耳るロスチャイルド家が所有するシャトー・ラフィット・ロートシルトとシャトー・ムートン・ロートシルトがこの高台の上にある。
ラフィットのシャトー名はガスコーニュ地方の言葉で「la hite(小高い丘)」が語源になっている。
畑は他にはあまりない石灰岩の岩盤が底にあるため、杉や鉛筆の芯のようなポイヤックらしい香りが鮮烈に現れる。
1級シャトー筆頭の地位を守り続け、100年以上圧倒的人気を誇る理由の一つがこの揺るがないポイヤックらしさだと思う。
唯一第1級に格上げされた経験を持つムートンはラフィットに近い砂礫質の丘にあり、80%がカベルネ・ソーヴィニヨンと異常なまでに比率が高いことでも有名。
より豪勢で豊かでどこか奔放さも持ちあわせており、ラフィットと比べるとより外交的な性格。
また、ムートン・ロートシルトのシャトー名も『羊』が本来の意味ではなく、古フランス語で小高い土地を意味する「motte」、「mothon」から来ている。
ただ、この地域では子羊が特産品だし、歴代エチケットの原画が飾られる美術館も併設するムートンのシャトーにはやたらリアルな羊モチーフのオブジェがたくさんある。
それに対してサン・ジュリアンに近い南側は北側と比べてやや粘土の比率が高い。
もう1つの1級シャトーであるシャトー・ラトゥールは唯一南側の河沿いに位置している。
よく内向的でタニックと表現されるのはこの土壌のおかげで、北側のどのシャトーよりも重たい印象がある。
3つの1級シャトーを筆頭にスーパーセカンドと呼ばれる2級以下のワイナリーのレベルも軒並み高く、ポイヤックのヴィンテージ評価がそのままメドック全体の評価につながることもある。
まさにポイヤックはメドックを代表し象徴する王者といっても過言ではない。
格付けシャトー
【一級】
Ch Lafite-Rothschild [ シャトー・ラフィット・ロートシルト ]
Ch Latour [ シャトー・ラトゥール ]
Ch Mouton-Rothschild [ シャトー・ムートン・ロートシルト ]
【二級】
Ch Pichon-Logueville Baron [ シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン ]
Ch Pichon-Logueville Comtesse de Lalande [ シャトー・ピション・ロングヴィル コンテス・ド・ラランド ]
【三級】
なし
【四級】
Ch Duhart-Milon Rothschild [ シャトー・デュアール・ミロン・ロートシルト ]
【五級】
Ch d’Armailhac [ シャトー・ダルマイヤック ]
Ch Haut-Bages-Libéral [ シャトー・オー・バージュ・リベラル ]
Ch Croizet-Bages [ シャトー・クロワゼ・バージュ ]
Ch Lynch-Bages [ シャトー・ランシュ・バージュ ]
Ch Clerc-Milon [ シャトー・クレール・ミロン ]
Ch Pontet-Canet [ シャトー・ポンテ・カネ ]
Ch Lynsh-Moussas [ シャトー・ランシュ・ムーサ ]
Ch Pédesclaux [ シャトー・ペデスクロー ]
Ch Batailley [ シャトー・バタイエ ]
Ch Haut-Batailley [ シャトー・オー・バタイエ ]
Ch Grand-Puy-Lacoste [ シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト ]
Ch Grand-Puy-Ducasse [ シャトー・グラン・ピュイ・デュカス ]
■データ(出典:ボルドー委員会)
栽培面積 | 1,212ha |
土壌 | 砂利質中心 |
生産量 | 720万btl |
シャトー数 | 54 |
格付けシャトー数 | 18 |
栽培品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド カルメネール、マルベック |
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