Saint-Estephe(サン・テステフ)
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■特徴
6つの村名アペラシオンの中で2番目に大きく、最北に位置する。
格付けされるシャトーは5つしかなく、メドックの4大アペラシオンの中では1番少ない。
ワインのスタイルは濃く、重さがあり土っぽくて、洗練されたスタイルとは正反対でちょっとあか抜けない。
土壌はなんといっても粘土の比率の高さが特徴。またサン・テステフ石灰岩と呼ばれる、左岸では珍しい石灰岩の岩盤が露出している。その上寒流が流れる大西洋の影響で涼しいため、カベルネ・ソーヴィニヨンにとって理想的な環境とは言えない。
素晴らしいと言われている、いわゆる1級シャトーは砂利質の土壌に畑を多く持つ。
砂利は昼間熱を蓄えて、夜にその熱を放出するので暖かく、完熟までに時間のかかるカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適している。
おいしいボルドーワインにとっては『熟した質のいいカベルネ・ソーヴィニヨン』が必要不可欠だが、サン・テステフのカベルネ・ソーヴィニヨンは草原で、厳格で、タニック。
ハートのラベルで有名なシャトー・カロン・セギュールも実は思ったより堅牢な味わいなので、ワイン初心者のかわいい女の子へプレゼントするときは注意したほうが吉。
しかし、格付けシャトーが全体生産量の20%を占めるのもまた事実。
1つの要因として、良質なメルロができるから。
メルロの栽培面積は全体の40%と左岸では最も多い。
厳しいカベルネ・ソーヴィニヨンのおかげで一昔前は厳格で中々笑顔を見せない頑固親父のような印象を持たれていたが、メルロの割合が増えてきたことで、かなり滑らかでふくよかなワインができるようになった。
『醸造のボルドー、ぶどうのブルゴーニュ』とはよく言ったもので、醸造技術の向上が目覚ましい昨今では頑固なカベルネ親父を娘のメルロが上手く懐柔し、お互いの良さを引き立たせてくれている。
それでも飲みごろを迎えるまでの期間は長く、中々その重い腰を上げてくれない。
しかし、辛抱強く待ったその先には素晴らしく偉大なワインが楽しめるだろう。
格付けシャトー
【2級】
Ch Cos d’Estournel{シャトー・コス・デストゥルネル}
Ch Montrose [ シャトー・モンローズ ]
【3級】
Ch Calon-Ségur [シャトー・カロン・セギュール ]
【4級】
Ch Lafon-Rochet [ シャトー・ラフォン・ロシェ ]
おすすめシャトー
Ch Haut Marbuzet[ シャトー・オー・マルビュゼ ]
1級ワイナリーがなく、あまり派手なイメージがないサン・テステフ。
実はお買い得なシャトーを多く見つけられる産地でもある。
オー・マルヴュゼはその一つでぜひチェックしてもらいたいシャトー。
河沿いの良く陽の当たる区画に畑を持ち、サン・テステフでは珍しく比較的若い段階から飲み頃を迎える。
メルロの使用比率が高く、新樽を100%使用しているため、ジューシーかつ凝縮した果実味と、スパイシーでエキゾチックな独特な風味を持ち合わせている。
「自分たちの好きなワインを造る」という信条の元、コンサルタント等も雇わず家族経営で個性を貫く職人一家のシャトー。
■データ(出典:ボルドー委員会)
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