Volnay(ヴォルネイ)
柔らかく芯のある女性的なスタイル、 コート・ド・ボーヌのシャンボール・ミュジニー
目次
■特徴
その歴史は古く、1328年のブルゴーニュ公国戴冠式にはヴォルネイが振舞われていたらしい。
今よりもコート・ド・ニュイの評価が高くなく、コート・ド・ボーヌの赤ワインこそが至高とされていたため、当時ヴォルネイのワインはブルゴーニュ最高のワインだった。
かつて王家が直接管理をし、その食卓にも登場していたことからますます評価は上がることになる。
ブルゴーニュの村では唯一、畑を見下ろす高台に集落があり眺望が良く、歴代のブルゴーニュ公が訪れたお気に入りの村でもあった。
力強さより繊細さ、パワーよりも余韻の長さ、骨格よりもしなやかさが特徴のヴォルネイは、昔ほどではないもののファンが多いアペラシオンである。
テロワール
約1.5km四方の正方形に近い形をしたヴォルネイはコート・ドールで最も小さい部類に入る。
全域にわたって比較的均一なテロワールで、だいたい3つに分類することができる。
・ポマール側
フレミエやシャンランといったプルミエ・クリュが代表格。ヴォルネイの中でも特に力強く、がっちりとしたタンニンが特徴。
・市街地付近
街を取り囲むことからまとめてプルミエ・クリュであってもル・ヴィラージュと呼ばれていたが、1985年の格付け制定の際に畑名を名乗れるようになった。単独所有畑が多く、中でもクロ・ド・ラ・ブス・ドールが有名。最も繊細でエレガントなワインが出来る。
・市街地から南側(ムルソー側)
歴史も古く最良の区画と言われるが、それぞれの畑の面積が広いため生産者によってバラツキがある。
上品で香り高いカイユレ、ヴォルネイの真髄と呼び声高いシャンパン、パワフルなサントノが御三家として昔から評価が高い。
しかしややこしいのがサントノの位置。畑はムルソー村に属しており、ここで赤を作ればヴォルネイ・サントノ、白を作ればムルソー・サントノとなる。
これは昔、ムルソーの赤ワインの評価が異様に低く、大人気だったヴォルネイの名前を使って売り出したいと要求したためらしい。
他のヴォルネイの畑と比べると粘土の比率が高く、パワフルでスパイシーな、ポマール側に近い味わいになる。
女性らしい、しなやかと表現されることが多いヴォルネイだが、それはあくまで“コート・ド・ボーヌの中で”ということを忘れないでほしい。
コート・ド・ニュイの洗練された赤ワインと比べると土っぽさや田舎っぽさを感じる。
それが逆に食事との相性も良く、親近感も感じられる。
どうしてもコート・ド・ニュイに目が行きがちだが、ヴォルネイはもっと選ばれてもいいワイン産地だと思う。