Puligny-Montrachet (ピュリニー=モンラッシェ)
線の細さ、伸びが特徴の正統派
世界最高価格の白ワインを産み出すグラン・クリュ、モンラッシェ
目次
■特徴
世界最高の白ワイン産地の1つであるピュリニー・モンラッシェ。
緻密でミネラリーなキャラクターは上質でありながら正統派。土地と醸造によってどんな味わいにも姿を変えるシャルドネのお手本ともいえる。
至高の畑モンラッシェを筆頭に、優れたグラン・クリュ、プルミエ・クリュを有しブルゴーニュだけでなく世界を代表する白ワインの産地でもある。
モンラッシェ
ピュリニー・モンラッシェを語る上で欠かせないのが村名の由来にもなっているグラン・クリュ、モンラッシェ。
8haの畑はシャサーニュ・モンラッシェにまたがり、シャサーニュ側では区別のためにル・モンラッシェと呼ばれることもある。
1286年からブドウ栽培をしていた記録が残る由緒正しい畑であり、1855年、ジョルジュ・ラヴァル博士によって行われた格付けではシャンベルタンやロマネ・コンティの評価を超える『最上特級畑』という評価を唯一与えられた。
その素晴らしさは昔から多くの人間が多くの言葉で表現しているが、なぜこれほどまでにこの畑は評価をされるのか。
それはテロワールに由来するところが大きい。
標高255~270mに位置し、その他のグラン・クリュと比較するとそこまで高いわけではなく、東南を向く斜面も相まって安定した日照を得られる。
『禿山』の名の通り、頭頂部は堅い石灰岩で非常に痩せている。
表土は軽く、適度な石灰岩と適度な泥灰土が含まれるため保水性と排水性が抜群に良い。
安定した日照、奇跡のように全てが適度な土壌のおかげで極端な話し、手をかけなくても良質なブドウが勝手に出来る。
圧倒的なアロマとバランス、余韻の長さが特徴だがピュリニー側はより酸がきれいで密度が高く上品。シャサーニュ側はより重厚感のある味わいと言われている。
現在約20件が畑を所有しているが、最大所有者のマルキ・ド・ラギッシュを筆頭にほぼ半分を貴族が所有しており、収穫したブドウのほぼ全てをネゴシアンに売ってしまうため、モンラッシェはジョセフ・ドルーアンやルイ・ジャドといったネゴシアンのワインを良く見かける。
モンラッシェの兄弟畑
ピュリニー・モンラッシェの魅力はモンラッシェだけではない。
モンラッシェを取り囲むようにして広がる3つのグラン・クリュとほぼ同緯度に連なる17のプルミエ・クリュもまた見逃してはならない。
斜面はほとんどが東を向き、上部は石灰が強く下部に向かって粘土質が増す。
シャサーニュ・モンラッシェ村との境にはモンラッシェを含むグラン・クリュが並ぶ。
全てにモンラッシェという名が付く、いわば兄弟畑。しかしその性格は大きくちがい、どれも個性的。
兄弟の中で筆頭と言われるのがシュヴァリエ・モンラッシェ。斜面の最上部に位置し空気が冷たい。
傾斜も急で表土が薄く石が多いためミネラルが強く、涼やかな印象になる。対してバタール・モンラッシェは表土が厚く重いため重厚で骨格ががっしりしている。
元々はバタールと区別されていなかったビアンヴィニュ・バタール・モンラッシェは1939年に明確な格付けがされるようになる。それぞれを飲み比べるとビアンヴィニュの方が柔らかくてしなやかな味わいになる。
優れたプルミエ・クリュ
そのまま東側に目を向けるとプルミエ・クリュの筆頭であるカイユレ、僅差で追いかけるピュセルが並び、ムルソーとの村境には肉付きの良いコンボットやフォラティエールが続く。
標高300m以上のブラニィの集落あたりに広がるシャン・ガンやガレンヌは表土がかなり薄くなるため、どちらかというとエレガントなワインができやすい。
斜面の下部から村名のアペラシオンに変わるのだが、元々緩やかな斜面がほぼ平坦になる。
また、ピュリニー・モンラッシェは地下水位が高いため地下セラーが作れない。そのため樽の貯蔵が難しく、ネゴス詰めからドメーヌ本詰めへの動きが他の村に比べると遅かった。
その逆境にも負けず、ピュリニー・モンラッシェはシャルドネの最優良銘醸地として今も昔も君臨し続けている。