Rias Baixas(リアス・バイシャス)

「ガリシア地方の最重要エリア

大西洋と花崗岩が生むミネラル豊富なアルバリーニョは

世界中の飲み手を魅了してやまない」

リアス・バイシャスはスペイン北西部ガリシア地方にある大西洋沿岸のワイン産地である。

ガリシア地方最大のDOでもあり、4000haを超える畑を持ち、約5500のブドウ栽培農家と、約170のワイナリーが存在する。ワイナリーは小規模なものから巨大な協同組合まで多岐にわたり、最大規模の生産者(協同組合)は300を超えるブドウ栽培農家を抱える。

歴史を見ると、リアス・バイシャスはフィロキセラ災害のあと、ほとんどの畑でブドウが引き抜かれ、代わりに交配品種や高収量のパロミノなどが植えられた。畑の多くは一つ一つのサイズが非常に小さかったため、畑のオーナーたちはブドウを巨大な生産者へと売っていた。今日でもこの小規模畑でのブドウ栽培という伝統は続いている。1970~1980年代になると、地場品種を育てようという士気が高まり、またワイナリーの設備を刷新することでワインの品質は驚くほどに向上した。

DO認定は1988年と比較的若い産地ではあるが、成長と進歩のスピードが驚くほど早いのがリアス・バイシャスの特徴である。これは進取的な生産者たちのおかげであり、彼らはこの地のアイコンとなるアルバリーニョのポテンシャルを開花させるべく、テロワールの研究とモダンなワインメイキングを積極的に取り入れた。

こうしてフレッシュ・フルーティーな高品質ワインをリーズナブルな価格で生産できるようになったリアス・バイシャスは、まずスペイン国内で人気に火がつき、ついで輸出市場でもポピュラーとなった。

 

テロワール

リアス・バイシャスは大西洋に大きな影響を受ける海洋性気候を持つ。年間降雨量は平均1700mmと非常に多く、一年を通して降る。つまり、収穫直前のカビや病害菌との戦いがその年の質を決める大きな要素となっている。幸運にも、花崗岩をベースとした砂質土壌なため雨が多く降っても水はけが非常によく、根が水浸しになることはない。また、多湿な空気への対策として、この地では伝統的なペルゴラ仕立てが未だに多く見られる。これはある程度仕立てを高くすることで地面とブドウとの間に空間をつくり、空気循環を良くすることで病害菌のリスクを低減させる。一方、規模の大きな生産者はトラクターなどの機械作業を行うためにペルゴラではなく通常の垣根仕立てなどを取り入れている。

リアス・バイシャスは5つのサブリージョンからなっている。

品質的に最も重要なのがヴァル・ド・サルネス(Val do Salnes)で、ここは最も古いサブリージョンで、かつ最も多く畑とワイナリーが集中している。海岸線上に位置するため、最も冷涼で多湿な気候となり、最も酸の高いワインを生む。畑は花崗岩土壌の斜面と、平坦な川の谷底に見られる。

オ・ロサル(O Rosal)は最南端のミーニョ川沿いに位置し、海に面している。ポルトガルとの国境沿いに位置しているため、ワインはしばしばアルバリーニョに、ロウレイロ、トレイシャドゥーラなどがブレンドされる。川の北岸にある南向きの畑ではヴァル・ド・サルネスよりも温暖となるため、ワインはやや酸が低くなり、果実味もやや完熟感が感じられる。

 

味わいの特徴

生産量の95%以上がアルバリーニョからのワインとなる。この品種は果皮が厚く腐りにくいため多雨多湿な気候に適している。やや早熟な品種であるため適切に管理・栽培することでほとんどの年でしっかりと完熟することができる。ワインは酸が高く、ミディアムボディに中程度のアルコールを持ち、アップル、レモン、グレープフルーツ、ピーチにフローラルなノートがある。また、花崗岩に由来する力強いミネラルも感じられ、クリスピーな高い酸と相まってアルバリーニョの魅力が最大限に引き出されている。

醸造は基本的にフレッシュな果実のフレーバーを守るため嫌気的なアプローチで行う。一部ではフレーバーを強調したりテクスチャーを向上させるために数時間のスキンコンタクトが行われる場合もある。ステンレスタンクでの低温発酵が一般的で、一部の生産者は寒い年に部分的にMLFを行うことでリンゴ酸を下げる。カジュアルなワインはすぐにリリースされ、より高価なワインは澱との熟成を経る。1~2年が典型的だが、中にはそれよりも長く熟成させるものもある。バトナージュは基本的に行わないが、これは酸素が入るのを防ぐためである。澱と熟成させることでワインのボディやテクスチャーが向上し、またわずかにクリーミーさが出る。一部の生産者たちは最上級キュヴェを樽で熟成させる。大きな古い樽を用いてテクスチャー向上を狙う場合もあれば、部分的に新樽を取り入れてトーストやバニラなどの香りをつけることもある。

リアス・バイシャスの白ワインは総じて品質が高く、なかには極めて傑出したものもある。小売価格で2000円台が中心だが、中には6000~7000円を超えてくるものもある。

重要な生産者はパソ・デ・セニョランス(Pazo de Senorans)やパラシオ・デ・フェフィニャネス(Palacio de Fefinanes)など。

 

 

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