Robert Chevillon(ロベール・シュヴィヨン)

ニュイ・サン・ジョルジュ最上の造り手の一人で、珠玉の1erクリュを所有する。無骨で堅牢というクラシカルなニュイのイメージを180度変えてくれるシュヴィヨンのワインは、若いうちから柔らかく官能的な味わいが楽しめる。

 

歴史

ワイナリーの歴史は1900年頃にシンフォリアン・シュヴィヨンがニュイ・サン・ジョルジュに12haの畑を所有するところから始まった。1914年頃にウジェーヌ-フランソワが引き継ぎ、1erクリュにいくつか畑を購入した。その後ブドウ畑はウジェーヌの二人息子に引き継がれた。この兄弟は後に領土を分割し別々の道を歩むが、モーリスがシュヴィヨン家の歴史をつないだ。彼は1erにいくつか区画を買い足して畑を拡張した。その後モーリスの息子ロベールがワイナリーを引き継ぐと、ネゴシアンへのワイン販売をやめて全量を自社瓶詰めに切り替え、品質重視の生産体制へとシフトした。1990年、ロベールの二人息子(ドゥニ、ベルトラン)がドメーヌに加わり、ロベール・シュヴィヨンの名でワインを売り始めた。2003年、シュヴィヨンをニュイ・サン・ジョルジュのトップへと導いたロベールは引退を発表し、それ以降は息子ドゥニとベルトランがドメーヌの指揮を取っている。

 

所有畑は13ha、全てニュイ・サン・ジョルジュにある。1erクリュが半数以上を占めており、中でもとりわけ品質の高い御三家-Les Cailles(1.19ha)、Les Vaucrains(1.63ha)、Les Saint-Georges(0.62ha)-には75年を超える古樹が植わっている。その他の1erはLes Perrieres(0.6ha)、Les Pruliers(0.61ha)、Roncieres(1.06ha)、Les Chaignots(1.55ha)、Bousselots(0.54ha)となっている。村名(3.38ha)は3つの区画にまたがっており、広域はブルゴーニュ・ルージュとパストゥグランを作る。
赤のイメージが強いシュヴィヨンだが、少量の白も手掛けており、シャルドネとピノ・ブランのニュイ・サン・ジョルジュ・ブランやアリゴテなども手掛ける。

 

栽培

畑はリュット・レゾネで栽培されている。除草剤は使わずに畑に鋤入れをし、厳しい剪定、春の芽かきとグリーンハーヴェストで収量をコントロールする。収穫が近づくと週に2度の成熟度チェックを行いベストなタイミングを見極める。収穫は全て手摘みで行い、未熟果、カビ、ダメージのあるブドウを厳しく選果していく。これによって約5-20%のブドウが弾かれる。

 

醸造

シュヴィヨンは完全除梗のスタイルを貫く。コールド・マセラシオンは約10℃で5-6日間行い、その後自然酵母での発酵がスタート。温度は比較的高めだが34度を超えないようにコントロールする。2-3週間続くマセラシオンでは、丁寧なピジャージュとルモンタージュを行う。プレス後にワインを樽に移して15-18ヶ月熟成させる。新樽は村名で20%、1erで30%。ラッキングはマロラクティック発酵後に行う。ボトリングの3-4週間前にブレンドして落ち着かせ、その後重力フローで瓶詰めする。

 

味わい

シュヴィヨンのワインを知るには同村の名手Henri Gougesと飲み比べるのが良い。両者ともニュイ・サン・ジョルジュの最上の造り手でありながら、スタイルが異なるからである。近年はだいぶ柔らかさが出てきたので以前ほどの堅苦しさはなくなったものの、若いHenri Gougeのワインはややカチッとした印象がある。一方でシュヴィヨンのワインは常に「ユーザーフレンドリー」である。つまり、若いうちからでも柔らかな果実味と華やかな香りが楽しめる。一昔前は果実の完熟感がやや大げさに感じられるケースもあったが、近年はリッチさに適度な抑制がかかり、ピュアさが伴ったことでより一層洗練された味わいになっている。シュヴィヨンの味わいの虜になっている人は多く、ジャンシス・ロビンソンはシュヴィヨンを「ブルゴーニュで最も信頼の置けるドメーヌの一人」と評し、WA誌のウィリアム・ケリーは「もしまだシュヴィヨン・マジックを体験していないのであれば、迷わずトライすべき」と太鼓判を押す。さらに、ニール・マーティンは「ニュイ・サン・ジョルジュの味を知りたければシュヴィヨンのワインを飲むべき」と大絶賛している。

ニュイにある多くのドメーヌでは、最も格上とされる1er Les Saint-Georgesを試飲の最後に出す。しかし、シュヴィヨンのカーヴではこの法則は通用しない。Les Saint-Georgesは最後から2番目にサーヴされ、大トリを飾るのはLes Vaucrainsとなる。この理由はイメージや格ではなくテロワールと味に基づいたものであり、実際にこの順番で試飲をするとその意味がわかる。Les Saint-GeorgesはVaucrainsの下に位置しており、シュヴィヨンの区画は斜面上部から下部までバランスよく直線上に広がる。このバランスの良さが味わいにもしっかりと現れており、隣接するCaillesのフェミニンなニュアンスと筋骨隆々の男性的なVaucrainsのいいとこ取りとなっている。力強いタンニンの骨格がありながらも、フローラルで香り高く、品位が感じられる。

一方、Les Saint-Georgesよりも標高の高いVaucainsはより痩せた石がちな土壌を持つ。これがより強いミネラル感、鋭い酸、そして硬いタンニンとなって現れるため、若いうちは特にシリアスで固く、陰気さが漂う。しかし一方で、スパイスや粒感のあるテクスチャー、より直線的な味筋がクラシカルなニュイの雰囲気を思い起こさせてもくれる。Vaucrainsは近づきやすいシュヴィヨンのスタイルでさえ若いうちは打ち解けにくいので、やはり時間が必要となる。瓶熟を経ることで堅牢なストラクチャーがほぐれ、深みのある力強いフルーツのコアと調和してポテンシャルが開花する。

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