Southern Region(チリ・南部地方)

「近年注目の集まるチリ最南端エリア

太平洋の影響を強く受ける涼しい気候が

チリのイメージを覆すフレッシュでクリスピーなワインを生む」

チリの南部地方は3つのサブリージョンを含んでおり、北から順にイタタ・ヴァレー(Itata Valley)、ビオビオ・ヴァレー(Bio Bio Valley)、マレッコ・ヴァレー(Malleco Valley)である。

南に行くほど海岸山脈がなくなっていき、内陸まで太平洋の影響を受けるため気候はより冷涼で湿潤となる。例えば、ビオビオでは年間の平均降雨量が1000mmを超え、夏の気温が30℃を超えるのは珍しい。病害菌のリスクは低くないが、海風も吹くため適切なキャノピーマネジメントを行うことである程度コントロールできる。南緯が高い(36-38度)こともポイントで、生育期の日照がより長くとれブドウの完熟を促してくれる。

南北に長いチリでは、アコンカグアやマイポ、コルチャグアといった著名産地が中央〜北部にかけて広がっているため、南部にスポットライトが当たることはあまりなかった。しかしここ10~20年でブドウの植樹が増えてきている。リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネにピノ・ノワールと冷涼品種が多く見られるが、古い畑にはパイスやマスカット・オブ・アレキサンドリアといったこの地の伝統品種も残っている。

 

テロワール

イタタ・ヴァレーはチリで最も歴史の古い産地の一つとされ、最初のブドウ栽培は1550年代と言われている。20世紀までこの地はバルクワイン産地のレッテルが貼られており、チリの生産者が量よりも質にこだわりだした1980年代には、見向きもされなくなってしまった。この地に注目が集まるようになったのはここ10年ほどのことで、今日ではリバイバル的な動きがみられ、多くの生産者たちが畑を購入している。

シャルドネ、、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンといった国際品種の植樹も進んでいるが、実はイタタの畑の3/4には高樹齢・株仕立てのマスカット・オブ・アレキサンドリアとパイスが残っており、一部にサンソーも見られる。こうした品種は無灌漑で育てると傑出した品質の個性豊かなワインが生まれることから、とりわけニューウェーブ系の生産者たちの熱い視線が注がれている。

イタタの土壌は砂質や粘土質ローム、沖積土などが見られ、川によって運ばれ長い時間をかけてこの地に沈殿したものである。比較的肥沃だが、水はけは悪くない。

ビオビオ・ヴァレーは2000年に入ってから急速に注目が集まった産地である。国際的に飲み手の嗜好がクリスピーで香り高いスタイルのワインを求めるようになったことが大きな理由であるが、カベルネやメルロー以外でも優れたものを作れるんだというチリのワインメーカーたちの情熱も、産地のポテンシャルを開花させたのに一役買っている。

カサブランカ・ヴァレーがソーヴィニヨン・ブランとシャルドネを世界に知らしめたのと同じように、ビオビオはリースリングとゲヴェルツトラミネールの品質を証明しつつある。

風や雨の影響が強く他よりも気候の変化が大きいビオビオであるが、冷涼な気候に加え長い生育期間がとれるため、マイポやカチャポアルといった暑く乾燥したエリアよりも白ブドウの複雑なアロマの生育により適している。また、お隣アルゼンチンで白ブドウが成功する条件は標高の高さにあるが、ビオビオではそれは重要ではない。なぜならほとんどの畑ですでに十分涼しく、高地がもたらす冷涼効果は必要ないからである。
多くの畑が50-200m程度の標高に広がっており、土壌は沖積土がメインとなっている。チリ北部のレイダやカサブランカ程ではないが、ピノ・ノワールも興味深いものが生まれてきている。マレッコ・ヴァレー同様、ビオビオはその発展性とポテンシャルが、業界人の大きな関心となっている。

マレッコ・ヴァレーはチリの主要なワイン産地の中で最も南に位置し、首都サンティアゴからは500km以上も離れている。温暖で乾燥したカベルネの聖地=チリというイメージとは真逆で、マレッコはチリのオレゴンとも呼べるエリア。年間平均降雨量1300mmと雨がちでより涼しい気候のためブドウ栽培は困難を極めるが、日照時間が長く日較差が大きいことでブドウはゆっくり成熟し高い酸を備える。

マレッコのとりわけクリスピーでフレッシュなシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールは国際的な注目を浴びてきている。とりわけベティッグ(Baettig)などのワインの品質は目を見張るものがある。マレッコが注目されるきっかけとなったのは、マイポのワイナリー、ヴィーニャ・アキタニア(Vina Aquitania)がこの地で造ったSol de Sol Chardonnayである。このワインの品質が国際的に評価されたことで、セントラル・ヴァレーよりもさらに南方にチリのワイン地図が広がっていったのである。

とはいえ、マレッコのワイン産業はまたまだ初期段階と言え、生産者は数えるほどしかいない。また畑の規模もかなり小さく、大部分がヴィーニャ・アキタニアの所有となっている。

土壌は火山性の赤い粘土と砂質で水はけが非常によく、この地の多雨を鑑みるとこれは極めて需要な要素となる。なぜなら土中の水分量が少ないとブドウ樹はこれを求めてもがき、この結果枝葉に余計なエネルギーが流れず、自然と収量を抑えてくれるからである。こうしてより凝縮したフレーバーと並外れたストラクチャーを持つワインが生まれる。

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