Casablanca Valley(カサブランカ・バレー)

チリのオアシスとも呼べる冷涼品種のメッカ

一般的なニューワールドのイメージとは真逆の

クリスピーで引き締まった味わいが世界を魅了する

チリには主要なワイン産地が4つあり、太平洋とアンデス山脈に挟まれるようにして南北に細長く伸びている。北から二番目に位置するアコンカグアには3つのサブリージョンがある。中でもとりわけ有名なのが、首都サンティエゴから北西100kmに位置するカサブランカ・バレーである。海岸沿いの冷涼な産地で、高品質なソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールが広く知られている。ブドウの初植樹は1980年代と比較的新しい産地であるにもかかわらず、今やチリ全土のワイナリーたちがこぞってこの地のブドウや畑に投資していることを見ると、高品質なブドウの重要な供給元として欠かせない存在であることがわかる。

 

カサブランカ・バレーは東西約30kmに広がっており、西は太平洋に東は内陸に向かって伸びている。このエリアの特徴はなんといっても海の影響を強く受けることだ。ヨーロッパのどのワイン産地よりも赤道に近い緯度33度に位置しているにもかかわらず、高品質なブドウ栽培が可能なのは海のおかげなのである。

カリフォルニアの西海岸が冷たい海流の影響を受けるのと同じように、チリでも南極から海岸沿いを上昇するフンボルト海流が作る冷たい海風の影響を強く受ける。冷たい朝霧は畑に冷涼な空気をもたらし、また頻繁な雲の発生によってブドウの成長はスローペースになる。チリ内陸のセントラル・バレーなどでは年間で240〜300日ほど晴れるのに対し、カサブランカ・バレーでは雲の影響で約180日となり太陽が制限される。こうした気候条件が重なり、カサブランカ・バレーのブドウは内陸と比べ最大で約一ヶ月も長い生育期を確保できる。ブドウたちはこの長い期間の中で複雑なアロマとフレーバーをじっくりと成長させ、酸をしっかり保持したまま完熟する。高品質なワインをつくる気候的条件が見事に揃っているのだ。土壌に関しては、海沿いの西側では粘土を豊富に含む花崗岩で、内陸側では砂質が主体となっている。

■味わいの特徴

カサブランカ・バレーといえば、クリスピーなソーヴィニヨン・ブランやシャルドネが特に有名で、ピノ・ノワールも見逃せない。チリのシャルドネと言うとカリフォルニアに見られるようなトロピカルフルーツを連想するが、海沿いの冷涼なカサブランカ・バレーではシトラスよりの果実に高い酸、ミネラルのヒントを兼ね備えた通好みの味わいを提供してくれる。ソーヴィニヨン・ブランはレモン、ライム、白桃などの力強いフレーバーに石っぽいミネラルを感じさせるフィニッシュで、とにかくコストパフォーマンスが高い。ピノ・ノワールはニューワールドでよく見られるような、ややジャミーで酸のミディアムなものとは正反対の赤果実主体のデリケートでフローラルなスタイルが楽しめる。

カサブランカ・バレーの高品質なブドウは世界的にも認められており、例えばフランスの著名人たちもそのポテンシャルを評価している。シャトー・ムートンのバロン・フィリップが手掛けるESCUDO ROJOのシャルドネや、ブルゴーニュのジャック・プリウールがコラボしているコノスルの上級キュヴェOCIOやそのセカンドである20 Barrelsのピノ・ノワールなどがこの地のブドウを使用しているのだ。

 

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