【このワインについて】
ブジーというグラン・クリュは、南向き斜面で昔から赤ワインが造れたというくらい、日照量が多く熱がこもり、力強いピノ・ノワールが生産されます。それはダイレクトにシャンパーニュのスタイルにも表れていて、ブジーのピノ・ノワールを使ったシャンパーニュは基本しっかりしている。いわゆるリッチなタイプが多いです。 2014年自体はいろんなメーカーが（クリスタル、ボランジェのグランダネなど）2014年ヴィンテージのシャンパンを出すって聞いてますので、間違いなくいい年と言えると思います。

【テイスティングコメント】
長い瓶内熟成を経て、色合いはゴールドに近い、発展している印象です。香りはカスタードクリームを思わせるようなしっかりとした風味があります。フルーツの風味で言うと熟したマンゴー、パイナップルなどのトロピカルフルーツ系もありながら、焼きリンゴのような風味も感じられます。そこに甘い長期熟成によって生まれた名ラード反応の香りもありまして、カラメル、ブラウンシュガー。それがカスタードクリームみたいなリッチで濃厚なものを連想させるんですけど。ほのかにバニラ。トースト具合で言うと、72か月という長い熟成によって、自己分解が進んでジンジャーブレッドのような甘い風味、こちらも熟成７からくるキノコの香り。そのほかにも杏子を思わせるようなドライアプリコット、シャントレル（あんず茸）、ほのかにジャスミン、クミンのような香りもあります。かなり複雑な風味を持つシャンパーニュです。熟成感のあるシャンパーニュがお好きな方はぜひ手に取っていただきたいと思います。

そして味わいですが、非常に驚きました。香りが非常にしっかりとしていて、重たく感じたんですが、味わいは酸がしっかりとしていて、重い香りとのバランスをとるような印象があります。アタックは瑞々しい口当たり。ミディアムフルボディであるのは間違いないですが、酸がバランスをとっている。リフトアップするような感覚もあります。中盤でのミッドパレットも、さっき感じた甘い風味というのが幾層にも広がって、しっかりしています。 ちょっとクリーミーな印象と言うのが、カスタードクリームの香りからも連想させますし、非常に柔らかいムースが、このミレジムには感じられます。アフターにも酸味がありますが、これは偉大な2014年というヴィンテージがもたらした酸味なのかもしれません。野太い芯のあるシャンパーニュという印象が余韻まで伸びていきます。とても面白い味わいのシャンパーニュですね。

ピノ・ノワール100%だと重すぎたから、シャルドネを3割いれてバランスをとっているのかもしれません。豊富な日照量がもたらす凝縮した印象をこのミレジムではしっかりと感じることができます。まさにこのシャンパーニュはグラン・クリュの名にふさわしいです。

【おすすめの楽しみ方】
グラスは大ぶりのグラスで楽しんでいただきたいです。温度帯は12度前後くらいがこの香りの魅力というのを感じられると思います。

まさに食中酒といったようなシャンパーニュです。食前に飲むとやや重たい印象がありますので、是非タンパク質のお魚やお肉と合わせて欲しいですけど、特におすすめなのが、クリームを使ったようなお料理。チキンでも子牛でもいいですし、ポークでも良いですし、 豊かな脂質を合わせたソースと合わせるのがおすすめです！