【このワインについて】
シャルドネの名産地として有名なコート・デ・ブラン地区のグラン・クリュ、ル・メニル・シュール・オジェとオジェを中心に優れた畑を持ち、素晴らしいシャルドネ100%のシャンパーニュ、ブラン・ド・ブランを造る生産者。こちらは一部プルミエ・クリュの村のブドウも使用した、コストパフォーマンスに優れたシャンパーニュです。コート・デ・ブランの土壌から生まれたことを象徴するような『白亜の泡』というキュヴェ名が付けられたそうです。

【テイスティングコメント】
私がおうち飲みのシャンパーニュを選ぶ基準として重視するのはシャンパーニュならではのトースト香です。
他のスパークリングワインでも酸や泡は感じますが、やはりシャンパーニュに絶対的にあるものこと澱との長期熟成で生まれた、この香ばしい香り。まるでパンを焼いたときのようなトースト香がとても魅力的だと思いますし、これがきれいに出ているシャンパンをオススメしたいと思っています。こちらのアイテムも、そういった意味でもおすすめのシャンパーニュです。

このビュル・ド・クレ、よくできているというか、価格帯を聞いてびっくりというクオリティです。2018年のベースワインと20%のリザーヴワインが、ちょうどこのヴィンテージの特徴が良く出ていると思いますし、リッチな果実感。色合いもゴールドに近いような濃い色合いから、嗅いだ時に感じる熟した黄桃やパイナップルの芯の部分のようなトロピカルな雰囲気がありつつ、香ばしいブリオッシュやクロワッサン的な香りが加わるので、この価格帯のシャンパーニュとすると、非常に複雑だと感じます。さすがグラン・クリュ、メニル・シュール・オジェのぶどうを使っている、本拠地に置いているだけあるなあという感じがします。リザーヴワインがいい味を出していて、フレッシュ過ぎないのが良いですね。今ちょうど飲みたい、飲み頃だなと思います。フレッシュすぎると柑橘とかフルーツの香り、トーストの香りがあまり出てこないこともありますが、このシャンパーニュはそんなことはありません。20%のリザーヴワインがシナモンやカルダモンを連想させる、ほどよい甘いスパイス感を与えています。

口に含むと、意外と優しいタッチ。ブラン・ド・ブランというと、キリっとシャープな、いかにも口がすぼまるような瑞々しいアタックが特徴ですけど、メニル・シュール・オジェのブドウを使ったブラン・ド・ブランだと思って構えて飲むと、優しいというのが第一印象ですね。この優しさを造っているのが、リザーブワインとほのかなドサージュです。こちらはドサージュが7ｇ/L。このドサージュが全体的に酸の厳しさを和らげて、優しさを与えているなと思います。やわらかいムースも特徴的でかなり溶け込んでいる印象です。個のドサージュも加わった甘味がまた優しい、まるでかりんのシロップ漬けのような、フルーツをコンポートしたような甘味となっていて、酸の高いブラン・ド・ブランが苦手という方にもぜひ手に取っていただきたいアイテムです。

ぱちぱち跳ねるような泡というよりは、スムーズでクリーミーです。余韻にもアロマで感じたブリオッシュ、クロワッサンとか。アプリコットのタルト的な風味もアフターに感じますし、余韻こそ酸がある意味優しく感じるので、びゅーっと伸びるような印象はないんですけど、優しいほんわかしたフィニッシュで終わります。まさに家でゆったりするときに楽しみたいシャンパーニュです。シリアスなシャンパンだと、グラスはこれにしようとか、温度はこのくらいにしようとか、合わせる料理はこれにしようとか、難しく考えちゃう部分があるんですけど、まあそれもワインの楽しみの一つですが。これは気兼ねなく楽しめ、すぐ開けたてから美味しいシャンパーニュだなと感じました。

【おすすめの楽しみ方】
魅力的な香りを引き出したいので、中ぶりの白ワイングラスで飲んでいただきたいなと思います。温度としてはかなり幅広く楽しめます。12度くらいで飲んでも全然へこたれないですし、できれば10－12度くらいで飲んでもらいたいなと。これはかなり高めな温度だと思います。一般的にはNVだと、6-8度とか。キリっと冷やしてあげた方が全体的にしまりが出て美味しいと思うんですけど、これは温度帯をあげても崩れないバランスがあるので、10から12度を推奨したいと思います。セラーから出してすぐとか、冷蔵庫に入れているものですと、冷蔵庫から出して最初は５度くらいからスタートしても良いのですが、そのままテーブルに置いておいて、温度の変化を楽しむのがおすすめです。