赤ワインを好きになってまず覚えるブドウ品種は誰でもたいてい『カベルネ・ソーヴィニヨン』。この最も有名かつ人気抜群の品種は原産であるヨーロッパから今や南米まで、世界各地で栽培されています。チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンは、現在日本に最も大量に輸入されている赤ワインになっているくらい。

そして、勿論ワイン伝統国イタリアでもこの品種は栽培されています。ですが…イタリアワインが大好きな人を除けば「へえ、イタリアにもカベルネ・ソーヴィニヨンってあるんだ」程度にしか思われないのでは。実際、大部分はサンジョベーゼ等イタリア代表品種に補助的に使われる形で、カベルネワインは(“チリ・カベ”ならぬ“イタ・カベ”とでも言いましょうか)は決してメジャーな存在ではありません。イタリアの生産者はやはりイタリア土着のブドウ品種に誇りとこだわりを持っていますし、フランスを代表するような品種に対して、ちょっとした反骨心もあるのでは。でも…実は、今回ご紹介するイタリアのカベルネものは、フランス産ともチリ産ともちょっと違う、素晴らしくユニークな個性がある、特筆すべき上質ワインなのです。

それは一言で言えば、「大らかな明るさ」。温かく穏やかな気候によりブドウは完熟し、ワインは実にリッチでふくよか。それでいてボルドーのがっしりと渋みを主張するようなカベルネとも、チリやオーストラリアの抜群にフルーティで濃厚なカベルネともまるで違う。ここにあるのは、トスカーナ州の十分な太陽と恵まれた土壌に育まれた、あくまでも伝統的スタイルのエレガント・カベルネ。イタリアワインらしい大らかさ、明るさ、そして繊細さを兼ね備えた、食事に合わせやすい1本です。

渋いだけが、濃いだけがカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴じゃありません。じっくり熟成し、今が一番良い状態…この長期熟成を手軽な価格で楽しめるのも、イタリアならでは、ですよ！

【「レッチャイア カベルネ・ソーヴィニヨン」がもっとおいしく楽しめる飲み方をご紹介！】
≪こんな香り･味わいのワインです≫：
香りを少し取っただけで、実に上手に熟成してきたな…と感じさせてくれます。赤系フルーツがいろいろ入り混じった香りに、なめし皮、中国茶、そしてやや動物的なニュアンス。複雑な要素が絡まり折り重なる香り模様。
かと言って飲みこなすのが難解なワインでは無く、味わいは実に甘やかで滑らか。時間を経たワインが獲得する「良い要素」をストレートに明快に納得させてくれる、熟成ワイン初心者の方にもお薦めしたい1本と思いました。
実は以前にこのワインをブラインドテイスティングの課題にしたのですが、ソムリエ、ワインエキスパート資格を取得した方も、熟成した「バローロ」や「キャンティ」と間違えたほどなんですよ 笑

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
長い熟成を経たワインですので、遅くとも食事-3時間前に、出来れば朝のうちに抜栓しておきましょう。その大らかなボリューム感が更に広がります。そして、実は開けて翌日飲んでもとても美味しい！！半分残してコルクを指して冷蔵庫で保管、そして翌日試してみてください…びっくりしますよ♪

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
このワインは、いつも赤ワインにお薦めしているよりもやや軽めに冷やす、くらいのイメージでしょうか。セラー保管ならそのままの温度から少しだけ上がったくらいが適温。常温保管からなら30-40分程冷蔵庫で冷やすか、アイスバケツで5分。
このワインの様々な要素をきれいに整理しつつも、大らかな甘さを残しておく感じ。基本的には温度を下げておいて、後からテーブルでご自身が美味しく感じる温度帯に調整していく、というのがやりやすいです。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
以前は丸形のブルゴーニュ系グラスで旨味を楽しむ方が良い、とお勧めしていたのですが、改めて実際に様々なグラスで飲んでみると小ぶりの卵型グラスが最適かな、と思いました。香りにも味わいにも要素が非常に多いので、それをギュッとまとめてくれるようなグラスが一番ワインの魅力を引き出してくれるんですね。



※関連のお薦めワインには、「カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワイン」たち。色々な個性、ブレンド比率による変化。是非飲み比べしてみてください。