生産者のこだわり

『ルソーを表現する時には一言では表せない。まさに万華鏡のようなワインを造る。テロワールの個性はもちろん、ヴィンテージの個性も明確に表現してくる。その組合せが七変化ならぬ、飲むタイミングにより万華鏡のように変化することによって予測が難しい。何回も経験して少しずつ良さがわかってくる。これほど難解で飲む時に喜びを与えてくれる造り手は少ない』ソムリエ 井黒 卓

20世紀の初め、ジュヴレ・シャンベルタンに一族の所有する小さな畑を寄せ集めて、アルマン・ルソーがドメーヌを設立。婚姻によって畑を拡張した後、シャルム・シャンベルタン、クロ・ド・ラ・ロッシュ、シャンベルタンなど、フィロキセラ禍と第一次大戦の余波で価格の暴落したグラン・クリュを買い取り、ドメーヌの礎を築きました。

世界恐慌によってネゴシアンが栽培農家のブドウやワインを以前のように買い取れなくなった時に、一早くドメーヌ元詰めを始めたパイオニアとなったという話はあまりにも有名です。

1959年にアルマンが事故で急逝した後は息子のシャルルがドメーヌを継承。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズやリュショット・シャンベルタン・クロ・デ・リュショットを新たに取得することに成功し、ドメーヌの規模を6haから13haまで拡大しました。

2016年、シャルルが逝去後、これまでブドウ栽培や醸造を受け持っていた息子のエリックが指揮を執っています。また2012年からは、ディジョンのブルゴーニュ大学で栽培学を修めたエリックの娘、シリエルもドメーヌに参画しています。

アルマン・ルソーの所有する畑は15ha。村名畑は僅か3ha、プルミエ・クリュも4ha弱、グラン・クリュが最も多く8haを超えます。
所有するグラン・クリュはシャンベルタン、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、マジ・シャンベルタン、シャルム・シャンベルタン（一部マゾワイエールを含む）、リュショット・シャンベルタン。ジュヴレに９つあるグラン・クリュのうち６つを揃えています。

さらにプルミエ・クリュの筆頭格、クロ・サン・ジャック、カズティエ、ラヴォー・サン・ジャックも所有しています。

各クリマの平均樹齢は40年以上。ブドウ栽培においては認証こそ取得していないものの事実上のビオロジックで、除草剤や殺虫剤は使用しません。
またエリック・ルソーはブドウの過熱を嫌い、ジュヴレ・シャンベルタンでもかなり早い時期に収穫を始めることで知られます。

新樽比率はシャンベルタンとクロ・ド・ベーズのみが100%。その他のクリマはグラン・クリュであっても新樽を一切使いません。
ただ、クロ・サン・ジャックはシャンベルタンとクロ・ド・ベーズに次ぐクオリティだと考え、畑の格自体はプルミエ・クリュですが70〜100%の新樽比率で造っています。