色調はまだまだ鮮やか、周辺部に少しだけオレンジ色がみられますが実に美しく聡明。期待が高まります。サクランボのシロップ漬け、ダージリンティー、そして森の濡れ落ち葉やキノコを想わせる柔らかでぬくもりのある香りからスタート。抜栓直後の味わいは軽めのタッチで酸も控えめですが甘みは十分、そして後半の出汁的な旨みが染み出してくる感じでまたもここからの変化に期待が。
抜栓僅か15分程で香りがいきなり複雑化、そこから時を経る毎に香りのイメージ要素がひとつ、またひとつと増えていきます。キャラメルの香り出てきた、あ、次は葉巻かな、、、リコリスもあるな、、、みたいな感じ。展開が実に楽しく、ちびちびと飲みながら2時間が経過したところで2022年時点でのこのワインの最高到達点が訪れました。分厚く深い果実の味わい、綺麗な酸、甘みとコク。。。長い時だけが創り出せる豊かさを存分に享受したこのワイン、体験する価値のある1本だと思いますよ。

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
僕のお薦めは、飲み始める2時間前の抜栓ですね。この時間帯から香り・味わいともに深みが増し、バランスが理想的に整った感じ。そして、そこから出来れば2-3時間くらいで飲み終えたいところ。熟成ワインの抜栓後の命ははかなくそして短いもの、翌日に少しだけ残してみましたがさすがに香味は落ちていました。
30年熟成のワインとしては澱の量は少なめ。とはいえ念のため宅配での受け取り後3-4日くらいは落ち着かせるために縦置き(若しくは斜め)で静置しておいた方が良いかと思います。

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
後半に残る出汁的な旨みこそがこのワインのおいしさ。冷やし過ぎてしまうとその「じんわり・じわじわ感」が発揮されないかなと思います。やや温度帯高めくらいでこそ伸びやかになるな…と感じました。
セラー保存だったらそのままの温度で、もし室温で置いてあったならまずはそのままで飲んでみて、お好みでアイスバケツ冷却をしてみてください(上記の通り抜栓は事前にしておいてください)。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
おすすめは中サイズ以上のブルゴーニュ型グラス。大き目のグラスで出来るだけスワリング(グラスを回す)はゆったり大きく2-3回程度で。あまりぶんぶん振り回してしまうと、長い期間をかけて繊細にまとまってきたワインのバランスが崩れてしまうかも？