2020年ボルドーの収穫
難しい天候やコロナ下での収穫にもかかわらず、ボルドーの2020年は思いのほか良さそうです。
「2020年を3つの言葉で要約するならそれは、暑い、暑い、暑いでしょう」とChâteau BrownのJean-Christophe Mauは言います。
慎重派からは、2020年はGood – Very Goodとして評価されているように、生育期のブドウ管理は決して簡単ではありませんでした。
春には少し霜が降り、所々に雹が見られ、雨によるカビの被害も多かったです。
ネゴシアンのJP MoueixのEdouard Moueixは、次のように述べています。
「4月の後半に雨が降り始めた。大量の雨だったのでカビのリスクは2018年よりもさらに強かった。しかし幸いにも何も失うことはなかった。なぜなら、畑のスタッフはみな献身的で、週末も働いてくれたから。もちろんこれはどのシャトーでも見られる光景ではなく、場合によっては、カビの被害が低収量の説明にもなりえる。」
7月は暑くて乾燥し、干ばつが発生しました。ここが今年の右岸と左岸の分岐点となりました。
右岸のMoueixは、「天候が極端な年というのはテロワールの特徴がより顕著に出る年なのです。
保水性のある粘土はヴェレゾンの際に水分で希釈されてしまうリスクがありますが、乾燥による水分ストレスは問題となりません。」と述べています。
Saint-Émilionの石灰岩はここでその価値を証明し、良好な排水性と同時にブドウ木への安定した地下水源を提供しました。
左岸の人々は、干ばつを止めた8月の雨によってヴィンテージが救われたと見る一方、右岸の人々は、9月の暑さに感謝しました。
左岸は右岸よりも多くの雨がみられましたが、それでも足りないようでした。
Phélan-Ségur によるとSaint-Estèpheは8月初旬に110mm、Chateau BrownによるとPessac-Léognanでは40mmの降雨量を記録しました。
27mmを報告した右岸のMoueixは「降雨量の差は毎年見られますが、今年はより明白でした」と言います。
左岸のブドウ木は暑さで凝縮しすぎていたので水分があればあるだけ良く、仮に水分による希釈を考慮したとしても、ワインは依然としてパワフルなようです。
Phélan-Ségurの収穫時の選果台では特に若木のメルローから日焼けしてしぼんだブドウがいくつか見られました。
Moueixは今年のヴェレゾンは難しく、非常に期間が長かったと言い、その理由を次のように述べています。
「土壌の最上層だけが乾燥し、その下には大量の水分があったため、ブドウ木は成長を止めませんでした。成長し続けたので、短い期間でのヴェレゾンを見ることができませんでした。」
この不均一な成長の結果、外側は熟し内側は未熟な房となって現れました。
「我々はより良い成熟を狙っていたので、収穫は非常に長くなると予想していました」とMoueixは言います。
「ですが、9月12日~14日に気温は40-41ºCまで上がり、ここで未熟な部分の成熟が追いついたので、結果として収穫は非常にすばやく行うことができました。」
雨や暑さで救われたかどうかにかかわらず、2020年は収量が少し下がったというのがシャトーの間での満場一致の意見です。
ブドウ房の量はこれまでとほぼ同じでしたが、果汁は少ないようでした。「プレスワインをほとんど使用しないという非常に珍しいことも起きました」とMoueixは言います。
今年のMoueixではマセラシオンを一部の人が好む35〜40日という長い期間ではなく19〜24日と短い期間に抑えました。
さらにタンニンは種からではなく全て果皮からのものでしたが、それでもなお、プレスワインはフリーランジュースとうまく馴染みませんでした。
「プレスワインをブレンドに入れると他の要素を阻害してしまいます。おそらく今年は最終ブレンドにもプレスワインをあまり使わないでしょう。」
総括すると、一般的には品質は上々と言えそうです。パワフルでバランスの取れたワイン、リッチでアロマのあるフレッシュなヴィンテージのようです。
辛口の白については、Mauはバランスの取れた、肉厚でアロマティックなワインを報告しています。
赤に関しては、今年は右岸の年、あるいはメドックが言うようにメルローの年です、とMoueixは言います。
引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2020/10/the-2020-bordeaux-harvest
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