ボルドーの2018年ヴィンテージから学ぶこと

ボルドーの2018年ヴィンテージから学ぶこと
2020年のボルドーが盛り上がる中、Tom Hylandがこの地域を変えた極めて重要なヴィンテージを振り返ります。

多くのワイン愛好家が、自分の好みと特定のヴィンテージを結び付けています。–例えば早飲みが出来るか、または長期熟成に耐えうるか—しかしそのような定義以上のものを示すヴィンテージがあります。このような年は近い将来ボルドーに訪れる変化を表しており、ボルドーにとって2018年がそんなヴィンテージになりました。

 

ボルドーでは10年以上前から気候変動について議論されており、ボルドーの生産者は特に暖かい年を” 太陽の年”と呼んでいます。2018年は温暖な気候により、ボルドー全体でブドウが良く熟した力強いワインが生まれ、ポムロールの Ch. Clinet のオーナーである Ronan Laborde をはじめ、多くの生産者たちから賞賛を浴びました。

 

では、2018年はボルドー愛好家にとって夢のようなヴィンテージとなるはずですよね?いや必ずしもそうではないかもしれません。
世界最高峰の甘口ワインが生産されるソーテルヌでは、7月中旬の雹害で収穫量の90%以上を失い、ワインを瓶詰めしなかったドメーヌが少なくとも1つあります。そして、この年のボルドーの赤や辛口白の多くは、通常よりも酸度が低いという事実もあります。
つまり、ボルドー最高の年ということは、長期熟成にはあまり適さないだろうということです。Ch. Pichon Comtesse の輸出責任者である Charles Fournier はこう述べています。「2018年はボルドーにとってクラシックな年ではありません」

 

2018年の生育期について、Ch. ClinetのLaborde は、早い段階での降雨と冷涼な気温が相まって例年より10~15日ほど遅い萌芽をもたらし、6月には夏らしい天気が続いたおかげで開花にとって良い条件となったと振り返っています。ボルドー市街と北部のアペラシオンを2度の雹が襲いましたが、その後天候は一変しました。「7月中旬から10月末の収穫期まで、暑く乾燥した気候が続きました」とLabordeは説明し、夏の干ばつにもかかわらず、年始に降った雨のおかげでブドウ樹の状態は非常に良かったと述べています。

 

ホワイト・ゴールド

2018年のボルドーワインで最も品質が良かったものは白ワインでした。アメリカの主要数都市で毎年開催される Union des Grands Crus de Bordeaux という試飲会で、先日数十本のワインを試飲しました。白ワインは円熟でトロピカルフルーツの香りがあり、エレガントなスタイルで、近年のヴィンテージよりも親しみやすい出来となっています。それらの多くは長期熟成には適していませんが、今後3年から7年の間、飲み頃として楽しむことができるでしょう。

 

赤ワインでは、Ch. Pichon Comtesse や Ch. Pichon Baron、Ch. Clerc Milon、Ch. Lynch Bages などの著名シャトーから、ブラックプラムやブラックチェリーの果実味が豊かな、香りの複雑さと持続性を持つ素晴らしいワインが発表されました。
サン・ジュリアンでは Ch. Beychevelle と Ch. Gruaud Larose が非常に印象的で、マルゴーの Ch. Brane Cantenac はその非常に円熟なスタイルでやや物議を醸しました。
ポムロールからは、特に Ch. Clinet と Ch. Gazin は、熟したプラムとブラックベリーの香りが暖かい温暖な生育期の典を表現しており、非常に成功したワインがいくつもありました。

 

そして最大の驚きは、ムーリスの Ch. Maucaillou や、すぐ西にあるリストラックの Ch. Clarke など、マイナーなアペラシオンからのワインでした。

 

メドック地区は温暖な気候により、円熟で力強いワインに仕上がり、この地区の典型的なワインよりもリッチで個性的なワインができる条件となりました。Ch. Clarke のテクニカルディレクター、Fabrice Darmaillacq は、メルロ70%とカベルネ・ソーヴィニヨン30%のブレンドで赤ワインを造っていますが、一般的にはカベルネ・ソーヴィニョン主体のワインが主流なこの地域では稀なブレンドです。
「樹齢の高い樹のメルローは、カベルネ・ソーヴィニヨンの収穫を開始した10月4日までに収穫しました。そして収穫を終えたのは10月9日。天候は信じられないほど素晴らしく、害虫や病害のリスクもなかったため、ブドウの成熟度に応じて区画ごとに収穫日を選ぶ余裕がありました」 と、Darmaillacq は振り返ります。

 

スタイルの変化

雹の影響を受けなかったソーテルヌの生産者については、たとえ酸度が通常より少し低かったとしても、熟したアプリコットや黄桃のフレーバーと長い余韻があり、非常に魅力的なワインとなりました。私が試飲した最高の例は、Ch. La Tour Blanche や Ch. Coutet、Ch. Doisy Vedrines でした。

 

ボルドーの2018年ヴィンテージは変化を表していると先述しましたが、この年は少なくとも近い将来のボルドーワインにおけるスタイルの変化を表しているのではないかというのが私の意見です。Ch. La Louviere のオーナー Andre Lurton は、2018年は非常に温暖な年だとしたうえで、「2019年はさらに暖かく、2020年は2003年と並んで過去最も早い収穫だった」と、指摘しています。

 

Lurton は一連の太陽の年についてどう考えているのでしょうか?そしてワインは今後どのような影響を受けるのでしょうか?
「2018年はボルドーにとって最優良年の一つであると認識されています。気候変動による温暖化が進むにつれて、ほぼ毎年のように前年を上回る出来と評価されることになることでしょう。ボルドーの年が素晴らしいとされるのは、昔は熟すことは難しかった全ての品種が、完全に熟したときです」と、Lurton は説明します。

 

「熟したブドウを使えば使うほど、完成するワインはフランス国外のワインと同じようなスタイルになりがちです。つまり、生産者それぞれがテロワールの個性を保ちつつ、適切なタイミングでブドウを収穫することが重要なのです。それが熟成中の自然な酸味にもつながります」

 

ボルドーの生産者はどのように気候変動に順応すればよいのでしょうか?Lurton は複数の要因が作用すると語ります。
「一度畑が出来上がると、それを変えるのはとても難しいのです。私たちは、酸度が低下しすぎたメルロの代替になるような品種を見つけようとしているのです。ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンがカリフォルニアのようなジャミーなワインになるにはまだ20年はかかることでしょう。一方、私たちは過去に用いたテクニックをもう一度見直していくだけです。収量をあまり増やさず、葉がブドウを保護できるように調整し、ブドウ畑にもう少し活力を与えて、ワインの真の個性を示すのに必要な、果実のエネルギーを保持するようにしています」

 

Ch. Pichon Comtesse の Fournier にとって、セパージュを変えることは理想的な調和を持つワインを造り続けるための一つの手段です。
「カベルネ・ソーヴィニヨンの比率を上げていくのは間違いないでしょう。これまで、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率を上げることで、完璧なバランスとフレッシュさ、フィネスを持ったワインを造ることができており、この進化の恩恵を十分に受けているのです」

 

2018年のような外向的なスタイルのボルドーワインは、新世界のカベルネ・ソーヴィニョンに慣れ親しんだ若い世代の消費者を魅了することができるのか、またもしそうであれば、ボルドーのシャトーはどのような道を辿っていくことになるのかを Fournier に尋ねました。

 

「ボルドーはボルドーらしいワインを造り続けるべきだというのが私の意見です。エレガンスとフィネス、そしてフレッシュさのバランスが完璧なワインのスタイルで、ボルドーワインは世界的な名声を築いたと信じています。そしてそれはボルドーワイン愛好家がボルドーワインに期待するものです。私としては、スタイルを変えて全ての人を喜ばせようとするのは間違いだと思います。もちろん気候変動には順応していきながら、真のボルドースタイルのワインを造り続けるべきだと思います。自分たちの魂を失うことなく、今のトレンドにスタイルを合わせていくのが重要だと考えています」と、Fournier はまとめています。

 

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2021/11/learning-the-lessons-of-bordeauxs-2018-vintage

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