ブルゴーニュ2024、逆襲の年

ブルゴーニュ2024、逆襲の年

2024年ヴィンテージは、ワインが素晴らしいというよりも、ワインが造られたこと自体が驚異です。


「収穫時、一体どうやってブドウが実ったんだ?と生産者たちは思った。しかもこんなに見事な姿でと」。

 

これはAnthony Sarjeant WinesのEmma Sarjeant がDomaine Borgeotにおける難しい年の対応を表現した言葉です。そしてこの言葉は、2024年ヴィンテージに対するブルゴーニュの視点をよく表しているのです。

 

開花不良に続き、容赦ない雨(「3日のうち2日は雨だった」とDomaine Rossignol-TrapetのNicolas Rossignol は言う)と、その結果生じたベト病で過酷な年になりました。畑はトラクターが入れないほど湿っており、ベト病対策の薬散布はすべて手作業で行わなければならなかったのです。多くの生産者は、週末も昼夜を問わず働き続けなければ、こうした病気の波に対処し続けることは不可能だったと指摘します。労働者に依存する生産者は窮地に立たされたと、あるロンドンの商人は語ります。フランスでは5月に祝日が集中しているが、金曜と週末に雨が降り(実際に降った)、火曜日まで散布ができないとなったら、それでおしまいだったのです。

 

しかし最終的に、ワインは生産され、その中には非常に優れたものもあります。8月の温暖で乾燥した天候がおそらく救いとなったのでしょう。白ワインは赤ワインより高品質です。シャルドネはピノ・ノワールより病害に対する耐性が高いのです。最高の白ワインは軽快で、輝きがあり、塩味とフレッシュさを備えています。赤ワインはアロマ豊かで、果実味がありバランスに優れています。コート・ド・ボーヌはコート・ド・ニュイより良好な結果になりました。しかし赤ワインは概して果実味中心で、かなり軽やかで、早飲み向きです。軽さ(20年熟成させるつもりでなければ必ずしも問題ではない)を除けば、厳しい夏の影響はほとんど見られず、生産者は結果に満足しています。

 

アルコール度数は12.5~13.5%と極めて穏やかです。所々で少量の補糖と補酸が行われましたが、おそらく同時には施されていません。添加されたと思われる酸味が時折感じられます。果汁中の酒石酸含有量がかなり高く、これがカリウムと結合して沈殿するため、時々酸度を微調整する必要がありました。

 

困難な時代

2024年ヴィンテージの物語には二つの側面があります。第一に、生産者はいかにしてこの過酷な条件に対処したのか? 第二に、誰がこれらのワインを購入するのか?という点です。

 

第一に、生産者たちは、端的に言えば、果てしない手作業によって対処したことが挙げられます。あらゆる時間帯にブドウ畑に出て、カビ病の蔓延を抑えようと試みたのです。具体例を挙げましょう。ロンドンのワイン商Charles Taylor は、Domaine Girard(2025年の干ばつにより、2024年の方が収穫量が多かったという)の話をしました。「兄弟が二人いる。全畑への散布に16時間かかる。一人が午前4時に起きて昼食まで作業し、その後もう一人が残り8時間を担当した」。

 

「我々は苦闘し、ストレスを抱え、病害抑制のため絶えず散布を行った」とDomaine Georges GlantenayのSarah Glantenayは言います。「空気の流れを確保するため葉を取り除いた。シーズンを通して休める日は一日たりともなかった」。

 

Domaine RagotのNicolas Ragotはスマホアプリを活用しています。アプリは、散布作業自体は代行しませんが、風速・風向、土壌の深層別湿度、葉からの水分蒸発率、葉の水分量を常時提供してくれます。びしょ濡れの葉に散布しても意味がありません。2024年は雨が降っているか、降った直後か、降ろうとしているかのいずれかだったので、窓の外を見れば十分だと思うかもしれませんが、彼はこれらのアプリが役立ったと語ります。

 

収穫量は確かに減少しましたが、カビ病だけが原因ではありません。シャブリでは雹害が発生し、さらに地域全体を襲った開花不良も重なり、カビ病が発生する以前から収穫量は減少していました。収穫は縮小しましたが少なくとも、8月に天候が回復した際、残っていた果実が完熟する条件を整えたのです。

 

Domaine de VillaineのPierre de Benoistは「私にとってカビは問題ではなかった。1987年に有機栽培へ、2000年にはビオダディナミへ移行した。それがブドウ畑を自然に守るのだ。カビより雨と風による損失の方が大きかった。50%を失ったが、カビが原因ではない」と語ります。

 

素晴らしいアリゴテを生産するDomaine Perraudでは、アリゴテの損失がシャルドネを上回りました。アリゴテは果皮が薄いからです。

 

有機栽培やビオダディナミの生産者が慣行農法生産者より問題が多かったか少なかったかについては意見が分かれますが、シャルドネで25~30%、ピノはそれ以上の損失でした。全体的な収量は、コート・ド・ニュイでは1ha当たり17 hlを超えないことが多く(一部では90%減)、コート・ド・ボーヌでは最大25hl/haに達したものの、大きなばらつきがあります。生産者によっては10~20%の減少に留まるケースもあります。しかしTaylorが指摘するように、「生産者が25%減産すれば、その分の利益は消える。ワイン商にとってはこれでも十分な生産量かもしれない。しかし皆が、ワインが全くないと言い出せば、顧客は離れていく。全体としては大した量ではないが、ワイン不足は誇張されている」。

 

ワインの売れ行きはどうでしょうか?ワイン商たちは大喜びではないが、悲観的でもないのです。「飲む層は決まっている」とあるワイン商は言います。「だいたいの生産者には安定した支持層がいる」ともう一人は語ります。一方でワイン商たちはボルドーでも同じ問題に悩まされています。人々のセラーには大量のワインが眠っているのです。「我々はブルゴーニュを大量にコレクションする顧客を相手にしており、彼らの興味を引き続ける差別化ポイントを見つける必要がある」と、ロンドンのワイン商Corney & BarrowのGuy Seddonは語ります。

 

生産者は価格を維持していますが、為替変動によりワインは2025年より値上がりする可能性があります。また英国のバイヤーにおいては、物品税の引き上げが消費者価格を押し上げることになるでしょう。Taylorはこう語ります。「直感では、グラン・クリュは(ここ数年で)インフレを上回る上昇率だが、シャブリ、マコネ、シャロネはインフレを大きく上回ってはいない」。

 

現在、コストパフォーマンスに優れると誰もが認めるのは、特にサントネイ、マランジュ、モンテリー、ペルナン・ヴェルジュレスといった村のワインです。ピュリニーとシャサーニュは現在非常に高価ですが、気候変動がかつては線が細くブドウが完熟しなかったこれらの地域を押し上げています。良質な生産者のベーシックなブルゴーニュ・ブランやルージュを購入するにも良い年です。早期飲用に適した素晴らしいワインがいくつかあります。

 

消費者の間で白ワインへの関心が再び高まっているようです。特にアジアでは人気だとCorney & Barrowは指摘します。若いバイヤー層はブルゴーニュの複雑さに興味を示し始めています。グラン・クリュは現在やや売れ行きが鈍く、バイヤーはプルミエ・クリュや村名ワインにシフトしていると言われています。「人々は買うだろうが、より選り好みするようになる」とあるワイン商は語ります。「昔のように爆買いをする時代ではない」。

 

最後に2025年について一言。暑さと干ばつ。そして再び低収量。生産者たちの現時点での見解によれば、2024年よりもさらに出来がばらつくということです。「駄犬みたいな悪い年」とある生産者は言います。つまり、友好的で扱いやすい年ではなかったという意味です。

 

 

引用元:Burgundy 2024: Dog of a Year Bites Back

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